朝から根室交通の観光バスが4台家の前の道路に停まっていた。乗客は東根室駅で「日本最東端の駅」の木標の前で写真を撮り、戻ってきた。その中の一人のご婦人がカメラをハマナスに向けて写真を撮ろうとして、わたしの姿を見止めた。
 「写真を撮っていいですか?」
と訊く、
 「どうぞお撮りください、萎れたのも一興です」。
 アスファルトにはピンク色の花びらが散り敷いている。
 もう一人のご婦人が「匂いを嗅いでいいですか?」という。まだ萎れていない花の一つに鼻を近づけて「ああ、好い匂い」と歓んでいた。ハマナスはバラ科だから、甘い匂いが強い。

 「こちらでは、お盆にハマナスの実で数珠を作ったりしないのですか?」
 「根室のお盆は7月でして、ご覧の通りハマナスは実をつけていません」
小学生のころ、女の子たちがそういうことをして遊んでいるのを見たような気がする。

 「あら、ハマナスの横に芍薬がこんなに咲いている」

 芍薬は1/3を残して、数年前に抜いた。根っこは乾燥すれば漢方薬になるのだろうが、作り方を調べるのも、効能を調べるのも面倒くさくて棄てた。「立てば芍薬、座ればボタン、歩く姿はゆりの花」とはいうが、いくら眺めてもわたしの目には粋なご婦人には見えてこない、昔の人は風流だった。

 日本丸は仙台港を出発して、霧の花咲港に昨日から停泊している。乗客数381名は、知床・羅臼、納沙布岬、釧路湿原などを訪れる。花咲港停泊は2010年以来3度目。(北海道新聞根室地域版記事より)

 日本丸の乗客の皆さん、根室へ来てくれてありがとう。東根室へ来る観光バスは網走や釧路のバス会社が多く、根室交通のバスはめったに来ない。
 大型船のクルーズは根室交通にとってもありがたい。ぜひ、もっとたくさんそして頻繁に来てください、根室の夏は日本一涼しい
 11時の気温は17.0度でした。


<芍薬と萎れたハマナス>
  ハマナスの陰に咲く芍薬(しゃくやく)、右上に萎(しお)れたハマナスの花が見えます。
「花は盛りに、月は隈なきをのみ、見るものかは。・・・咲きぬべきほどの梢、散り萎れたる庭などこそ見所多けれ。」 『徒然草』第137段



<白菊>
「さあ、撮りますよ!」と声をかけたら、一輪だけこちらを向いて微笑んでくれました。人見知りしないようです(笑)



<三色スミレ>
 「わたしは体が弱いので、強い日差しと風が嫌いです、それで桜の木の根元に咲きました」、この花に近づいて耳を澄ますと小さな声で囁きます。



<ラベンダー>
 ぜんぜん匂いのしないラベンダー娘たちに理由を訊いてみました。
「わたしたち、富良野のラベンダーに比べるとスマートで、根室の寒い夏では発汗しませんの。だから匂わないんですのよ、ホホホ」



<グズベリー>
 一度ほとんど採ったのですが、また2~3cmの大きな実がついています。左側に見えるピンクの花びらはハマナスです。アスファルトの上に散った花びらを掃き集めました。




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