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#3379 高1英語教科書読破トレーニング(1) July 30, 2016 [49.3 高校英語教科書を読む]

 高2、高3に続いて、高1の生徒も教科書読破計画に興味をもったようだ。この生徒も英語が嫌いで、4月から数学のみをやっていた。
 どこからはじめようかと訊くと、学校よりも先をやりたいということになり、'Lesson 4'からやることになった。予習方式は成績アップに絶大な効果があるから、教科書本文の理解を充実させてから学校の授業に臨みたいということのようだ。今日は完全なマンツーマンの授業、個別指導でここまでやったら、効果は大きい。ほかの生徒は質問があれば挙手するから、その間は中断、自分で調べ、考えてもらうことになる。

 タイトルが48ページに載っていたのだが、このページを飛ばして、50ページの本文からはじめた。タイトルを飛ばしたのはまずかった。

'Our Actions Can Make Electricity'

  なぜまずいのかは途中でわかる。
 たった2ページ読んだだけだが、高2や高3の教科書よりも平明な英語で書かれている。
 
 Electricity plays an important role in our daily lives. Traditional power plants use a lot of fossil fuels. However, using them gives off CO2 into the air. This has become a big cause of gloval warming.

  取り上げられているトピックスの全体の見通しを与えてくれるので、タイトルと1段落の理解が大事なことは英字新聞記事と変わらない。
 受験英語で頻出する「play a role」が早速出てきた。「役割を演ずる」とセットで覚えておきたい。動詞の意味は目的語とセットにして初めて確定する。ここら辺りも日本語と違うところだ。「役割をする」とか「役割を弾く」、「役割を遊ぶ」とは言わないから。目的語と動詞はセットで、目的語に応じた語彙(動詞)を使い分けるというのが日本語の特徴だろう。

 生徒に読ませたら、'in our daily lives' のlivesのところで躊躇したので、いい勘をしていると思った。リブズと読むかライブズと読むか迷ったのだろう。先読みして意味まで理解できた生徒はライヴズと読む。「日常生活」という意味だから、「生活 life」の複数形である、「ライフ⇒ライヴズ」である。「住む⇒live」だと「リヴ⇒リヴズ」である。
 英語の文も日本語テクストを読むときと同じように、「先読み」をしよう。漫然と音読をしても効果は小さい。

 Hirosukeさんは、日本語の意味をイメージして、「イメージ音読」を繰り返す効果を説くし、後志のおじさんは「同調音読30回」「書き取り10回」をススメる。英語の達人であるこの二人はどちらも漫然とした音読はしていない。だから、わたしも音読で「先読み」をススメたい。日本語の音読や黙読で培った技は英語の音読でも有効であるから利用しない手はない。ここでも、母語が基礎で、母語に関するトレーニングをちゃんとした者は英語でも断然有利だということがわかる
 Hirosukeさんも後志のおじさんも「古典文学」に関する知識がしっかりしていた。コメント欄での英語談義に、そうした知識が随所に出てきたことでわかる。とくに仮定法のところでそういう知識が披露された。要するに二人とも日本語の知識がたっぷりあるということ。

 生徒が発音で間違えたのはもう一箇所あった、 'global warming' である。「ワーミング」と読んだので、部活で練習の前にするのは「…アップ?」と訊いてみた。「ウォーミングアップ」だから、「ウォーミング」だ。知っているはずのことが、英語の単語を見て出てこないのは困る。こういうことを繰り返すことで、頭の中にある知識を関連付けて再整理することができる。語彙のネットワークの紐付けを編集しなおす。慣れてきたら、言われる前に自然に気がつくようになる。いまは取り出し方がわからないだけ。

 この句が辞書を引いても訳せなかった。
 'using them gives off CO2 into the air'
 
