このような学力テストデータは学校の先生たちも、市教委も見たことがないでしょう。学力向上対策の貴重なデータであるにもかかわらず、市教委や町教委はふだんの学力テストデータを集めていません。データに基づかぬ学力向上対策を繰り返しています。的外れになるので、効果がないのは当然のことです。

 #4091で9月に実施された学力テスト総合Aのデータ12校を掲載したが、17校集まったので、再掲載する。
 緑色は釧路管内の中学校、青色は根室管内、色のないのは根室市内の2校である。
 表1は五科目合計平均点と科目別点数を、表2は「得点-平均点」を表している。17校平均点よりも低いところは赤字で表示されている。
 別海中央中の社会科が36.8点、17校平均点よりも+7.5点とダントツに高いが、これはこの学校の社会科担任の授業スキルの高さを表している。幣舞中学校の数学も+7.4でダントツに高いが、先生のスキルが高いことが原因かどうかは確認できていない。スキルが低くてこんなに高い平均点にはならないことはたしかだろう。阿寒中の理科も+6.3と高い。
 根室市の柏陵中学校では理科でいつも高い平均点を誇る先生が昔いたことがある。小テストを繰り返して、記憶の定着を図っていた。教え方そして学力アップの方法として正攻法だと思う。こういう教員を評価すべきで、教え方を真似すべきではないのか?
 先生たちは頻繁に研修をしているはずだが、実績をあげられない者の御託を聴いていてはいけない。ふだんの学力テストの点数を学校別に並べてみたら、どの学校のどの先生の指導スキルが高いかは一目瞭然とわたしには思えるが、違うだろうか?
 根室市内の2校は残念ながら、17校中16位と17位(最下位)である。市街化地域のもう一校、光洋中のデータは入手できていない。

 わたしは平均点が低いことを、すべてその科目を担当している先生個人の教え方に帰するつもりはない、もちろん他にも原因がある。たとえば、根室は3年前から高校入試が1校体制になり、半数の生徒が勉強やる気を失っているという事実がある。勉強しなくても、根室高校へ全員が入学できる状況が3年前から始まった。道内のほかの地域で、高校2校体制から1校へ編成替えになるところは、根室の轍を踏まないでもらいたい。2校を統合して単位制の普通科へ移行するという、道教委の高校再配置計画への警鐘が鳴っている。高校が学級崩壊状態になるだけではない、中学生とくに学力下位層のいっそうの学力低下を招くことになる。人材の劣化は地元経済に深刻な影響を及ぼすことになるだろう。

 釧路根室管内の先生たちは、データを見て生徒の学力アップがどうしたら図れるのか議論してみてほしい。もちろん、それぞれの市教委や町教委も、教育長もデータに基づく議論をして、それぞれの地域の子どもたちの学力アップに寄与してもらいたい。余計なお世話なんだろうな。
 この表は「釧路の教育を考える会」のM木さんの協力で作成できたので、かれに感謝、わたしには集められないデータです。





 
 
5教科計
国語
社会
数学
理科
英語


1
阿寒中
153.2
44.4
33.1
23.2
28.6
23.9


2
幣舞中
151.0
42.9
35.1
28.8
26.2
20.8


3
中春別中
146.1
45.0
30.8
25.7
23.8
20.8


4
白糠中
145.3
42.4
29.6
25.6
25.9
21.8


5
遠矢中
141.6
39.5
28.9
24.6
25.9
22.6


6
別海中央中
137.6
40.4
36.8
21.9
21.6
21.9


7
鳥取中
137.0
39.9
30.6
21.5
23.1
21.8


8
大楽毛中
136.7
39.0
29.2
23.1
23.6
21.8


9
鳥取西中
135.1
40.8
28.2
23.6
22.2
20.3


10
原中
134.2
38.2
33.3
20.5
23
19.2


11
計根別中
132.0
42.2
26.6
20.7
22.5
19.9


12
共栄中
124.8
37.2
25.9
19.3
20.9
21.5


13
広陵中
121.4
38.6
24.9
18.7
20.5
18.1


14
川北中
121.0
39.9
27.2
17.5
20.2
16.2


15
中標津中
117.8
38.7
28.7
17.3
16.4
16.7


16
啓雲中
111.4
36.1
25.5
15.8
16.5
17.6


17
柏陵中
107.3
36.6
23.0
15.8
17.6
15.8


 
合計
2254
681.8
497.4
363.6
378.5
340.7


 
平均
132.6
40.1
29.3
21.4
22.3
20.0


 
 
