生徒の学力が低ければ、それに合わせて定期テストの難易度が低下する傾向があります。
 理由は簡単です、多くの先生たちは平均点が50-60点の間に来るような問題作りをしています。点数がばらけて成績評価をするときに便利だからです。ところがそういう問題の作り方をすると、全国レベルの難易度とはかけ離れたものになります。学校の定期テストで50点、全道レベルの難易度のテストでは26点ということが起きるわけです。全国レベルでは20点を割るでしょうね。生徒は50点取れているし、学校の平均点ですから安心しますが、実際には全国レベルで20点未満ですから、相当学力が低く、がんばらなければならないのです。
 そういうわけで、全体学力が低いので中学校で学年トップの成績だった生徒が、高校1年生になって全国模試で偏差値50~55だということが普通に起きています。数学の定期テストで中学校で70点取れていた生徒は、高校1年になって受ける全国模試(進研模試)で20~30点の得点におさまります。90点台の生徒でも40~50点です。このように普通科対象の全国模試と中学校の定期テストには難易度に天と地ほどの開きがあります。

(目安を示すと、中学校の文協学力テストで五科目合計点400点以上とっていないと、偏差値50以上の大学への進学はかなり困難だということです。定期テストなら430点以上です。偏差値55の大学へは中学時代に文協学力テストで450点前後とっていなければ厳しい。3年生の300点満点のテストなら、偏差値50以上の大学へは210点を超えていないといけません。
 もちろん、高校へ進学してから、部活をやらず学校行事も参加せずに、毎日5時間以上の勉強を続けたら北大でも合格できる可能性はあるでしょう。高校時代の学力の伸びは計り知れないものがあるのは事実ですが、そんな人は1年に1人いるか2人いるか、そんなものです。普通の人は中学時代からちゃんと勉強しないとダメです。本も100冊くらいは読んでおきましょう。難易度の高い大学の現代国語問題は分量が多く、読む速度が大きくないと間に合いません。)

 根室市内の各中学校で学年トップが全国偏差値50(百人中真ん中)~55(百人中30番目)にすぎません。学年トップの大半がその程度です(年度によっては全国偏差値で65超の特別に学力の高い生徒が出ています)。トップ層の大半が高校1年になって、全国レベルで百人中30~50番目の成績に過ぎなかったことを知ります。まさに「井の中の蛙」を絵に描いたようなもの。全国レベルの尺度でどれくらいの学力があるのか、北海道の中学生たちは知る権利があります。北教組の皆さん、自分たちの権利の主張お結構ですが、学校の先生たるもの自分の権利よりは生徒の権利を優先して守るべきではないでしょうか?

 高校では当たり前になされている全国偏差値のでる模試がなぜ中学校でできないのでしょう?中学校の先生たちは全国模試の偏差値を利用して進路の判断をしたはずですが、生徒になぜそれを利用させないのでしょう?生徒の知る権利にほうっかむりしていていいのでしょうか?。

 話を学力テストと定期テストに戻します。
 学力テストの科目別平均点と定期テストの平均点数との差を算出してみたら定期テストの難易度低下は一目瞭然です。五科目合計点で78.5点も差がある例を#2428で紹介しています。

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 C中学校2年生の2013年度2学期中間テストの平均点と4月学力テストの平均点を科目別に並べる。

        定期テスト 学力テスト(4月) 差
  国語 65.7     58.2      7.5
 社会 72.9       46.2     26.7
 数学 58.0       43.4     14.6
 理科 64.7       52.8     11.9
 英語 70.2       52.4     17.8
 合計 331.5    253.0     78.5

 (たまたま資料が手元にあっただけでC中学校をとりあげたことに他意はない)
 
 結果から見ると、社会と英語は問題の難易度が低すぎる。国語と理科もだ。学力テストの平均点と比べてみたらよくわかる。
 北海道教育文化協会の学力テストは全国レベルで見たら難易度が低いが、定期テストはそれよりもずっと低い。
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 もう一つ最近のデータを挙げます。B中学校の今年度の2学期学力テストと期末テストデータです。
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C中国語社会数学理科英語合計
11月5日中248.362.626.451.648.6237.5
11月27日中256.454.650.458.267.9287.5
 差し引き-8.18.0-24.0-6.6-19.3-50.0

