#1299 患者の安全管理(2):心臓カテーテル検査 Dec. 9, 2010 [33. 地域医療改革の烽火]
【情報公開:それぞれの担当部署&担当者の対応はよい】
根室市へ情報開示請求を何点かしたがそのほとんどは速やかに処理され、対応も丁寧なものであったことを付記しておきたい。
医療事故関係の内部規定3点は即日メールにて情報管理課担当者から送付いただいたし、平成20年度のシステム更新投資については財務諸表付属明細表に載っていないこと自体が誤解を生むとの説明も聞いたいただいたし、投資の明細についても後日市役所に別件で伺った折に、担当者を同行して管理課長が納得のいく説明してくれた。感じのよい対応だったことを記しておきたい。
数年前に問い合わせて折りを思い起こせば、経理担当者が私の質問にやはり丁寧に答えてくれた。このようにほとんどの情報は問い合わせたり、出向いて聞く労を厭わなければ親切な説明がえられる。現場の担当者や管理職はおおむね市民の方を向いて仕事をしているように日頃から感じている。
事故報告について問い合わせに応じない、情報非開示のかたくなな姿勢がある一方で、そうではなく市民へ積極的に情報開示をしたいという二つの力が市役所内部でせめぎあっているようにみえる。
市民に背を向けた情報非開示のトップは市民説明会を拒否したH市長であることはいうまでもない。アカウンタビリティを重視するトップへ替われば市役所の現場担当者はもっと仕事がやりやすくなり、市民は市政に信頼を寄せられるのだろう。
【裁判係争中の医療事故にかかわる心臓カテーテル検査】
さて、市立根室病院は現在裁判中の医療事故を1件抱えている。それは心臓カテーテル検査に関するものである。私は医者ではないから診療のことについてはよくわからないのでウィキペディアを検索して調べてみた。
*「心臓カテーテル検査」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BF%83%E8%87%93%E3%82%AB%E3%83%86%E3%83%BC%E3%83%86%E3%83%AB%E6%A4%9C%E6%9F%BB
詳細は上記のURLをクリックしてお読みいただきたい。この検査は動脈からカテーテルを挿入して動静脈の形態観察や心血管造影検査をするものである。合併症の頻度は1%と記してあるから、トレーニングを受けた医師が適切に行えばそれほどリスクが高い検査ではないようである。
検査後種々の合併症が起きることがあるようで、検査後の患者の経過観察が慎重になされなければならない。
どういう合併症があるのか典型的な例を一つだけ挙げておく。
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*「心タンポナーデ」 ウィキペディアより
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BF%83%E3%82%BF%E3%83%B3%E3%83%9D%E3%83%8A%E3%83%BC%E3%83%87
心タンポナーデ(しん-)とは、心臓と心臓を覆う心外膜の間に液体が大量に貯留することによって心臓の拍動が阻害された状態である。容易に心不全に移行して死に至るため、早期の解除が必須である。
特に外傷や大動脈解離の上行大動脈型等の大血管損傷が原因の場合、急速に死に至る可能性が高く、早期の診断と手術が必須であり、また手術に至った場合も救命率はきわめて低い。 上記以外の原因の場合は、心腔穿刺にて排液を行えば症状は急速に消失する。
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【心カテ検査とリスク管理】
検査で出血が起き血圧が下がることがあるらしいが、手術が必要になるから、心臓血管外科医のいる病院での検査が望ましいという意見もある。
リスクは1%と低いから、担当医師のスキルや検査後の患者の管理体制がきちんとなされれば特に問題のある検査ではなさそうだ。
コメント欄への書き込みによれば、H院長は(ある医師の)心臓カテーテル検査の再開を認めたようだ。再開を認めたということは、最近まで禁止していたということ。何か理由があったから禁止していたはずである。
【専門外科医のいる体制でないとやれない内視鏡検査がある】
わたしは心臓カテーテル検査については知らないが、胃カメラ検査なら身をもって体験しているので、そのことを書こうと思う。
4年前に食事の後、膨満感が半日しても収まらず、夜寝ると胃液が逆流して食道が焼けるという症状が始まった。数日後に食べられなくなり、女房に叱られて地元の消化器内科で生まれてはじめての胃カメラ検査を受けた。その当時は市立病院には消化器内科医も外消化器科医もいなかった。
