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#3399 アルツハイマー型認知症の発症は防げる? Aug. 27, 2016 [A8. つれづれなるままに…]

  毎日よく雨が降る、昨日は83mmの降雨量だ。異例の南下を続けていた台風10号が反転して日本へ方向を変えた。南下して暖かい海水からエネルギーを補充して成長した台風は935hPaの超大型になった。今度は石狩平野を襲いそうだ。オホーツク管内と十勝平野で合計6500haの畑が冠水してしまった。ジャガイモや玉葱に甚大な被害が出ているから、値上がりは必須だ。生産者に大規模な被害が出れば、消費者も無関係ではいられない。みんなつながっている。

 朝、目覚めてラジオをつけると、NHKラジオ放送「文化講演会」をやっており、最後の10分ほどが聞けた。国立長寿医療研究センターの柳澤勝彦研究所長が認知症の予防と発症阻止について説明していた。
*国立長寿医療研究センター
http://www.ncgg.go.jp/topics/20150402.html

 子ども時代によく学習した者は認知症を発症しづらいのだというが、もう手遅れという人も多いだろう。
 だがあきらめる必要はない、「生涯学習する人はアルツハイマー型認知症を発症しにくい」のだそうだ。そういう人は神経細胞の細胞核が大きいことだけは臨床的に判明しているのだが、因果関係は定かではない。ようするに、神経細胞の細胞核が大きければなぜ認知症を発症しないのかそのメカニズムがわかっていないということ。そんな研究や証明は学者に任せておけばよい、わたしたちには結論だけで充分である。

 筋肉も脳の神経細胞も同じ原理で発達するものだと仮定すると、適度に使えば発達するし、使いすぎると炎症を起こし、使わなければ退化する。人間の身体機能はどれも使わなければ退化してしまう。こんな単純な理屈で考えてみたい。
 稗田阿礼が暗誦できた『古事記』や琵琶法師の『平家物語』、釈迦滅後の「如是我聞・・・」ではじまる数々の経典群も500人の結集での朗誦に始まったものである。500年間口承で伝えられたものが、パーリー語で書き取られ、サンスクリットに翻訳され、漢訳されて日本へ伝わってきた。最初は500人の脳と口で記憶され伝承されてきた経典群が、万巻の漢訳経典になっていまに伝わっている。口承で記憶を完璧に伝えるという能力は人間から失われてしまったようだ。

 脳の機能もまた身体機能の一部であり、使われない筋肉が退化していくように、退化するのだろう。

 団塊世代の皆さんは認知症予備軍であるが、人と話をしたり、本を読んだり、哲学したり、数学の問題を解いたり、英語の翻訳をしてみたりと、好きな学習をどんどんやったらよい。死ぬまでぼけずに暮らせたら幸せである。
 脳の機能障害は、脳血管障害などによっても起きるし、むしろそちらのほうが影響が大きいのだから、敵は認知症だけではない。
 柳澤さんはよい生活習慣を維持することが大事だと、3つ挙げている

○ バランスのとれた食事
○ 適度な運動
○ 良質の睡眠

 生涯楽しく学習し、脳に優しい生活をすることが大事なのだという。脳に優しい生活とは心臓に優しい生活であると説明していた。
 心臓に優しい生活とは、毎日バランスの取れた食事を心がけ、適度に運動して身体機能を維持し、ぐっすり眠ることだ。

 これくらいは自分の努力でできるだろう。ボケてしまえば若い人たちのお世話にならなければならない。
 ピンピンコロリとおさらばしたければ、自分にできる範囲のことをすればよい。世の中のお役にすこしは立てて、元気に長生きできるならそれもよい。そして死ぬべきときが訪れたら、それを穏やかに受け入れ、一言さようならとありがとうとつぶやいた後にこの世を去りたいものだ。