 
 
 
 
 
 


 
<(各データ)ー(平均値)>
 
 
 


 
 
5教科計
国語
社会
数学
理科
英語


 
阿寒中
20.6
4.3
3.8
1.8
6.3
3.9


 
幣舞中
18.4
2.8
5.8
7.4
3.9
0.8


 
中春別中
13.5
4.9
1.5
4.3
1.5
0.8


 
白糠中
12.7
2.3
0.3
4.2
3.6
1.8


 
遠矢中
9.0
-0.6
-0.4
3.2
3.6
2.6


 
別海中央中
5.0
0.3
7.5
0.5
-0.7
1.9


 
鳥取中
4.4
-0.2
1.3
0.1
0.8
1.8


 
大楽毛中
4.1
-1.1
-0.1
1.7
1.3
1.8


 
鳥取西中
2.5
0.7
-1.1
2.2
-0.1
0.3


 
原中
1.6
-1.9
4.0
-0.9
0.7
-0.8


 
計根別中
-0.6
2.1
-2.7
-0.7
0.2
-0.1


 
共栄中
-7.8
-2.9
-3.4
-2.1
-1.4
1.5


 
広陵中
-11.2
-1.5
-4.4
-2.7
-1.8
-1.9


 
川北中
-11.6
-0.2
-2.1
-3.9
-2.1
-3.8


 
中標津中
-14.8
-1.4
-0.6
-4.1
-5.9
-3.3


 
啓雲中
-21.2
-4.0
-3.8
-5.6
-5.8
-2.4


 
柏陵中
-25.3
-3.5
-6.3
-5.6
-4.7
-4.2


 
17校平均値
132.6
40.1
29.3
21.4
22.3
20.0




(五科目合計点は各学校公表数字ですから、表の科目別平均点を合計しても「五科目合計点」にならない場合があります。全科目を合計してチェックしてみましたが、端数処理の計算誤差範囲を超えているとおぼしき学校が2校あります。)

 高校統廃合後の、根室の中学生の学力低下に驚いている。根室の教育関係者も地元経済団体も危機感をもってほしい。根室高校全入になって、中学生の半数程度が勉強する気を失っており、まだまだ下がりそうな気配だ。このままでは根室高校が学級崩壊する、いや始まっていると思った方がよさそうだ。学力テストの平均点から推しはかると、数学や英語の授業を聴いても理解できない生徒が半数生まれている。だから、高校の授業は生徒の学力に合わせて下げざるをえなくなっている。学力別クラス編成されている数学は、下位のクラスでは基本的な用語の解説すら端折られ始めた。説明しても無駄と考えているのか、たまたま忘れているのか…。例えば、「排反事象」等の教科書記載の基本用語。
 根室高校の進学実績も急激に悪化しつつある。状況は<余談>に書いておきます。
(昨年は五科目合計点が100点を切った中学校が2校ありました)

◎ 釧路管内と根室管内の市教委や町教委は、ホームページ上で(人数が10名以下の郡部校を除いて)学力テストデータを公表してもらいたい。だれもこのようにデータを比較してみていないのですから、せっかく学力テストをを実施しても、学校別・科目別の比較して使われないのでは、なんのための学力テストでしょう。それぞれの市や町別の平均点と標準偏差も掲載してくれたら、偏差値はそれぞれ必要な生徒自身で計算可能になります。そういうデータが蓄積されたら、進研模試の偏差値との変換表も作成可能になります。中学生の時から自分の全国レベルの学力を知ることができるようになります。高校に入学してから、大学受験勉強をスタートさせたのでは遅すぎます。目標とする大学と自分の現在時点の学力にどれくらい差があるのか、中学生の時に知るべきです。

<余談:根室高校の進学実績の変化>
 道外私大への進学者数は(平成27年度、平成28年度、平成29年度、平成30年度)(41人、12人、8人、5人)、3年間で1/8に激減しています四年生大学進学者数は(114人、80人、55人、42人)と半減してます
 市内の就職者数は(46人、41人、29人、36人)と3/4に減っています
 これでは、転勤族や学齢期の子どものいる医師は根室に赴任するのを嫌がるでしょう。劣悪と言っていい教育環境です。

(10/7 平成30年度のデータを追記しました。)


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