#1300 患者の安全管理(3):三つの例 Dec. 11, 2010 [33. 地域医療改革の烽火]
「市立根室病院医療事故等公表基準」によれば「レベル4医療事故は「事故により、死亡した場合」と規定されており、過失のある事故は「原則公表する」*となっている。
問題は「過失」があったかなかったかで、医療事故で診療側の過失を立証することがとてつもなく困難であることは知られるとおりである。
いずれにせよ程度の問題はあれ過失がある場合は、その原因を究明し再発防止策をとることは当然の義務である。
心臓カテーテル検査禁止を言い渡していた医師に院長は再開を認めたようだが、禁止していたことを再開するには再発防止策がとられていなければいけないのだが、事故の有無さえ確認できないから、ましてや適切な再発防止策がとられているかどうか市民は知る術がない。
さて、もう一つの医療事故は2010年に起きている。外科であるが、具体的な情報は差し控える。レベル4の事故の発生月と科名の情報公開を求めたが確認できなかった。残念ながら、事故処理されているのかどうかすら不明のままである。
H市議のブログに11月28日書き込み**があった。患者が死亡して家族へ連絡が入り行ったときには死後硬直していたというものである。何度か巡回したはづだが、気がつかなかったのだろう。問題は死亡に気がつくまで、死後どれほどの時間が経っていたのかである。
どういう「事故処理」がなされ、どのような再発防止策がとられたのだろう。病院側が事故について規程(「公開基準第5項*)どおりには情報公開をしていないから、情報の真偽は定かではない。定かではないままあいまいな情報が噂として流れる。こういう情報が積み重なって病院の評判が落ちていくのは病院にとっても患者にとっても不幸である。
事故が事実なら再発防止策を公表したほうが入院患者や家族は安心できる。
こういうことは従来、「噂」として流れていた。自分の身近にいる者だけでもそれぞれの市民が複数件の誤診例を知っているだろう。市立病院には長い歴史があり、根室の中核病院として君臨してきた。よかろうが悪かろうが選択の余地のない市民も多数いる。どれほど医師が頻繁に交替しても、誤診の山を積み重ねても、市立病院に頼らざるを得ない患者は多いのである。
だからこそ、誤診をできるだけ少なくし、医療事故を防止するように病院側も努力してもらいたいと願う。
誤診も命にかかわる医療事故も、命を扱う医療だからこそときに起こるのは避けがたいのだから、無用の誤解や尾ひれがついて噂となって流れないようにきちんと情報公開することが大事なのではないだろうか。
いつどういう事故が起きてどのような再発防止策がとられたのか、それだけでいいのだが…できませんか?
---------------------------------------------------
*「市立根室病院医療事故公表基準」は以下のようになっている。
5.公表すべき主な内容
原則として、次の項目について公表するものとする。
(1) 発生した事実:日時、場所、状況、原因
(2) 当該関係者に関する情報:所属、専門分野、経験年数、学会専門医/認定医等
(3) 今後の対策と改善状況
(4) その他、必要と思われる内容
7.患者様及び家族への配慮
(1) 公表にあたっては、事前に患者様及びご家族等に十分説明を行い、原則として書面により同意を得る。
(2) 公表する内容から、患者様や職員が特定、識別されないよう十分配慮する。
**H市議のブログに載ったコメントを一部抜粋
(H市議のブログへジャンプするにはわたしの「読んでいるブログ」のリスト(右側の欄)にあるのでクリックすればよい)
・・・(市議の)先生方は 器だけ 新しく 大きくなれば 市民は安心して この市立病院に 命を預けられるとお考えなのでしょうか?