< 余談-1 >
 一年ごとに体力の衰えを感じている、昼寝している時間が多くなった。
 先週、根室高校同期の「第19回卒業50周年記念」の会の出席者名簿が郵送されてきた。
 数軒となりのお菓子屋さんの次女だった幼馴染のやっこちゃんが乳癌になったことを知らせてくれたO・Kさんがやっこちゃんと並んで物故者のリストに加わっていた。年頃になってからはヤッコとは一度も口を利いたことがなかったから、思い出話をしてみたかった。ビリヤードの常連客だったお父さんとの付き合いのほうが長かった。「トシボー」と呼ぶ声が聞こえてきそうだ。
 どういうわけか近所には同学年は女の子しかいなかった。「電通の空き地」でケンパや缶けり、縄跳び、ドッチボール、晴れている日は外でたくさん遊んだ。洋裁店のおてんば娘のユッコ、生花店のおとなしいケイコ、向かいのトコヤさんのマーちゃん、小学校の低学年までは女の子たちとよく遊んだ。おとなしかった歯医者さんの娘ケイコは外遊びをあまりしない子だったから「電通の空き地」にはほとんど来なかったが、お父さんはビリヤードの常連客でよく遊んでくれた。背の高い紳士で才能豊かないい人だった。
 担任の富岡良夫先生もリストに名を連ねていた。癌で3回手術したがしばらくはお元気のご様子だった。
 羅臼出身の同級生のA・Kもリストの一番最後に挙がっている。あいつが一週間の停学を食らったときに、退屈だろうから、家業のビリヤードの手伝いが終わってから連日9時ころにいって、休んだ授業のノートを写させるつもりが、3時間近く花札をして遊んだ。定期テストの直前のことだったが、あいつはうれしそうな顔をしていた。1年生のときから同級生だったA部はあとで、「ebisu、ほんとうに勉強しないで一番とってたんだ」とあきれた顔をしていた。定期テスト前の一週間を零時ころまであいつと花札をして遊んでいたのだから、成績が下がることを心配してくれたのかもしれない。授業の後に数分間黒板に先生が書いたことを脳内にイメージとして再生するだけで定期テストは科目を問わず90点以上取れたのである。だからいつも通りに勉強していた。休憩時間や、ビリヤードの店番をしている合間に、授業で入力済みのイメージを数分間再生するだけで充分だった。
(「必要は発明の母」とやよく言ったものだ、家業のビリヤードを小学生のころから手伝っていたので、夏休みや冬休みや春休み以外は家で勉強する時間があまり取れなかったのである、それが幸いした。短時間(数分)で完璧に復習する方法を発明してしまった。イメージで記憶し、それを再生すればいいだけだった。)
 あの停学は不幸な事件だった。3年生と2年生の「7:13の決闘」事件は当時の新聞に載ってしまった。多少の怪我はあったが、たいした事ではないのに、新聞沙汰となっては学校側も処分を出さざるを得なかったのだろう。多勢に無勢で、気の毒に3年生の顔はぼこぼこになっていた。3年生の総番グループには数人親しい人がいたし、2年生の総番グループにも美容師になった温根沼のA野や総番のヒロシ、副番の花咲港のMなど仲のよい友人たちがいた。どういうわけかわたしの周辺にいた総番グループは人っ子のよいものたちが多かった。同じクラスではないが、箸にも棒にもかからない者もいた。高校時代に根っこの辺りを腐らせたら、その後の人生はたいへんだ。心根を入れ替えないとまともな大人は相手にしてくれない。

 同期350人の内26人が「物故者」リストに名前を連ねているが、おそらく1割程度が亡くなったのだろう。9月3日に生き残っているうちの57人が集う、うれしいのか最後のお別れなのか、なんだか複雑な心境である。

 門松や 冥土の旅の 一里塚 めでたくもあり めでたくもなし

 一休宗純の狂歌だったと思うが、調べてみたが、83年に読んだ西田正好著『一休 風狂の精神』(講談社現代新書477)には見当たらない。こちらの道歌が載っていた。

 門松は 冥土の旅の 一里塚 馬駕籠もなく 泊まり屋もなし

 正月になって新しい年を祝うが、人生の時間は確実に過ぎ、残り時間が短くなっていく。人生の旅には、馬や駕籠という便利な乗り物はないし、休むことのできる旅館もない、ただただ死へ向かってたんたんと進むのみである。また一年残り時間が少なくなったという道しるべの門松を通り過ぎてしまった、めでたいなんて浮かれる気分にはなれぬ。

 92年に、バグワン・シュリ・ラジニーシ著『一休道歌』(めるくまーる社)も読んでいるが、下巻のみで上巻がない。このころ瞑想に興味があって、ラジニーシの本を何冊か読んでいる。瞑想時の呼吸法については村木弘昌著『釈尊の呼吸法』(1981年、柏樹社)が参考になった。

 「釧路の教育を考える会」のメンバーには食育と同様に「息育」を提唱している先生がおられます。呼吸の仕方を教えてもらえる生徒は幸せですね、縁ありて出遭うべくして出遭うもの。努力を超えている、五木博之氏が「他力」と呼んでいるものの作用だろう。


< 余談-2 >
 現役を引退し暇をもてあましている同期の人たちに、ペルシアで生まれた四行詩の詩人、オマルハイヤームを紹介したい。小さい字が読みづらくなった人にはワイド版を薦める。

