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#4805 高1ベネッセ模試結果(1):うーん! Aug. 13, 2022 [71.データに基づく教育論議]

 6月に実施した高1対象のベネッセ模試(進研模試)の結果がでてます。ショックです。

データを(校内平均、全国平均、全国平均からの差)の順に並べてみます。
   国語 (29.5, 37.6, -8.1)
   数学 (16.3, 32.8, -16.5)
   英語 (19.0, 33.9, -14.9)
3科目合計(64.9, 104.4, -39.5)

 数学と英語の校内平均が20点を切ったのを見るのは2度目です。数学の根室高校普通科の例年の平均点は20-23点くらいでした。数学は25点で学年20番/120人くらいでしょうね。
 高校1年の6月に実施した全国模試でこれほど数英の点数が低いというのは、中学校の授業や指導に大きな問題があるということです。授業や指導のありかただけではなく、高校が一校体制になって成績下位層が勉強しなくても根室高校へ入学できるようになって、実質全入体制が5年続いた結果でもあります
 教える先生たちもたいへんです。なんとか授業についていけているのは、20人ほどと言っていいのでしょう。定期テスト100点の生徒が53点でした。99点の生徒が39点、それほど、全国模試と定期テスト問題の難易度に差があるということです
 大丈夫かな、こんなに定期テスト問題がやさしいのでは、ふだんの授業はまるっきり受験対策にはなりません。大学進学を考えている生徒たちは、難易度の高い問題集で、学校より先に、独力で、予習方式で勉強を強いられます。大学受験という視点からは、学校の授業はあてにならぬということ
 でもね、難易度の高い問題集を独力でそれも予習方式でやれる生徒は1~2%しかいません。この学年の生徒では2人いましたが、両方とも札幌の進学校を選んでいます。札幌北高校と光星高校。だから、独力で難易度の高い問題集をこなせる生徒は一人かもしれません。ゼロの可能性すらあります。

 学年トップが何点かはわかりませんが、国数英の三科目合計300点満点で150点前後でしょうね。全国偏差値で60くらいかもしれません。偏差値60は上位16%ですよ。全国レベルで上位16%に入る生徒が一人しかいないということになります。おそらく、120~150点の間に根室高校普通科の上位8人ほどがひしめいています。
 2018年の同じ全国模試で、根室高校トップは三科目総合偏差値で76.7、数英2科目だと79.4でした。昨年、根室高校から現役で国立旭川医大へ合格した生徒です。弊ブログ記事#3805にアップしてあるのでそちらをご覧ください。
 千人中の順位表で比較してみると、偏差値76.7は4位、偏差値60は159位になります。4月から札幌の進学校で勉強している根室出身の生徒は偏差値70は楽に超えているでしょう。一人は8か月教えたので、どの程度の学力になっているかは手応えでわかります。シリウス数Ⅰと数Aをそろそろ全問解き終わったころです。根室高校生で前期中間テストで数Ⅰ100点の生徒はそろそろ2次関数を10頁ほど残してますから、ようやく半分です。差が開きました。勉強スタイルを変えないといけないのですが、5か月たちましたが、切り換えられていません。札幌光星高校へ進学した生徒は4か月ほどで切り換えてます。切り換えないと札幌光星高校進学は無理でしたから、7月末に楚お母さんと相談に見えたときにそう伝えました。どうしたら寮のある札幌光星高校へ合格できるかという相談で、入塾相談ではありませんでした。授業中は独力での演習中心、モノも言わずに鉛筆がコトコトとずっと音を立てていました。質問は8か月で3回あったかな?完全に独力でやり抜きました。札幌へ行って部活と勉強を両立させてます。同じスタイルでやっているはずです。偉い奴です。根室高校から京大理系か東大理系へ現役合格してもらいたかった。わたしは来年はもう根室で教えていませんから、引き留めませんでした。札幌におじいちゃんやおばあちゃんがいる生徒は札幌南か札幌北へ進学したらいい。いない人は寮のある札幌光星高校がおススメです。根室高校が上位10人ほどを対象にした進学システムを整備できるなら、こういう生徒たちはきっと根室に残って勉強してくれます。1昨年、根室高校からでも難関大学である国立旭川医大へ現役合格可能なことを証明してくれました。道北・道東推薦枠で現役トップ合格してます。