もし そうなら 大きな間違いです。
先日も 入院患者が 亡くなりました。
そして 家族に連絡が入ったのは すでに 息を引き取り 冷たくなり 死後硬直で硬くなってた 状態だったそうです。
病院側の理由として その日は休日だったため
気がつくのが遅くなり 看護婦が 気づいたときには
すでに 死亡されたました。と言うことでした
信じられますか? このような説明・・・
--------------------------------------------------
**#1299 患者の安全管理(2):心臓カテーテル検査
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-12-09
#1298 患者の安全管理(1):確認できなかった医療事故
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-12-07
11月28日のH市議のブログへの書き込み、読みました。市立病院の多くの複数科の医師は、隔週の週末に診療情報収集と言う名目で根室を離れます。その際内科や外科などは一人の当番医を残しますが、外科は完全なチーム医療ですから誰が残っても良いのですが、内科の場合は多くの医師が各々受け持っている患者を一人の医師がまとめて診ることになり、正直手が足りないのではと思います。また自分の患者の様態が悪い時でも受け持ちの医師は留守番の医師に託して帰省してしまいます。一人の患者さんが危篤状態の時に患者やその家族が知らない医師に任せて自分が顔を出さない・・・これが果たして良い事なのか否か。また今の時代に医師に来てもらうためには、それは当然で仕方が無いことなのか。言い換えれば、市立病院の13人の医師の中で、果たして何人が根室市民なのか。
何人が仕事をするため遠路遥遥根室に出張で来ているだけなのか。そして市民はそれをどう思いながら見ているのか。
by NO NAME (2010-12-12 00:41)
月に2回の公費負担による帰省制度は両刃の剣かも知れませんね。普段市立病院で患者さんのために一生懸命に努力していれば、根室まで来て貰うのだからそのくらいは仕方が無いと市民が認めてくれると思います。しかし帰省が「就職時の約束で当然の権利だ!」と診療を無視して主張するなら、やがては市民の反感を買うでしょう。もう既に市民の市立病院に対する信頼は”風前の灯”ですから。
by 通行人 (2010-12-12 00:51)
危篤と聞いて駆けつけて、医師に脈を取られて「ご臨終です」と言われて泣くのと
「気が付いたら死んでいました」と電話で知らされて泣くのとでは
同じ泣くでも随分意味が違いますね
どんな名医でも死ぬ時は死にます
後者には肉親を亡くした悲しさのほかにまともに扱ってもらえたのかとどうかという疑念と悔し涙も混ざっていそうですね
正直言ってわたしも入院するなら根室市立病院はいやですね。でも、かといって良いところを知っているわけではないし、知っている人が来てくれないところも困るし
病気にならないように祈るしかないですね
そして良い医者がきますようにと祈るしか
by もやしさんま (2010-12-12 15:58)
"NO NAME"さんへ
夜中の巡回は医師ではなくて看護師さんがやっているのではないでしょうか?
私は釧路医師会病院にしか入院したことがないのですが、夜中に息を引き取ったら、あの巡回体制なら必ず見つけてもらえます。2度回ってきてくれていました。
だから、手が足りないとのご指摘には同意しかねます。
足らざるところがあるはず、何かが違うのではないでしょうか。
原因を分析して再発防止策を公表してほしいものです。
医師の月2回の帰省の問題は、医師側のメリットと患者側のデメリットと悩ましいところです。
>市立病院の13人の医師の中で、果たして何人が根室市民なのか
刃を突きつけるような鋭さがあります。
容態が悪化しているときに主治医がいなければ患者は心細いでしょうね。
市立病院の患者はそういう思いをしょっちゅうしているのです。
それでも医者にはいてもらいたい。
by ebisu (2010-12-12 19:46)
"通行人"さんへ
お説の通りです。
月2回の公費負担による帰省は諸刃の剣でしょう。
長い長い目で見れば、帰省の必要のない地元出身の医者を育てるために奨学制度に関する条例をつくるべきなのでしょうか?
いったいどういう案がありうるのか?
わたしにはわからない。
だがいま何もしなければ、30年たっても状況は変わらない。
by ebisu (2010-12-12 20:11)
"もやしさんま"さんへ
情けなくて泣くのはごめんですね。
わたしの親父はまだ陽のあるうちに市立病院で息を引き取りました。しっかり看取っていただきました。
私自身は意識のハッキリしているうちに挨拶を済ませ、苦しまずに死ねれば看取ってもらわなくても構いませんが、病院で亡くなってから半日も気づかれずというのは寂しいですね。
夜中の巡回体制、患者のチェック手順の大まかなところを公開すれば入院している患者もその家族も安心できます。
市民のかなりの数の人が地域中核病院である市立病院で亡くなる。地域住民にとっては、最後の時を過ごす大事な大事な病院でもあるのです。
by ebisu (2010-12-12 20:23)
同じ事を繰り返し書き込みし、自らの受診態度を反省せず。
現場の苦労など知りもしない。
いつまでたっても医者はいつかない。
医者が居つかない原因が半分は市民にあることすらわかっていない。
医者は去れるが、我々は市立病院に居るしかない。
エビスよ、アルバイトで看護助手や深夜の受付業務でもやってみな!
市民の非常識さや他の側面がわかるでしょう。
エビスの見る側面はあまりにも偏っている!
by 反省しない市民 (2010-12-12 21:49)
"反省しない市民"さんへ
わかりません。
市民全部が非常識なわけではないでしょうから、一部に迷惑な受診をする人がいる、事実でしょうね。
私もたしなめたことはあります。
それから、仕事の泣き言はやめましょう、みっともない。どんな仕事もそれなりに苦労はあります。でも、多くの人はそれを受け止めて、創意工夫しながら日々現状を改善しています。
民間企業では当たり前のことのようにそうしています。
私が入院した釧路医師会病院は働く人にとってはきつい病院でした。40日の入院中、病院経営を観察させていただきました。民間病院ですからきついのは当たり前です。民間病院と自治体病院の処遇の違いをご存知ですか?それでもしっかり仕事していますよ。
病院側はもっと情報を発信されたらいかが?
