台風10号がここ数日間南下し続けて暖かい海水からエネルギーを吸収し、超大型に成長しつつある。午前3時には南大東島の南310kmにあり、中心気圧945hPa、最大瞬間風速60m/sだそうだ。時速216kmだから新幹線の窓を開けて手を出すようなもの。すぐに骨折するような風圧である。オホーツク管内では2000ha、十勝管内では4600haの畑が冠水してしまった。前線が刺激されて今日も大雨が予報されているから、さらに被害が拡大しそうである。石狩管内や上川管内の水田は大丈夫だろうか?
 台風10号はいずれ反転して日本のどこかへ上陸するだろう。

 道立の農業大学校へ進学した生徒がお祭り前に戻ってきて、すぐに帰った。塾に顔を出して1時間ほどだべっていった。牛の世話をしているから1週間しか休みが取れないのだそうだ。高3のときに、大学進学をやめて道立の農業大学校へ進学するというので、家が農業をやっているわけでもないのにどうして「農業女子」なのか何度も話したが、決意が固かった。生き物が好きだった。犬を飼ってそれが年老いて死ぬと家の中でウサギを飼っていた。ペットを飼うのと乳牛を育てるのではずいぶんギャップがあるが、本人はすっかり酪農に慣れた様子。きれいにしていれば牛舎は匂わないのだそうだ。
 猛禽類の隼が牛舎に入り込み「食事」をするのには困ると苦笑交じりに語った。捕まえた小動物を床の上で食い散らかすから、床が血だらけになって残骸が残っている、それもちゃんと清掃しなければならない。隼は牛舎をキッチンと決めたようで、たびたび食材を調理して食べまくっているらしい。2年間で卒業だが、当初は大学編入を考えていた。編入には英語の試験があるのだが、この生徒は英語が嫌いだった。

「英語の勉強はじめたか?」
「いいや、やってない」
「そうだろうな、忙しいから」

 勉強しなければ大学進学はできない。農作業のあとの疲れた身体で勉強できるくらい辛抱力を育ててほしい。最初は30分でいいのだよ。
 地図を検索すると学校の牧場の横に川が流れている。今回の雨で洪水になっていないだろうか。洪水になっていたら後始末が大変だがそれも貴重な経験、2年間農業女子として自分を鍛えるカリキュラムのひとつと割り切り、ニコニコ顔で取り組もう。

 北星学園経済学部の生徒が顔を出してくれた。日商3級用の簿記の問題集を持ってきていたので聞いてみた。6月に受験したが不合格、3ヶ月ではほとんどの生徒は受からないから、11月の試験を受けることになる。3級の過去問をやりながら、2級の商業簿記の問題集をやるように薦めておいた。もう必要がないので、工業簿記1級の問題集と会計学の参考書を1冊あげた。この生徒には簿記の勉強を薦めたことはなかったが、簿記と経済学の両方の勉強をしていることがうれしかった。
 伝票会計の仕組みについて質問があった。伝票会計では入金伝票と出金伝票、そして振替伝票が使われる。その役割分担について理解できない部分があったようだ。
 役割を仕訳で考えれば簡単にわかる。「借方現金」勘定の仕訳が「入金伝票」のテリトリー、「貸方現金」勘定が「出金伝票」、借方・貸方の両方に現金勘定が出てこないのが「振替伝票」のテリトリーと説明したら、すぐに理解した。
 日商2級は商業簿記と工業簿記の2つの試験がある。工業簿記は製造業の簿記である。簿記は特殊数学だから、数学が得意な生徒は簿記も得意だ。この生徒は理系に進みたかった生徒だから、簿記の勉強に向いている。
 会計基準が変わっただけで日本の一部上場企業株の4割近くが外資の手に落ちた。会計基準の変更は企業の経営活動に大きく影響するから、経済学部の生徒は簿記の勉強をしっかりやっておくべきだ。
 この学校のマクロ経済学担当の先生は簿記知識があるようだ、珍しい。この生徒は経済学のゼミをとったと言っていた。経済学部卒で日商簿記1級なら就職は心配なしだ。入社したい一部上場企業人事部へ履歴書を送ればいい。ニーズはあるから新卒でなくても大丈夫だ。

 看護学校の3年生が夏休みで戻って来ていたが、数日いただけですぐに戻って勉強している。来年1月に国家試験だから、大忙しだ。

 札幌の高校へ進学した生徒がお祭りで太鼓叩きたくて戻ってきていた。いい顔して山車に乗って第一祭典区の太鼓を叩いていた。西部祭典区だっただろうか、根室高校へ進学した生徒がばっちり化粧して太鼓を叩いていた。ふたりとも気合が入って、これ以上楽しいことはないという表情だった。文武両道、勉強のほうもしっかりしているようだ。


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