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#3202 縦軸と横軸で中学校のテスト・データをながめる Dec. 12, 2015 [71.データに基づく教育論議]

 縦軸は時間軸で、年度を越えてデータを比較してわかるものがあります、横軸とは空間軸で、同じ年度内の1~3年生のデータを並べて比較してみたら別のもの見えてきます。

 前にも挙げましたが2013年度の2年生のデータと2015年度の2年生のデータを眺めてください。4月の学力テストデータと2学期中間テストデータを並べたのが2013年度、2学期11/7の学力テストデータと11/27の期末テストデータを並べたのが2015年度です。

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 C中学校2年生の2013年度2学期中間テストの平均点と4月学力テストの平均点を科目別に並べてみます。


        定期テスト 学力テスト(4月) 差
  国語 65.7     58.2      7.5
 社会 72.9       46.2     26.7
 数学 58.0       43.4     14.6
 理科 64.7       52.8     11.9
 英語 70.2       52.4     17.8
 合計 331.5    253.0     78.5

 (たまたま資料が手元にあっただけでC中学校をとりあげたことに他意はない)
 
 結果から見ると、社会と英語は問題の難易度が低すぎる。国語と理科もだ。学力テストの平均点と比べてみたらよくわかります。
 北海道教育文化協会の学力テストは全国レベルで見たら難易度が低いが、定期テストはそれよりもずっと低い。
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C中2015年国語社会数学理科英語合計
11月5日学力テ48.362.626.451.648.6237.5
11月27日期末テ56.454.650.458.267.9287.5
 差引-8.18.0-24.0-6.6-19.3-50.0

2013年度は社会と英語の難易度が低すぎましたが、2015年度は社会がストライクゾーンにきれいに平均点を収めています。
 定期テストの英語問題の難易度は相変わらずユルイので作問に改善の余地ありですね。
 数学の学力テストの平均点に大きな開きがあります、2013年は43.4点で2015年は26.4点です。同じ学校で2年間で数学の学力が著しく低下している事実が現れているのではないでしょうか。現在の2年生の学力を上げるためには、数学をなんとかしなければいけないということです。課題が明らかになったら、対策を考えましょう。
 
 さて、今度はデータを横軸で眺めてみます。2015年11月27日の期末テストデータを学年順に並べました、ご覧ください。


C20151127
得点    3年    2年    1年
500-4810 0 0 
480-4612 0 0 
460-4415 4 1 
440-4213 2 2 
420-401125.0%418.9%28.6%
400-3811 2 4 
380-3613 3 1 
360-3415 2 5 
340-3214 3 2 
320-301336.4%528.3%834.5%
300-2815 5 0 
280-2611 5 7 
260-2412 0 2 
240-2215 2 5 
220-201131.8%430.2%227.6%
200-1811 1 2 
180-1611 3 3 
160-1410 2 0 
140-1210 2 2 
120-1010 0 3 
100以下16.8%422.6%729.3%
人数44 53 58 
平均点327 285 253 



 学力上位層から見ていきましょう。
 400点超の学力上位層に特徴が現れています。

   25.0%⇒18.9%⇒8.6%

 学年が低下するごとに上位層が減少しています。1年生は3年生の1/3しか学力上位層が存在しません。1年生の学力上位層は「絶滅危惧種」化しています。1年生の学年トップは3年生の集団の中では7番目かもしれません。1年生は学力上位層がたったの5人しかいませんが、3年生は11人いて上位25%にすぎません。だから1年生の上位層は「勘違い」を起こします。1年生の上位層5人は、過去の実績値から判断すると高校入学後の最初の進研模試(7月)では偏差値48-55程度におさまります。高校生になって進研模試で偏差値60を超えようと思ったら、同級生と競争していてはいけない。首都圏の進学校で勉強している生徒たちと同じように、1年先取りで学習しなければなりません。もちろん難易度もずっと上げた問題集にタックルすべきです。
 勉強しているときよりも、息を抜いているときに学力が上がるので、集中力を上げて勉強ばかりしていたら、頭はよくなりません。集中力を上げて勉強に没頭したら、レベルを上げた読書をするとかボーっとして、緊張を緩めたらいい。緊張を緩めることで学習効果が飛躍的に上がることを体感できます。

