SSブログ

#1261 建て替え後の損益見通しを公表しにくい理由(1) Oct. 28, 2010 [33. 地域医療改革の烽火]

 ここに平成20年度の病院事業決算書がある。貸借対照表固定資産の部に「ロ.建物」がある。取得原価は8.9億円、四十数年前に建て替えたときの調達コストである。それに対して減価償却累計額が4.9億円で、未償却残高が4.0億円載っている。年間償却費は1770万円である。
 H23年度末には3.6億円の未償却残高が残っていることになる。建物を建て替えるとこの分の除却損が発生するので、実質赤字が3.6億円増えることになる。ほかにも除却するものがあるだろう。
*(除却損は一般会計からの繰出金の必要はない)

 すでに麻酔科医が9月で根室を去り、外科手術は激減である。もう一人の外科医が12月末で退職する。今年度の実質損失は14億円台に載りそうだ。医師の補充ができなければ来年度は15億円以上の実質損失が出る。そして、それに3.6億円の除却損が上乗せになる。減価償却費とリース料も3億円前後増えるだろう。つまり、建て替え初年度は損失が20億円を超えそうなのだ。こんな数字を公表したら市民がびっくりするだろう。なにせ、市の広報では市立根室病院は黒字だと繰り返し報じ、赤字の事実を隠蔽しているからだ。

 なぜこんなことになったのだろう。病院用建物の償却年数は39年である。耐用年数を50年で計算したのではないだろうか。それにしても45%も未償却残高が残っているということは、病院事業損益計算書をよく見せるために、減価償却をしなかった期間があるのではないだろうか、そう受け取られても仕方がないだろう。どういう事情でこのようなことになったのか、説明すべきだろう。
 上場企業でそういう処理をしたら、監査に限定意見がつく。見過ごしたら粉飾決算になってしまう。
 赤字は赤字特例債で繰り延べし、昨年度から返済が始まり、病院事業会計を窮地に追いやっている。減価償却もそういう疑いがある。
 医師確保を声高に叫ぶのみで、経営改善はまったくなされない。つねに問題を先送りしてきたのが病院事業であるようだ。
 後になって大きな問題を起こさないためには、正直に誠実に仕事をすればいいだけである。どうしてできないのだろう?

 現実的な予定損益計算書をつくれば、建て替え年度の実質損失は20億円を超えるだろう
 反論があればコメント欄へ書けばよい。

にほんブログ村 地域生活(街) 北海道ブログ 根室情報へ
にほんブログ村


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0