【村の論理:村の住人と根室市民の対立】
 第三回定例会二日目(10月27日)、本田市議の一般質問とH市長答弁を傍聴してきた。市長は「村の論理」を振りかざした。
 村とは「オール根室」村のことである。その村の中でしか通用しない論理で、北大も旭川医大もそっぽを向く。もちろん、99%の根室市民はこの村の住民ではないだろう。

【強引な進め方を咎める】
 本田市議はこれまでの強引な進め方を具体例をいくつか挙げて咎めた。二つ挙げれば、3月か4月に道の審査が翌日という日に議会へ承認を迫った。議論をさせないためだろう。H市長は「明日審査があるから今日通してもらわないと困る」そう言った。
 もうひとつは、基本設計が完了する3月までに収支見通しを提出すると昨年夏ころ言ったはずだが、3月になっても建設後の収支見通しは提出されなかった。示さないまま市民整備委員会に総事業費の承認を迫り、その翌日市議会に承認を迫った。市民整備委員会がしぶしぶ承認したことで市民への説明は終われりということだ。
 そして今度は基本設計ではなく、実施設計が終わらないと総事業費が固まらないので収支見通しは出せないと変った。ころころとその都度言うことが変ってしまうのはH市長の性癖かもしれない。都合が悪くなる都度先延ばしというのが共通パターンに見えてくる。今日の答弁だと事業着工のほうが先になりそうである。
 H市長は「強引にやったことは一度もない」と声を荒げた。ご本人は本当に自覚がないらしい。こういうのを「老害」というのだろう。

【論理矛盾:シミュレーションは1日でできる】
 総事業費63億円(システム投資が除外されている)と自ら言っているのに、総事業費が決まらないから収支見通しが作れないという。論理矛盾だ。説明になっていない。
 もちろんこれも嘘だ。私はこういう面ではプロだが必要な資料を提出していただければ、1日あったらシミュレーションはできる。最尤値と最悪の場合と二通りのシミュレーションが簡単にできるだろう。

【市長がいう市民とは市民整備委員と市議のこと】
 病院建て替え市民整備委員会へ報告しているから、市民への説明が済んだという。これ以上やるつもりはないと。自ら委嘱した委員に説明して、それで市民への説明だという傲慢さにあきれた。市議は市民の代表だから、市議への説明で市民へ説明したことになるとも言った。細かいことは行政に任せてもらえばいい。市議には分からないとも。もちろん市民整備委員もだ。細かいところどころか大きな収支見通しすら示していない。
 ニホロ移転案から突然現地建て替え案に変更したときにも十分な説明がなかった。そもそも前F市長時代に1度だけ行われた市民説明会で、当時助役だったH市長は、「現地での建て替えは不可能」と市民に直接言明したのに、医者の数が足りないから現地建て替えしかないと突然の方針変更したのは2年前だっただろうか?彼は不可能の理由に傾斜地であることと駐車場がないことを理由に挙げていた。
 これでは何を信用していいのかまったくわからない。H市長はその場しのぎの発言を続けてきたことが明らかだ。いままた、性懲りもなく同じことをやっている。

 今日の本田議員に対する市長答弁は誠意のないものであったと言わざるをえない。市民へはきちんと説明するつもりがないらしい。

【常勤医師数は年内に3名減少し13名に、4月には?】
 産婦人科医はどうやらこないことになったようだ。騒動を引き起こしたのは市長と事務長ではなかったのか?医師数は年内に3名減の13名に、4月にはさらに2名減る可能性があるようだ。雪崩現象を起こさなければいいが・・・

【予算と決算の乖離、改訂改革プランの精度はいかに】
 予算と決算の4~6億円もの乖離、「改訂改革プラン」が11億円の損失と言っているときに、今年度の損失見込みが12億円であると、病院事務局が公表。いったいどうなっているのとは市民の誰もが思う疑問だ。市長は、医者が一人退職しただけでも収益が大幅に違ってくると予測の難しいことを理由に挙げていた。昨日医者一人につき1.5~2億円と言っていたが今日は数字をあげなかった。ブログでインチキだと書いたので、誰かがご注進でもしたのだろうか?(ebisuは当ブログを意識して嘘がひとつでも少なくなればいいと思う)
 常勤医の数が予算でも「改革プラン」でもいつも過大に見積もられている。設定されている人数は理想値だろう。入院患者数も外来患者数もだ。そうなれば損失を8億円にできるという辻褄合わせの数字だ。一般会計からの繰出金を固定して、必要な売上を計算しているだけのことだろう。だから根拠がなくなる。あったらいいなという数字になっているからだ。
 民間企業でこのような無責任な予算を立てたら責任を問われる。クビです。ところがこれほど狂いが生じていてもH市長は責任を感じることすらないようだ。もちろん院長や事務長も。だから毎年好い加減な予算を提出し続ける。現実は何をやってもお咎めなしだ。市議会に病院事業のチェック機能はない。
 市議会はなめられている、なにをやっても文句を言う気骨のある市議はいないと思われている。

【今年度実質損失は14億円に膨らむ】
 本田市議は下期が前年並みでも今年度は12億円の赤字、麻酔科医がいなくなり外科手術が激減しているから入院患者数も大幅に減るので、年間赤字は14億円になるかもしれないと懸念を表明していた。わたしも、それぐらいの実質損失が出ると思う。
 決算で一般会計から補填できないだろう。来年度の予算を現実的に組めば15億円の赤字もありうる。

【病院事業損失14億円の一般会計への影響】 
 これほど病院事業会計で実質損失を出し続けて、一般会計はいつまでもつのだろう?
 病院事業会計の損失補てんを出来なかったらどうなるのか?病院事業単独での赤字を理由にした根室市の財政健全化団体指定はありうるのか?
 現実離れした、予算を作っていないで、正直に市民へ本当のことを明らかにすべきだ。夕張市は市民のほとんどが実態を知らないまま、突然に財政破綻した。市民は映画祭に浮かれて破綻寸前になっても財政悪化に気がつかなかった。
 根室市民は危険が事前に分かっている。これできちんと対処せずに財政破綻したら、夕張よりもずっと低劣だ。わかっていることを防ぎえなかった町ということになる。

【市民に危機意識の欠如】
 さて、根室市民の反応やいかに。市議定数削減に関しては一時的に市民運動が盛り上がったが、財政破綻を目の前にしても、市政批判をタブーとして黙り込むのだろうか?
 H市長は「オール根室村」の住人、根室に住む人の99%は「オール根室村」の住人ではなく、普通の根室市民だ。
 問われているのはH市長の暴走(狂走)ではない、わたしたち普通の一般市民の良識や公徳心、郷土愛*だ。

* patoriotism: strong feelings of love, respect, and duty towards your country
    MACMILLAN English Dictionary for advanced learners
  <生まれ育ったふるさとへの敬愛の念とふるさとのためになすべきことをなすという強い感情>

*#1030 「nationalism とpatriotism :遠藤利國訳・幸徳秋水『帝国主義』」
 http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-05-17


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