 代名詞は全部元の名詞に置き換える習慣をつけるように指示したので、themがどの名詞を受けているか探してもらった。近いところにある名詞で条件に当てはまるものから見ていけばよい。この場合はthemが複数代名詞だから、前のセンテンスの複数形の名詞を検索すると、「a lot of fossil fuels」がヒットする。これでいい。
 'give off'をGINUS4版で引くと、「(煙・におい・光・熱・音などを)発する」と書いてあるが、そのまま使うと「化石燃料を使うこと二酸化炭素空気中に発する」とうような、ヘンテコリンな日本語になる。「二酸化炭素を空気中に放出する」くらいが妥当な訳語だが、辞書には「放出する」という訳語がない。
 そもそも辞書にすべての訳語を載せることは無理で、ただの目安と思ったほうがよい。コアイメージをつかんだら、適切な日本語語彙を自分の頭の中の引き出しから取り出せばよいのである。ここでも母語の威力が重要で、日本語語彙や文章がある程度インプットされていなければ、適切な訳文が出てくるわけがない

 「化石燃料を使えばCO2が大気中に放出される」

 airは定冠詞のtheがついているので、「空気」ではなく「大気」としたほうがよい。これも文脈からの判断である。atmosphere(大気)という語彙もついでに覚えておこう。
 この文章が単純現在形で書かれていることにも注意を払いたい。化石燃料を燃やせばCO2が大気中に放出されることは、千年前もいまも変わらぬ真理=普遍的真理だから、単純現在形でなければ言い表せないのである。次の完了相の文章と対比してみると両方の含意がよくわかるはず。aspect(相)にも注意を払って文を読んでほしい。

 This has become a big cause of gloval warming.

 現在完了形は、現在に関心の焦点があるから、過去のある時点から始まったものが現在もその状態あるいは動作が続いていることをあらわしている。そして動名詞であるwarmingは進行相だから、いままさにそういう事態が進行している最中であることを表すので、「温暖化」という語彙が適切。
 'a big cause' の句にある不定冠詞の 'a' も見過ごしてはいけない。これと区別される他の 'a cause' を書き手が想定しているのである。たとえば、森林の倒木の腐敗によるメタンガスの放出や凍土(ツンドラ)の溶解による地中に保持されてきたメタンガス放出である。

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 わたしは、こうして大気中に放出されたメタンガスが、雪の取り込まれたり、直接海水に取り込まれて、極地の深層海流に運ばれて、深海の圧力で固化しメタンハイドレートが生成されるのではないかと考えている。そうしたメカニズムが働いているなら、日本近海の深海底に大量に転がっているメタンハイドレートは採っても採ってもなくならない。生成される量だけ採集すれば永久につかえる資源ということになる。
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 この用法のthisは、高2の教科書にも高3の教科書にも頻出するので覚えてしまおう。前の文全体を受けるthisだ。
 「化石燃料の使用によるCO2の大気中への放出は、地球温暖化の大きな原因の一つとなっている」
 
<ペースを2ヶ月で2倍に上げよう>
 90分授業1回で2ページを消化した。英語が苦手ということと、初回なので、丁寧な説明が必要だった。2ヵ月後には2倍の4ページ消化できるようになっていることを当面の目標にしたい。トレーニングが進めば、重複して出てくることはだんだん説明の必要がなくなり、独力でやれる部分が少しずつ拡大していくのが実感できるだろう。深く読めるようになってきて、書き手の意図がるかめるようになると、英文を読むこと自体が楽しくなる。

<高卒で就職するなら英語の勉強の手を抜いてよいか?>
 この生徒は高校を卒業したら就職しようかと考えている。進路については正直なところを話せば迷っているというのが本音ではないかと思う。
 就職する場合でも、成績証明書に数学と英語が5であれば、採用権限者の目を惹くことになるから、文武両道の手を抜いてはならない。
 偏差値50以上の大学へ入学できるだけの学力を備えた高卒なら、何人採用試験に応募しようが倍率に関係なく、北海道庁でも市役所でも合格できる。途中で大学へ進学したくなった場合でも、数学と英語の学力がしっかりしていれば、いつ進路変更しても戦える。高卒で就職しても、NHKの放送大学で大卒にはなっておくべきだ。よい職場に就職するほど、大卒と仕事で協力したり、渡り合ったりしなければならない機会が増える、そういうときに物怖じしなくなる。

 授業でやったことを文章で説明すると冗長になる。長くなりそうなので、2回に分けることにしたい。



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