 学力中・上位層(301~400点)は2年生が少しへこみを見せているだけで、大きな違いはありません。
 学力中・下位層(201~300点)はほぼ横一直線です。
 学力下位層(0~200点)には大きな違いがある。並んでいる順序は3年⇒2年⇒1年。

   6.8%⇒22.6%⇒29.3%

 中1の低学力層の生徒たちは中学校で低学力化したのではありません、小学校ですでに低学力層を形成していたと考えられます。中学校1年で低学力層の生徒のほとんどが、卒業までずっと低学力層にたまり続ける例が多いようで、そこから抜け出せるのはごく一部の生徒。つまり、学力格差は小学校で形成されそれが中高で固定化する傾向が強いということ。小学校低学年での家庭学習の躾けが重要であることがわかります。
 中1の生徒は国語の漢字や語彙の学び直しから、数学は加減算の繰り上がり、繰り下げ計算、逆九九、少数の乗除算、分数の加減乗除から学び直さなければなりません。300点以下の生徒が小学校算数の学び直し対象だとすると、3年生は38.6%、2年生は52.8%、1年生は56.9%の生徒がいることになります

 平均点を比べると、
   327⇒285⇒253

 階段状に下がっていることがわかります。3年生は全国学力テストで「ほぼ全国平均」の位置にあります。来年と再来年のC中学校は、全国平均を大きく下回ることになりそうです。
 上位層が枯渇化して低学力層が肥大すれば、平均点が下がるのは当然のことです

 校長先生は、学校通信で「文武両道」に何度となく言及して、部活担当の先生たちにも指導徹底をしていますから、放課後補習も学校全体での取り組みに変わってきたように感じます。しかし、このデータを分析して、危機感を募らせているはずです。

 なぜ、こういう学力差が生じたのでしょう?

 小学校に問題がありそうです。学級崩壊を起こすと平均点にはっきり影響が出ることがわかっています。C中学校では数年前から同じ学区内のH小学校の先生たちと定期的なミーティングを開いているます、そこが率直で建設的な意見交換の場になることを願っています。

 市街化地域の各学校でこの数年間学力低下が進んでいることは、10年分の文協学力テスト結果を学年別・科目別に並べてみたらよくわかるはずです。市教委ではふだんの文協学力テストの結果すらモニターしていません。結果データを並べただけで、どの学校のどの学年のどの科目に問題があるのかすぐにわかります。具体的なデータ分析を避けていては、子どもたちの学力改善が進みません。
 市街化地域の3中学校は文協学力テストデータをお互いに開示しているようです。そうしないと自校の生徒たちの学力が根室市内でどういう位置を占めているのかわからないからです。生徒の学力を上げるためですから、根室市教委さんも各学校からデータを集めて分析されたらいかがですか?

 今日(12/12)の北海道新聞根室地域版に、全国学力テスト結果についての根室市教委のコメントが載っています。「授業外学習が鍵」という見出しがついているのですが、これではまるで、家庭だけに問題があるように聞こえます。
 そうではないでしょう、自分たちがなすべき仕事から逃げてはいけません、「授業と定期テストの難易度低下が大問題」なのです。躾されなかった数人の生徒が授業中に私語するだけで、そのクラスの五科目平均点が50点前後下がってしまうので、それを防いだだけで、根室の小中学校の生徒は全国平均値を超えられるます。
 C中学校の3年生に低学力層は6.8%しかいませんが、2年生と1年生は20%を超えています。ここを何とかするだけで、とりあえずは全国平均をクリアできます。学力の低い生徒は2ヶ月間の部活停止を命じて、放課後個別補習で救えと指示あるいは協力要請を出すだけでいいのです。
 市街化地域の2校で導入している数学の習熟度別クラス編成も、問題はあるのです。#3197でとりあげて解説していますのでご覧ください。

