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#1282 62億円の総事業費でも市財政はもつ? Nov. 18, 2010 [33. 地域医療改革の烽火]

【4指標は当面大丈夫】
 本田市議の11月13日付のブログに根室の財政力に関する説明が載っている。数値情報は出ているがその基礎データが見えないのと、解説がないのでいままではさっぱりわからなかった。
 財政健全化団体への指定には4項目の基準がありそのいずれかが抵触すれば健全化団体指定となる。その4項目とは「実質赤字比率、連結実質赤字比率、実質公債費比率、将来負担比率」である。
 一度計算してみようと算式を調べたら、データが公表されていないので計算不可能なことがわかってやめた。
 市役所財務課へ問い合わせなければわからないが、本田市議は調べてくれたようである。こういう基本的なことを財政課へ行って調べてブログ上で説明する市議は他にはみあたらない。市議としての彼の活動は賛否両論あるだろうが、こういう地道なヒアリングとデータの解説・公表は評価すべきだ。
 結論から言うと、どの指標にも抵触していない、健全だということである。

*本田市議ブログ「根室市の財政状況について」
http://nimuoro.typepad.jp/honda/2010/11/post-1d61.html

【公的会計基準の問題】
 H20年度をみると病院事業の実態は23億円の売上に対して実質赤字の補填に他会計から11.3億円の繰り入れがなされている。つまり、瀕死の病人に大量の輸血(一般会計から損失補填)をしている状態である。輸血停止=死である。ではどの程度の輸血が望ましいのか、基準がないので、わたしは市民一人当たりおおよそ年額2万円を目安にすべきと考える。3人家族なら年額で6万円である。
 さて、上記の4基準をクリアしていれば財政は健全かというとそうではない。公的会計基準による決算では財政の健全性はまったく判断できないのである。
 サラリーマン生活の約半分を企業で経営分析や経営改善をしてきた私ですら、上記指標を計算できない。やたら複雑であり、基礎数字も提供されていない上に、企業会計基準と用語が同じでもまったく内容が異なるからである。
 たとえば、病院事業の貸借対照表であるが企業債や長期借入金が資本の部に起債されているが、これは長期負債であり負債の部に記載しなければ企業会計原則に従えば粉飾決算となる。損益計算書には一般会計からの繰入金が医業収益や医業外収益に10億円以上も紛れ込んでいる。これも企業会計原則からいうと粉飾決算に該当する。
 そして計算式にはやたらと例外的な取り扱いがあって、とても経営の実態や財政の実態を素直に表示するものとはいいがたい。
 企業会計なら5年分の財務諸表を手に入れ、経理担当者に疑問のある経理処理について何点か確認すれば、その企業の経営状態はかなり正確に把握ができるものであるが、公的会計は財政担当者にしかわからないことだらけである。だから夕張市は突然に破綻した。

【財政調整資金17億円の存在】
 もう一つ分かったことがある。財政調整資金が17億円あるということだ。この数字も初めて見た。なにかあったらこの資金を使えるということだろう。「財政調整資金」という名目で資金がプールされているわけではないだろう。備荒資金等いろいろなものを集めて17億円あるということだがその内訳が見えない。財務課があるというならあるのだろう。
 今年度14億円の赤字を出して「改訂改革プラン」どおりに行かずとも、財政調整資金を使い一般会計からの資金補填で無理やり帳尻をあわせて来年度分の起債許可を下ろしてもらうことはできそうだ。

【病院経営の赤字拡大】
 問題なのは病院経営である。10月の定例市議会でH市長は本年度の実質赤字見込みを修正し12.3億円と答弁した。
 ところが医師の退職が相次ぎ14億円に実質赤字額が膨らむ見込みである。「改革ブラン」は修正されて11億円余の赤字見込みになっているが、さらに3億円ほど赤字が膨らみそうだ。
 それでも、「財政調整資金」の17億円を使えば一般会計からの補填が可能だ。来年度15億円を超える赤字を出しても、全額一般会計から補填できる。しかし、その次の年度あたりで、財政調整資金は枯渇するだろう。それ以降はまったく余裕のない綱渡りの財政状況となる。

【一般会計で補填できなければ病院はいずれ経営破綻】
 要は、病院事業の赤字を減らせなければ、いずれ病院経営は破綻するということだ年額15億円前後の赤字を出し続けたら財政調整資金で当面補填できても病院経営は3~5年で破綻しかねない
 財政調整資金が枯渇したら、職員給与の削減で財源を捻出しなければならなくなる。ここにいたれば市職員がさわぎだすだろう。夕張市職員や夕張市民がそうだったように、現実を目の当たりにしないとわからないこともある。

【経営は悪化の一途をたどっている】
 H市長になってから5年目だが、病院経営にはまったく具体的な改善がみられない。それどころか毎年赤字額の記録を更新して悪化の一途をたどっている。
 その一方で病院建物の仕様や院内情報システム仕様には経営改善のための視点が入っていないから建て替え後も大幅な赤字は継続する

【看護師や医師不足の影響】
 経営の不安定な赤字病院に応募してくる看護師はまれだから看護師が不足する。20名弱の看護師の定年退職がこれから4年くらいの間にあるようだが、補充が間に合わなくなり、入院病棟の閉鎖を余儀なくされるような事態が予測される。
 医師のほうはどうだろうか?8月末には16名いた常勤医師のうちすでに2名が退職し、さらに噂される医師が退職し、補充できなければ4月には常勤医師数が10人へ減少する。
 今後5年間ほど病院事業は経営悪化の一途をたどることになりそうだ。そこへ62億円の巨費を投じて病院の建て替えがなされる。

【暴走機関車が走る】
 市立根室病院の経営破綻を防ぐためには年額8億円以下を目安として実質赤字縮小を図るべきだが、H市長にはそういう意識も具体策もない。ただただ「オール根室(=地元経済界)」を叫び、病院コンサルタントの提言(総事業費25~30億円)を無視して突っ走るのみだ。

【縮小均衡の可能性】
  医師が不足し、看護師が不足し、病棟閉鎖が起き、縮小均衡に至れば病院事業の実質赤字額も小さくなる可能性はある。患者は不便になるが、病院の赤字額は減少する。これはこれで病院機能の縮小という現実的な問題をはらむ。根室の地域医療は隘路にあるようだ。

【もうひとつの不安】
 借金返しに国の交付金を当てにしているが、国家財政は破綻寸前である。これから5年で国の借金はさらに250兆円ほど増え1100兆円を超えることになる。
 国債残高と政府保証債務の合計額が1000兆円を超すのは来年か再来年である。この辺りで地方交付税交付金制度が全面的に見直し、カットされる可能性が高い。62億円の総事業費のかなりの部分が交付金を当てにしているのである、危ない。
 建物部分の起債の償還期間は30年だというから、交付金制度の見直しに必ず引っ掛かることになる。ほとんどの期間が交付金での補填なしで、返済を余儀なくさせられる。そのころには関係者はみんな退職していて知らぬ顔か?いや図々しく市議や「オール根室=地元経済団体」の重鎮を続けている者は何人もいるだろう。情けないがそれも「根室の旧弊」のひとつではある。

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