根室の中学生の学力がこの数年間さらに急速に落ちている。今年度の学力テストは北海道は44位から転落し、ビリになったようだ。その北海道14支庁管内の中で、根室は最下位である。端的に言えば全国一学力の低い町だということだ。私塾経営者としてこの現状を深く憂えるものである。
 週2日はブカツを止め放課後補習に当てる、ブカツを5時までに制限する、土日終日ブカツを禁止するなどいくつかの有効と思われる提案をブログ上でしているが、一向にやらない。市教委と学校は根室の子どもたちの学力向上にとって抵抗勢力なのか?
 さて、今日の北海道新聞を見て驚いた。大人がどうやら足し算もできないらしい。選りすぐりのメンバーで構成されているはずの「市立病院の財政再建対策特別委員会」は何にも理解できないらしい。支離滅裂、辻褄の合わない市側の説明に肯くばかりでは、小学生に笑われます。解説は後でするから、まずは記事をお読みいただきたい。
 なお、この記事がオンラインニュースに載れば、URLを貼り付け、タイプ打ちした記事は削除させていただくことになるので、あらかじめお断りしておく(この手の根室地域版の掲載記事がオンラインニュースに載ることはほとんどない)。

市立病院改革計画
 市からの繰り入れ増額
  10年度以降3億~5億円 患者の減少反映
【根室】市立病院の財政再建対策特別委員会(山本連治郎委員長)が29日、同病院で開かれ、病院事務局が病院事業改革プラン(2009~13年度)を実態に即した内容に修正することを報告した。病院建て替え費用や、医師不足による患者減を反映した結果、病院事業会計への一般会計からの繰り入れは、年に3億~5億円程度増加する。(幸坂浩)

 改革プランは、市が08年度に発行した公立病院特例債を確実に償還するため策定。当時はまだ建て替えが決まっておらず、建て替えに伴う収支増などは反映されていなかった。プランの修正は10年度以降が対象。建て替えに伴う支出増を織り込んだだけでなく、計画通りの常勤医が集まっていないことによる患者減と収入源を反映させた。
 この結果、一般会計からの繰り入れは、年に3億~5億円程度増加。新病院が開院する12年度は、当初計画比5億3千万円増の11億9500万円となる。
 また、現在は199床ある許可病床を、建て替え後は135床にすることが決まっており、10月にも減床を前倒しで実施する。これで09年度は50%に満たなかった病床利用率は10年度以降は80%台になる。11年度以降は70%を切ると交付税が減額される見通しだったが、減床前倒しにより、興不在は回避できる。
 一方、プランの実施初年度となった09年度決算によると、一般会計からの繰り入れは当初計画比4億2700万円多い11億7300万円だった。医師不足による患者減などが理由で、特別委の委員は「新病院になれば医師が来てくれると期待したい」と話していた。

< コメント >
 せっかく幸坂記者がいい取材記事を書いてくれたのだから、新聞では書きたくても書けないだろうことを、ebisuがストレートに書こうと思う。

【年額11.7億円の大赤字の事実】
 「一般会計からの繰り入れ」とは実質赤字のことである。民間の損益計算書では経常損失に該当すると見てよい。「広報ねむろ」では病院事業は黒字と報告されている。6月の広報にあるはずだから確認されたら良い。
 つまり、2009年度病院事業は年額11.7億円もの損失を出したということだ。知らない市民が多いだろう。なにしろ、市側は病院事業は「黒字」だと市の広報で宣伝しているのだが、それは大ウソである。名目ではなく、きちんと実質を説明しろと言いたい。

【インチキ改革プラン】
 2008年度に策定したプランよりも2009年度実績は4.27億円も赤字が膨らんで、11.73億円にもなったとある。1年先のことすら4億円もの狂いを生ずる計画とはいったい何なのか。民間企業なら担当役員はクビだ。
 病院事業予算は毎年同じような額の差異を生じている。つまり、計画はひどく杜撰で、恣意的なものである。この好い加減さにはあきれてしまう。
 結論を言おう、修正された計画もアンダー・エスティメイトである。数億円の差異が出るだろう、説明しよう。