いくつかの理由から胃癌という自覚があったのでその旨告げて検査をしてもらったが、結果は内視鏡での診断で癌だということだった。念のために採取した細胞を病理検査に回すという説明があった。同時に行った血液検査も癌マーカーは高い数字を示していた。
スキルス胃癌を疑っていた私は、粘膜細胞を採取して病理検査するように担当医へお願いしたが、これは断られた。そのおりの説明はこうだ。
「粘膜から細胞を採取する際に胃壁を破るリスクがあるが、根室には消化器外科医がいないので万が一のときの処置ができない、釧路の病院に入院してすぐに検査を受けるべきだ」
固形物は胃の出口をふさいだ「癌組織」で通らないから、ヨーグルトと水分補給のみでやりすごした。最後の授業になるかもしれないので気が張っていた。2週間後に生徒たちの期末テストを控えていたので、テスト前日までの授業を終えて、テスト当日釧路医師会病院へ入院した。きちんと仕事をし終えたから気分は爽快だった。人間死ぬときには何をどうしても死ぬし、死なぬときは死なぬもの。死ぬも生きるも天が決めることという気分だった。根室の専門医のO先生、消化器内科医のT先生、執刀医のG先生、手術を見守ってくれたA院長、時々思い出してはこころの中で感謝している。
釧路医師会病院はその当時消化器内科医と消化器外科医の揃った専門病院だった。いい医者や看護師がそろった患者満足度の高い優れた病院だったが、残念ながら3年前に旭川医大の医師引き揚げで廃院となった。スキルスの診断をつけてくれた内科医、アケトジのところを大胆に切ってくれた外科医そして看護師さんたちに命を救ってもらった。
【判断を変えた根拠の開示】
検査といえども専門外科医のいないところでやらないほうがよい検査があることは事実である。
さて、本来はリスク(1%)の低い心臓カテーテル検査を市立根室病院でやっていいかどうかについては専門家の意見はどうなのだろうかと思う。
H院長は以前はなぜ(ある医師の)心臓カテーテル検査を禁止し、いまどのような理由で解禁するのだろう。
*コメント欄への書き込みあり
病院のホームページに消化器外科医がほとんど経験のない心臓血管外科医との紹介があるという。わたしも検索して確認した。ホームページばかりでなく、今年4月1日付けで作られた「病院案内」も同じである。
第3回定例市議会で赤字が拡大している原因を問われて病院の担当者が「病院が患者から信頼されていない」説明したが、このような病院運営方針では患者の信頼がえられるはずもないだろう。
わたしは専門家ではないので、専門家と思われる書き込みの内容を紹介しておく。
「市立根室病院のHPを見て驚きました。消化器外科の筈なのに何故か外科・心臓血管外科と成っています。血管外科ですらないのに”心臓”血管外科とも成ると、これはもう詐称ですね。聞いた話では透析患者の内シャント作成が数例、手足の静脈疾患を何例かやったそうですが、それだけで血管外科を標榜するのさえおこがましいのに、あまつさえ心臓・血管外科ですか。もう呆れて物が言えません!
そんな態度だから取り返しの付かないトラブルを起こすんですよ。
」
**市立根室病院 「診療体制」
http://www.city.nemuro.hokkaido.jp/dcitynd.nsf/doc/8112c314aa2a18934925749f00213738?OpenDocument
私は昨日のブログで小規模病院で無理をしてはいけないと書いた。無理をすると医療事故は増えることになるだろうから、無理のない範囲でやってもらうのが患者にとっては安心だ。
H院長が心カテ禁止にしていたのはK医師だけで、日本でも心カテのトップ病院を回ってきたベテランのA医師はずっとやっていました。ですから病院として心カテをするレベル云々は関係有りません。
by 事情通 (2010-12-10 13:59)
具体的な情報ありがとうございます。
ということは、特定の医師のスキル等の問題ですか?
きちんとした医師なら1%のリスクでしっかり管理できるので、特段心配する必要なしと理解してよいのでしょうか?
ご意見を尊重し、括弧書きをつけて本文を修正します。
by ebisu (2010-12-10 14:25)
特定医師のスキルそのもの(心カテの操作)はあまり問題にならないのですが、心カテ前後に付随した患者さんや家族とのコムニケーションに問題が有ったと聞いています。それで院長がしばらく「その医師の心カテ禁止措置」を取っていたのではないかと推測しています。
by 事情通 (2010-12-10 16:29)