C中学校の定期テストの難易度が上がってきていたのは確認していたが、B中学校も定期テスト問題の難易度が上がった。学力テストに比べると平均点が2倍にもなる科目があったのだが、そういうイージーな問題作成が減ってきていることは、この地の子どもたちの学力向上を考えるうえで重要な変化である。
  データで確認してみよう。
  データは①Jun.1学期期末テスト、②Sep.2学期中間テスト、③それらの平均、④4月学力テスト、⑤9月学力テスト総合A、⑥それらの平均の順序に並べる。学力テストは満点が60点なので、比較のために⑥の平均点のみ百点満点に換算表示する。⑦=③-⑥
 
<B中>   ①J    ②S      ③       ④A     ⑤B       ⑥       ⑦
  国語   54.2   46.2   50.2    32.5    33.2    54.3    -4.1
  社会   73.8   68.5   71.2    18.1    20.8    32.4   38.8
  数学   54.5   48.0   51.3    18.3    17.2    29.6   21.7
  理科   46.9   42.3   44.6    17.8    15.0    27.8   16.8
  英語   63.3   48.5   55.9    22.1    23.5    38.0   17.9
  合計 292.7 252.0  273.2  108.8  109.7  182.1   91.1  
  ①J - ⑥合計 110.6
  ②S- ⑥合計   69.9

<C中>   ①J    ②S      ③       ④A     ⑤B       ⑥       ⑦
  国語   71.0   56.6   63.8   31.5     32.0    52.9   10.9
  社会   51.4   47.3   49.4   20.0     22.9    35.8   13.6 
  数学   50.2   38.3   44.3  16.0      14.9    25.8   18.5
  理科   53.8   47.8   50.8  21.5      18.1    33.0   17.8
  英語   53.7   40.4   47.1   21.7     22.2    36.6   10.5
  合計 280.1 235.0  257.6  112.6  111.7  186.3   71.3   
  ①J-⑥合計 93.8 
  ②S-⑥合計 48.7

  生徒たちの大半は「学力テストは成績に関係ない」と言い、定期テストの点数さえよければいいと考えているから、定期テストの難易度が極端に低くても70点も取れたら学力があると勘違いしてしまう。たとえば、B中で6月に実施された社会科で70点をとっても、学力テストでは38.8点しか取れていないのだから、社会科の学力はかなり低い。C中の6月の定期テストの国語も同様で、70点取れる生徒が学力テストでは52.9点だから、平均的な点数に過ぎない。国語の定期テスト点数が50点以下の生徒は小4程度の語彙力があやしい
  ⑦は学力テストの平均点を百点満点に換算して比較可能に処理した数字と定期テストの平均点を科目別に比べたものであるが、20点以上の差があるのがB中学校社会38.8と数学21.7である、問題の難易度下げすぎだから次回は改善を期待したい。
  C中の9月定期テストの国語問題は記述式の問題が多かった、それも教科書からの出題ではなく、授業では取り上げていないテクストからの出題だった。記述式問題の解き方に重点を置いた授業を数回したようだ。学力テストの国語平均点が数点アップすることを期待したい。記述式問題は苦手な生徒が多いから、その克服は効果が期待できる。

  五科目合計点で見ると、B中は6月の定期テストの平均点292.7点に比べて、9月の定期テスト252.0点は39.3点下がっているから、定期テストの難易度に変化があったと言える。全科目の難易度が上がっているようだ、とくに英語が大きい。C中は280.1から235.0点へ45.1点低下している。国語と数学と英語のテスト問題の難易度を上げたように見える。

  各学校で教えている先生たちは、簡単すぎる定期テスト問題の難易度を上げる方向に変えつつある。2回の学力テストの平均点を基準にして測定してみると、B中は6月の定期テストでは五科目合計平均点で110.6点差があったが、9月の定期テストではそれが69.9点に縮まっている。現状を変えようと努力している。C中は93.8点から48.7点へ縮まった。学力テスト問題と定期テスト問題の難易度格差が縮小しつつあるのは結構なことで、歓迎したい。

  気になるのは、根室西高校の入試が今年春から停止されたので、低学力層が勉強しなくなったこと。五科目平均点が上がらなくなった。以前は学力テスト総合A、B、C、模試へと15点くらい上がった。根室高校へ進学したいと下位4割くらいの生徒たちの中に秋以降一生懸命に勉強し始める者が少なくなかった。高校統廃合で学習動機が弱くなった。

<参考データ:教育こそ地域発展のカギ>
 5年前のB中4月の学力テストの五科目合計平均点144.7点であった。今年4月のそれは108.8点35.9点も下がっている釧路市内で一番学力の低い学校よりもさらに低い

  根室の教育関係者、とくに根室市教委は危機感をもってもらいたい。
  人口減少が年間400人だった十数年前に比べて年600人近くに加速しており、その点からも商売の環境はいっそう厳しくなるし、加えて資源の減少も加速しているから、地元企業は優秀な人材確保が必要不可欠、地元企業経営者こそ教育=学力向上に関心をもつべきだ。


<余談:6月定期テスト範囲の特殊性と出題難易度調整>
 6月の定期テストはテスト範囲が狭いので平均点が高く出る傾向があるのは事実である。数学に関していえば、「第一章 多項式」「第二章 平方根」だから、計算問題がほとんどである。それでも難易度の調整はむずかしくない。たとえば、式の展開問題、

   ① (a+b)^3
   ② (a-b)^3
   ③ (a+b)(a^2-ab+b^2)
   ④ (a-b)(a^2+ab+b^2)
   ⑤ (a+b+c)^2
   ⑥ (a+b)(b+c)(c+a)
   ⑦ (a-b)(b-c)(c-a)

 因数分解問題
 ⑧ 3x^2+8x-3
   ⑨ 6x^2+11x+3

  などの展開問題を出題することで難易度アップは簡単にできる。こういう問題をやらせることで、基本対称式や基本交代式の性質や概念に気がつく生徒がいるかもしれない。これらを授業で教えてもよし、教えずに既習事項の応用問題として出題してもよい。発展問題として学習指導要領の範囲を超えて高校の内容を先取りすることは数年前から公に認められているのだから、授業で高校の内容の先取り学習がまったくなされていないことのほうが異常な状態に見える。
 短文章問題を全体の3割くらい出題することで、計算偏重の出題を避けることができる。市販の問題集の中には短文章問題を付録に載せている便利なものがある。文章を読み、文字式を組み立てるのが苦手な生徒が7割はいるから、数学の学力を伸ばすにはこういう短文章問題トレーニングも不可欠だ。

*#3618 学力テスト総合Aの結果データ: ほめる教育 Sep. 23, 2017
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2017-09-23

 #2732 グッドニュース!:C中学校も学校全体で授業進捗管理 July 12, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-07-12

*#2608 A中学校授業進捗管理が格段に進化した:<教頭先生の仕事>  Mar. 1, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-03-01-1


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