どういう受診態度が困るのか、具体例で挙げたらいい。
案外そういう迷惑な受診をする人は気がついていないかもしれない。
小児の夜間受診だって、判断がつかないお母さんたちがたくさんいる。
どういう場合に夜間受診すべきなのか、どういう場合に翌日受診すべきなのか、繰り返し伝えるしか改善の方法はないでしょう。
丹波柏原病院小児科を守る会のようなものがあればコンビニ受診は減らせるでしょう。
市民とのコミュニケーションを断絶するH市長と同じラインであなたは仕事をしてはいませんか?
この数年間病院建て替え事業の進め方を見てきましたが、患者や市民とのコミュニケーションをおろそかにしてきませんでしたか?
お互い反省すべきことは多々あるのでしょう。
わたしの見方が偏っているなら、具体的に書き込んだらいい。現場で困ることがなんなのかも書き込まれたらいい。内容によってはわたしも本欄で採り上げたい。解決の方法を一緒に模索してみようじゃないですか?
いい病院があればいい。
あまりにも杜撰な建て替え計画に腹が立ってその延長線上で病院運営批判をしていますが、建設的な意見には耳を傾けます。
院内にも意欲のある課長さんはいるはず。一緒に改善の努力をしてください。先日お会いした院内の課長さんの目は死んでいませんでしたよ。
どうぞ私への批判でも、一部の不心得な市民の受診の仕方でも具体的にお書きください、声を上げましょうよ。声を上げてもらえばebisuも協力できます。
期待しています。
by ebisu (2010-12-12 23:09)
”反省しない市民さん”ですか。なかなか言い得て妙なハンドルですね(笑)。ところで仰る内容には今一納得できません。「市民が悪いから医師が居なくなる」=病院のことばかり問題にするのは片手落ちである、でしょうか。では病院の問題点を検討するのは間違っている? それならば「この程度の国民なんだから自分達の政府で十分だ。非難される覚えが無い」と民主党が言うようなものですね。
どこの中核病院でも地元住民の夜間コンビに受診や時に受診態度の悪さに頭を悩ませています。根室だけではありません。でも根室ほど医者は辞めて行きませんよ。彼らが辞めるのにはもっと”根本的な何か”があるからでしょう。それをここで論議しているのだと思いますが。
by 通りすがり (2010-12-13 08:53)
別海でも小児科医、外科医が居付きません。特に小児科医は60過ぎの前前任者、次の小児科医も半年で辞め、この間夫婦で来たばかりの小児科の女医もどこへ行ったのやら・・・。別海の給料は他に比べてかなり優遇されている筈ですが、それでも辞めて行く。医者に苦労しているのは根室だけでは有りません。
by 隣町の住民 (2010-12-14 09:25)
"通りすがり"の方解説ありがとうございます。
>彼らが辞めるのにはもっと”根本的な何か”があるからでしょう。それをここで論議しているのだと思いますが。
仰るとおりです。
病院のことは市民は自分や自分の身近の者から、口伝えにいろいろ噂を聞くのみで、市の広報が黒字だと書き立てるものだから本当に黒字だと勘違いしている人が大半です。
先生たちがお辞めになるのはなぜだろう、先生が頻繁に替わるのはなぜ?
疑問を押し殺して、聞くに聞けずにいるのです。いえ、誰に聞いたらいいのかすら分からない。
市長すら市議会で堂々と建て替えに関する市民説明会を拒否している町です。
病院に関する情報が少なすぎます。何が問題なのかをもっともっと論議しましょう。
だまっていればよくなりましたか?よくなりません、悪くなります。しまいには市立病院が診療所になりかねないのです。
by ebisu (2010-12-15 00:38)
"隣町の住人"さんへ
お久しぶりですね。
そうでした、根室だけではありませんね。別海も苦労していますね。せっかく来た小児科医もすぐにいなくなり、何だったのでしょう?
別海も根室も僻地です。札幌や東京とは比べものにならない。男の医者なら妻がなかなか同意しないでしょう。子どもがいたら「教育をどうするの?」。別海も根室も全国最低レベルの北海道でさらに最底辺の学力レベルです。学齢期の子どものいる医者は無理だと考えたほうがいい。
その一方で豊かな自然に恵まれています。子供が独立してしまった医者なら、数年間自然の中で診療に当たりたいという人はいるでしょう。
お金で釣るだけではなくて、「自然で釣る」手もあります。荒唐無稽に聞こえるかもしれませんが、やり方次第です。
道東の自然の豊かな町の公立病院で数年間自然を満喫して働きませんか、というようなことで別海と根室が共同して医師募集をかけたっていいのです。
募集する診療科と待遇を明示して。週5日労働を前提に算定した給与をもとに、週3日なら年収いくらというように。
現状を変えようという意欲と智慧が必要です。オープンな論議から何かが生まれればいい。
別海も根室も同じ問題を抱えています。同じ欠点と同じ利点を持ち合わせている。
町民・市民レベルで一緒に考える機会が欲しいですね。
ブログって便利です、別海の方とこうして情報や意見のやり取りができるのですから。
by ebisu (2010-12-15 00:53)