 ベネッセの偏差値では、北大総合理系は偏差値64-65です。「みんなの大学情報」の偏差値では57です。

 8人の生徒たちが北大総合理系以上難易度の大学に合格するためには、これから猛烈に勉強して偏差値をアップしなければなりません。根室高校が、10名弱の生徒たちの学力アップにどういうシステムを用意するのかも試されています。学校の進路指導に関するマネジメントの巧拙が問われています。

 それにしても、これではいけませんね。中学卒業の時点で、基礎学力に大きな欠陥を抱えている生徒が8割以上いることになります。2校体制だった道立高校を統合した後に、中学生の成績下位層が学習意欲を失いました。勉強せずとも根室高校へ合格できるからです。
 道立高校が2校の地域のみなさんは、統合されて1校体制になったら、生徒達の学力がガクンと低下することを覚悟してください。

 根室高校普通科の生徒たちの学力低下は、高校だけの問題ではないのです。中学校の高学力層が枯渇化現象を起こしているのと、低学力の生徒が肥大化していることが、先にあるのです。
 都会と一番差が大きいのは就学前教育でしょう。この点ではベテランの元小学校教頭のMさんと意見が一致しています。小学校に入学するまでに、本を読むこと、ひらがな、カタカナで文字が書けること、足し算・引き算ができること、鉛筆の持ち方や箸の持ち方を躾けることなどにかなり差があります。「読み・書き・計算」の基本は家庭で教えるお母さんやお父さんが教えてしまう家庭が都会には多いということ。
 だから、解決も簡単です。就学前の児童のいるお父さんやお母さんを対象に、就学前の「読み・書き・計算」を子どもにどのように教えたらいいのか、具体的に説明してあげたらいい。定期的に説明会を開催して指導方法に関する質問を受けてあげたらいいのではないでしょうか。

 根室教育長の波岸克泰さんや根室市教委は根室高校生の全国模試のデータも見て、具体的な教育政策を考えてもらいたい。根室の町を支えているのは、根室高校で比較的学力が高かった卒業生達です。それがすごいことになっています。このまま放置したら、根室の水産業は30年後はどうなるのでしょう?支える人材がいますでしょうか?
 地元企業の経営者のみなさんも、学力低下に目をつぶったままでいたら、人材難で経営はジリ貧、20年後には会社がなくなっているなんてところが増えますよ。古里の子どもたちの学力低下を放置してはいけないのです。業界団体で教育問題を議論しなければならない時期にとっくになっています。なにもしなけりゃ、それなりの結果が20年を待たずに現れます。地元企業が次々に経営破綻すれば、若者は職を求めてますます根室を離れていきます。

 ところで偏差値57の北大総合理系は「難関大学」には入らないでしょうね、そんなにむずかしくありません。北大では獣医学部や医学部が「難関大学(学部)」に入るのでしょう。

<次回予告>
 根室高校の3科目合計点の校内平均は64.9ですが、これは全国偏差値ではいくつでしょう?次回#4806で採り上げ、計算してみます。

<余談:文武両道のサッカー少年>
 2010年頃だったと思うが、光洋中サッカー部が数人入塾した。その中に一人、面白い生徒がいた。学年10位くらいだったと思うが、1か月教えて、学年トップがとれていないのが不思議だった。逸材はすぐにそれと知れる。
「学年トップとれるよ、その気でチャレンジしてみたらいい」と伝えると、すぐにトップになった。それから何度もトップだったので、1年生の終わりごろに、「自分の勉強スタイルでいい、塾へ来なくても成績は落ちないよ、好きなだけサッカーしていい」、素直だった。1年で塾をやめた。こういう生徒は勉強スタイルをこちら側がいじらないほうがいいのである。自分のスタイルで伸び伸びやらせたら、どこまで伸びるか面白いので、黙って見ていたらいいのである。独力で合格したほうが本人もずっと楽しいはず。
 高校生になっても部活と「文武両道」を貫き、早稲田大学商学部へ現役合格している。いま早稲田大学商学部の偏差値は67.5-70である。IY君のお陰で、根室高校には早稲田大学商学部の推薦枠ができた。一度、成績不良の生徒を推薦して、赤点が複数科目あって留年したため、推薦枠が取り消されたと聞いた。いま推薦枠があるのかどうかわからぬ。



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