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  数学と英語に難易度の差が大きい事実だけ見ておいてください、このデータの論評は次回します。期末テストで50点取っていれば、平均点ですから、生徒も親も「まあまあだね」となります。ところが全道レベルでは低学力層ですから、全国レベルではもっと下、危機的状況にあることを生徒も親も知ることができません。

  #3200で11/7実施の学力テストB中学校1年生の数学データを階級別に挙げています。百点満点で平均点は29.1点、30点以下が半数(50.8%)います。この層の生徒たちは、現在の根室高校普通科数学の教科書での授業は無理と判断すべき学力層です。

 統合後の高校の定期テストに難易度低下が起きれば、生徒たちの低学力化が加速します。生徒の学力に合わせて定期テストの難易度が下がるのは中学校が実例で示すところです。定期テストの難易度低下が生ずれば、生徒たちは勉強しなくなります。
 定期テストの難易度低下が起きなければ、学力分布から推定すると統合後の高校は毎年70~100人前後が赤点で退学ですが、そんなことを高校の先生がやるはずがありません、人情としてできないのです。その結果、毎年4割近くの形式卒業者を排出する統合後の高校の評価は地に落ちます。

 こういう重大なことを「高校問題検討委員会」のわずか数名の人たちだけで議論し、決めてしまったのです。
 このように閉鎖的な委員会方式による議論や決定は根室の町を衰退に導きます。病院建て替えでも「市民整備委員会」というのがそうでした。明治公園の再開発でも同じことが起きています、「明治公園憩いとふれあいの森構想市民委員会」の委員長は、委員から反対意見があったにもかかわらず、40億円もの再開発計画を異例の短期間で決定してしまいました。この事業に関して発行される市債の引受はどこがするのですか?これでは営業活動と言われます。「李下に冠を正さず」、金融機関は信用が一番大事ですから、「余計なことを」とまじめに仕事をしている職員たちが迷惑しているでしょう。
 かつて明治公園にあったアスレチック施設は、利用する子どももなく錆びついた上に9年前に撤去されています。それをもっと大規模にやろうというのですから、委員から反対の声が上がったのも当然です。あれをつくったときに比べて子どもの数はすでに半分以下です。なにがどうなっているのか、#2855でとりあげています。

 オープンな場でそして市民自由参加による議論をなんども重ねない限り、これからも閉鎖的な空間で同じことが続くでしょう。とても残念なことですが、根室に住む一部の心ない大人が根室をダメにしています。
 中標津はオープンな町民参加方式で、いくつもの作業部会を設置して、町のビジョン作りを大々的にやっています。
 管内唯一の市として、別海町、中標津町、標津町、羅臼町の4町に根室市が町づくりビジョンの範を示すべきなのに、中標津町の後塵を拝しているのは情けない。
 しっかりしろ、根室の大人たち。

 たくさんの根室の子どもたちが、基礎学力が身についていて心根がまっすぐな大人に育ってほしいと思います。



【投稿欄からアップ】
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親の世代であったならば、400点越えが続出したはず。
そんな、とんでもなく易しい定期試験が、釧根地域のスタンダードなものになっています。
全国平均レベルと比較したならば、唖然として、目が点になるほど易しすぎるレベル。
でも、中学校も教師も、そのことを知らない…。
触発されて論じてみました。
いよいよ、この「あたりまえのこと」を論じられるようになりました。
ここまで、長かったです。^^;

http://blog.livedoor.jp/jounetsu_kuukan/archives/8269175.html

by ZAPPER (2015-12-11 22:06) 

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 表示してあるURLはブログ「情熱空間」です、ぜひお読みください。


#2428 「驚くほど易しい定期試験」 Oct. 1, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-10-01

#2709 偏差値と「100人(百校)中の順位」対応表 June 22, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-06-22


*#3200 根室・高校統廃合問題 : 統合後の授業はどうなる? Dec. 10, 2015 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-12-10

 #2513 市立根室病院の経営状況について:財政再建特別委は機能しているか?  Nov. 28, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-11-28

 #2855 長谷川市政3期目の所信表明を読む Nov. 1, 2014  
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-01

 #3029 根室市議会議会報告会(顛末) Apr. 18, 2015
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-04-18


 
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