 根室市教委が「授業外学習が鍵」だと思うなら、新入学児童(小学1年生)の母親たちを集めて、毎年繰り返し家庭学習の躾け方を具体的に指導すればいいだけのことです。
 指導の仕方がわからなければebisuに声をかけてくれたら協力しますよ。#3195で家庭学習の躾け方を具体的に説明しています。

 わたしはこの古里に、基礎学力を身につけ、心根がまっすぐな人材を一人でも多く育てたい。数は多くなくていい、そういう人材が根室の町に毎年30人も生まれたら、人口わずか2.7万人の町は30年後に大きく変わる。90%の人間が根室に住み続けたいと願う町になるだろう。ebisuの辛口のコメントはそのためのもの。

【余談:授業の焦点】
 学年ごとに点数にこんなにばらつきが大きいと、とくに数学の授業は学年ごとにやり方を工夫しないとガタガタになりかねなません。ベテランでも対処がむずかしい。各学年同じ調子で授業をしたら、生徒がざわつくことになり、先生の説明がところどころ聞こえなくなるだろうから、いっそうの学力低下が生じます。
 1年生はどうしても下位層に焦点を当てた授業になります、そうすると上位層の5人は退屈しきってし欠伸(あくび)しています。2年生も学力下位層が肥大化しているので、1年生と同じ問題が生じています。
 教え方は毎日の授業で、どうすればよいのか生徒から学び研鑽を積むしかありません。市教委には指導主事がいて各学校を巡回しています。こういう問題を抱えたクラスの授業の仕方を指導するには、実際に授業をやって見せるしかないと思いますが、やれますか?師範学校が2段階格上げで戦後に教育大となってから、学校で授業技術を教えられなくなっているのではないでしょうか。小学校や中学校で実際に授業をしたことのない教育学の専門家が多いようです。役に立たぬ教育学を学んで仕事に就いています。どこで教え方を学ぶのでしょう?

 地域の子どもたちの低学力化の進行は学校や教育行政だけの問題ではありません、地元経済の未来にも関わる問題ですから、オープンな議論が必要です。

 わたしは、この学校のフリー参観授業を過去2回見させていただいた。数学担当の先生たちや英語担当の先生たちと一度したしく話をして見たい。根室市教委にも歯に衣着せぬ批判を書いているので、現場の先生たちに迷惑がかからぬように北海道教育文化研究所というチャンネルをつかわしてもらうのがいいのかな。(笑)

【余談-2】
 2年生と1年生の学力が低下したように見えますが、2年生から統合後の高校への入学となり、定員割れすることがはっきりしているので、低学力層に勉強意欲が失われたのではないかと危惧しています。根室西高校ではなく、根室高校に進学したくて塾に通って嫌いな勉強を我慢してやり遂げた中学生は少なくありません。
 定員割れにより全員合格がはきりしているので、低学力層が学習意欲をなくして肥大化しているとしたら、これは一時的な傾向ではないことになります。
 杞憂であってほしい。

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*ブログ「情熱空間」がこの問題をとりあげていますので、ご覧ください。
「学級崩壊と学力低下(苦悩する中学校)」
http://blog.livedoor.jp/jounetsu_kuukan/archives/8272179.html
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*#3201 統合後の高校では定期テストの難易度が低下する 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-12-11

 #3200 根室・高校統廃合問題 : 統合後の授業はどうなる? 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-12-10

 #3197 中学数学習熟度別授業見直しませんか?
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-12-07

 #3196 四段階ある作文指導工程:「創造性+文書能力=鬼+金棒」 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-12-05

 #3195 家庭学習習慣の躾は小学1・2年生のうちにやるべし http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-12-04