【建て替え後の損失は15億円以上になる】
 委員は足し算もできない人ばかりのようだ。だれがこんなメンバーを選んだのか?市長の諮問委員会だから、市長に都合のよいメンバーだけが選ばれている。病院建て替え整備市民委員会がそうだっただろう。あそこに説明しているので「市民への説明は終わっている、これ以上やるつもりはない」と市議会で本田市議の質問に長谷川市長が答えている。この委員会も同様で、市長の翼賛機関に過ぎない。
 さて、小学生でもできる算数の説明をしなければなるまい。バカバカしいにもほどがある。すでに年額11.7億円の実質赤字だから、それに建設後の償却負担4億円前後を加算すると15億円は越えてしまうだろう。
 こんな簡単な足し算すらできないのなら、恥ずかしいから委員を退くべきだ。このような好い加減な委員会で、また市民が承認したなどと市側にいいように利用されては困るのである。
 このように根室はマチの有力者然とした大人が一番程度が低い。その低い者たちが寄ってたかって、市長と一緒になって根室の夕張市化を促進している。

【病床利用率70%】
 135に減床しても病床70%では95ベッドの稼動が必要になる。昨年の数字だったか、90前後だったはずだ。麻酔科医と外科医が退職しているから、さらにベッドの稼動数は下がると見るのが「常識」だろう。
 「前倒しで減床」したってとても70%は無理で、交付税は減額されるのはほぼ確実だ。
 数字をひとつもチェックしない(できない?)で、病院側の主張を鵜呑みにする委員、異議を唱える一人の例外もない。

【医者が増えれば改善するというのは大ウソ】
 すでに16人にまで常勤医が回復しているのに、昨年は11.7億円の赤字、今年は12億円を超えるだろう。常勤医が3人まで減少した年よりも赤字幅は大きくなっている。なぜそんなことになるのか不思議だろう?事実としてそうなっている。それゆえ、医師が増えても、いまのやりかただと病院の損失は縮小できない。

【来年度の見通し】
 外科医と麻酔科医が退職し、補充がつかない。それどころか、市の幹部が北大小児科医局でバカな説明をしてしまったから、小児科の引き揚げが現実化しつつある。先にやめた外科医が引っ張ってきたドクターも今後どうなるか。他にも懸念材料だらけである。4月以降医師が何名か退職する可能性が大きい。道からの派遣医4名も、再来年には期限が切れる。市長と事務長はあきれるほど医療「音痴」である。根拠のないことを言うつもりはないから、おいおいブログで明らかにしよう。
 建て替え後の常勤医が仮に12名とすれば、病院事業赤字は20億円前後になりかねない。私たちは市の財政破綻という、たいへんなリスクにさらされている。
 そうした大きなリスクがあるのだから、市長は市民説明会を開いて直接市民へ説明すべきだ。

【勝手に減床を決めるな】
 135床に前倒しで減床するという。誰がそんなことを許可した。療養病床の問題が未解決だ。地域医療協議会は2年前に市立病院の休床分を療養型へ振り替えるべきだと提言している。療養病床がひとつもない市なんて、全国に根室以外にあるのだろうか?療養病床がないのはとっても恥ずかしいことだ。そして、年寄りを抱えた家族がたいへん困ることになる。介護施設と医療施設は役割が違い、代替できない。市長は介護施設がベッドを拡張するから大丈夫といっている。実際には介護施設ではケアできなくなった多くのお年寄りが、市内の精神科の病院に多数入院して亡くなっているのが現実の姿だ。精神科合計200ベッドの大半が本来は療養型病床で介護すべきお年寄りだろう。また、根室周辺の町の療養病棟に入院して、家族に看取られずに亡くなるお年よりも増えている。地元の病院で親戚・知人に看取られながら死にたいという切なる願いもかなえられずに亡くなる。
 抑制用の薬剤を使うとお年よりは急速に呆けていくし、歩く体力を失い、半年~2年前後の短期間で死んでいく。療養型でケアすれば、お年よりは何年も生を永らえ、自然な体力の衰えと共に子・孫・ひ孫・親戚・友人に看取られて亡くなる。
 療養型病棟をもつ周辺の町の病院からは、自分のところでケアすべきだと非難が始まりつつある。ほんとうにこんな恥ずかしい町のままでいいのだろうか?自分の町のお年よりは自分の町で最後までケアするというビジョンをもたなくていいのか?根室をそんな貧しい町にわたしはしたくない。


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