ルバイヤート (ワイド版 岩波文庫)

ルバイヤート (ワイド版 岩波文庫)

  • 作者: オマル ハイヤーム
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1993/04/07
  • メディア: 単行本

ルバイヤート (岩波文庫 赤 783-1)

ルバイヤート (岩波文庫 赤 783-1)

  • 作者: オマル・ハイヤーム
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1979/09/17
  • メディア: 文庫



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一休―風狂の精神 (講談社現代新書)

一休―風狂の精神 (講談社現代新書)

  • 作者: 西田正好
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1977/05
  • メディア: 新書

一休道歌 上

一休道歌 上

  • 作者: バグワン・シュリ・ラジニーシ
  • 出版社/メーカー: めるくまーる
  • 発売日: 1987/08
  • メディア: 単行本
一休道歌 下

一休道歌 下

  • 作者: バグワン・シュリ・ラジニーシ
  • 出版社/メーカー: めるくまーる
  • 発売日: 2000
  • メディア: 単行本
一休道歌―三十一文字(みそひともじ)の法(のり)の歌

一休道歌―三十一文字(みそひともじ)の法(のり)の歌

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 禅文化研究所
  • 発売日: 1997/12
  • メディア: 単行本
釈尊の呼吸法―大安般守意経に学ぶ (1979年)

釈尊の呼吸法―大安般守意経に学ぶ (1979年)

  • 作者: 村木 弘昌
  • 出版社/メーカー: 柏樹社
  • 発売日: 1979/03
  • メディア: -
釈尊の呼吸法―大安般守意経に学ぶ

釈尊の呼吸法―大安般守意経に学ぶ

  • 作者: 村木 弘昌
  • 出版社/メーカー: 春秋社
  • 発売日: 2001/12
  • メディア: 単行本

 お釈迦様は呼吸をするときには、呼吸に意識をおきなさいと言っているだけ。食べるときには食べることに意識をおく、何かをするときにはすることに意識をおきなさいと仰っているのみのようです。
 この本の読者レビューをご覧ください。
https://www.amazon.co.jp/釈尊の呼吸法―大安般守意経に学ぶ-村木-弘昌/dp/4393710428?SubscriptionId=1PCE93D9TWKJC4EYD9G2&tag=sonet0f-22&linkCode=xm2&camp=2025&creative=165953&creativeASIN=4393710428
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tsuguo-kodera

 一休さん、良いですね。憧れますね。(笑)でも凡人だから無理です。むしろ私は塙保己一系統の人間かもしれません。執筆した本の数から言えますが、100分の1にすれば似てくる様な気がします。
 私はペンネームがありました。実名では書けない、未来予測、実地調査をその名前で書いていました。結構、シャープは社外発表に煩かったからです。自費でやっても公開はできなかったのです。
 塙保己一は本を読めなかったはず、だからこそ版木で出版したのでしょう。彼はもちろん、死ぬまでボケませんでした。本を読まなくても書き続けたらいいのでは、と私は考えています。
 ベストセラー作家にならないと食べてゆけません、ほとんどの作家は難しい。一部が大儲けしているのです。自由経済の理屈。仕方ない。
 伊藤潤さんと仕事を一緒にしていました。すごく優秀で変わった人でした。もう一人、精霊の守り人の作者は女子栄養大で仲良しの先生でした。彼女のお蔭でアボリジニーやウオンバットなど知ることができました。彼らは人気作家で生きています。
 私は人のブログ記事にコメントをしています。経済効果はありませんが、人の文章を読み、自分の過去を考えていますので、これが一番私に合っているボケ防止だと思っているのです。旅行も同じ、世の過去と私の過去をリンクしています。
 リンクが創造性ですから。(笑)南無阿弥陀仏。
by tsuguo-kodera (2016-08-28 04:26) 

ebisu

おはようございます。

塙保己一は初めてみるお名前なのでウィキペディアで調べました。賀茂真淵にも師事した国学者だったのですね。盲人でずいぶん記憶のよい人だったようです。
『群書類従』という本の存在は知っていましたが、だれが編纂したのかは知りませんでした。
江戸期だけでもすごい人がたくさんいますね。

ペンネームで未来予測の本を出されていたのですか、もう時効でしょうから、書名を明かしてもいいのではありませんか?
そのうちに気が向いた時で結構ですから、書き込んでください。

一休さんは崇め奉るだけで、とても私のような凡人の及ぶところではありません。あれだけ隔絶していたら、真似をする気にもなれません。(笑)

by ebisu (2016-08-28 09:12) 

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