 #3205 中学校の校長そして先生たちへ:分析と情報交換のススメ Dec. 15, 2015
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-12-15

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ZAPPER

根室市教委のコメント、失笑を禁じ得ません。ウチの市教委もそうですが、どうしてこう、ピントを外しまくるものなのでしょうか(苦笑)。

小学校時代の学級崩壊を原因とした、中学生の学力低下。そろそろ、論じても「聞いてもらえる」ようになってきましたので、少しばかり論じてみました。

例の弊ブログ「炎上」の遠因もまた、それにありました。小中連携の中で、この問題が解消されるようになることを祈りたいと思います。
http://blog.livedoor.jp/jounetsu_kuukan/archives/8272179.html
by ZAPPER (2015-12-14 12:28) 

ebisu

ZAPPERさん

全国学力テスト結果だって学校別科目別に並べてみたら、いろんなことがデータから読めます。

ふだんの文協学力テストデータすらモニターするつもりがないのですから、年一回では分析能力も向上しません。

教育行政は「プロの水準の仕事」をしてほしい。

時代は変わる、貴ブログのURLは本欄へアップします。
by ebisu (2015-12-14 13:21) 

ZAPPER

エビデンスに基かない結果分析。印象・思い込みが先にたっての、先に結論ありき、我田引水のごとき解釈。

新進気鋭、釧根の若手ナンバーワン学者、S山準教授が、この地の教育学、教育行政を、そう酷評なさっていました。

データを読めない大学教授。鰯の頭も信心から。そうした者を神のように崇めては妄信する教育行政。

一方、本物のプロの教師には日が当たらない。そればかりか異端児扱い…。

その構図に、いよいよメスが入れられそうな予感がします。夜明けは常に東から。おもしろくなってきました!^^
by ZAPPER (2015-12-14 14:26) 

ebisu

釧路新聞のあの記事のT井教授のコメントですね。
データを読み込み、そこから帰納的に結論を導くという操作が不得手のようです。

釧路市教委もそうでしょうが、根室市教委も学力向上に使える有力なデータがあるのに使わない、それどころか見もしない。
中学全学年で年に何回もやっている文協学力テストデータを科目別・学年別に並べてみるだけでいろんなことがわかります。
ふだんの学力テスト結果データは「宝の山」です。

どうして年に一回、しかも中3と小6しか実施しない全国学力テストしか見ないのでしょうね。
仕事ですから宝の山をちゃんと見てほしい。


by ebisu (2015-12-15 00:01) 

ebisu

「釧路新聞のあの記事」を紹介します。

*「地元愛着度と定住意向(釧路新聞調査)」
http://blog.livedoor.jp/jounetsu_kuukan/archives/8257453.html

キャンパス長の玉井教授はこのチャートの意味がまるでわかっていらっしゃらないご様子。
この表は、右上が理想の位置なので、現状どの位置にあるのかを確認し、どうしたら理想的な右上の位置(古里が好き、そしてそこで暮らしたい)に移行できるかを議論するためのマトリックスです。

たとえば、女子の転出理由の「やりたい仕事、勉強がある」というのは、釧路にそれがないということを示しているだけですが、玉井氏は「以前の閉鎖的傾向と違い、親元から自立しようという女子の前向きな一面は評価したい」なんてご託宣を述べています。
札幌圏や首都圏と同様の「やりたい仕事、勉強がある」という条件を釧路という町でそろえられるかという問題、あるいは代替できる魅力になにがあるのかという問題のはずですが、ピントを外した頓珍漢なコメントをしています。
つける薬がありませんね。

下山准教授は次のようにちゃんと解説しています。
「右上エリアの地域はさらに魅力を開発し、居住性を高めていくべき。左下の地域はその意識が弱いエリアであり、各地域がどう高めるか調査検討が必要」

by ebisu (2015-12-15 01:08) 

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