9月30日付け北海道新聞朝刊、根室地域版に載っていた記事を紹介する。
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市立病院への繰入総額
一般会計から17億円
市議会決算特別委
【根室】市議会定例月議会は29日、決算審査特別委員会を続行し、昨年度の一般会計(民生費、衛生費、土木費)と市立根室病院事業会計について審議した。
私立病院の2014年度決算では、一般会計から病院事務局への繰り入れ総額が約17億8100万円、地方公営企業報で病院事業会計への繰り入れが認められている基準内繰り入れ総額が10億2300万円となったことが説明された。
本田俊治氏(創新)への答弁。病院事務局によると、前年度比でそれぞれ約2億9千万円と約1億6千万円の増加となる、本田氏は10億円を越える基準内繰り入れ総額について、「普通交付税や特別交付税などで補填されても半分程度(約4億8300万円)は一般財源からの持ち出しになる。市民にわかりやすく説明すべきだ」などと指摘した。病院は「今後の経営改革とわかりやすい説明に勤めていきたい」などと説明した。
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赤字の額が17.8億円かというとそうではない。資金の収支に関係のない損失はこのなかには入らないからだ。民間企業の会計基準で決算公表すれば、損益計算書を読む学力があればだれにでも損失の額がわかる。公的会計基準での公表ではなく、民間会計基準での公表を義務付ければいいだけのことだ。文教厚生常任委員長である本田さんが提案して市議会で決議すればいいだけの話、そんなにむずかしいことではない。
市税収入は年間27億円前後である、病院事業赤字の負担の重さがわかろう。市の財政課は以前市議会で、10億円を超える病院事業赤字が続けば、市財政がもたないと答弁していた。市議会でもう一度、財政課の見解を訊いてみたらいい。
北海道新聞は、独自の取材をして、病院事務局に問い合わせて、民間会計基準で当期損失がいくらになっているのか取材して、記事にしてもらいたい。
最近の報道では、法定福利費の預り金が数年にわたり未納になっていたことが、監査委員から指摘されたようだ。2000万円を超える預り金が未納になっていれば、簡単にわかるはずだが、監査が機能していなかったようだ。実質監査がなされず何年間も使い込みを見逃した落石組合と状況が似ている。こんな状態のまま地方公営企業報全部適用の指定管理者制度に移行している。運営チェック体制がないという、実にきわどい状態であるということ。
藤原前市長時代はおおむね8億円前後だったが、長谷川市政になってから、市立病院の一般会計繰入額はすぐに10億円を超えた。最近数年間は16~18億円で、2倍以上になっている。
病院建て替えのときに病院事務局が作成した「新改善プラン」では、建て替え後の一般会計繰入金の最大額は11億円だった。毎年それを6億円以上の上回る繰り入れが続いている。病院事務局は当初計画の甘さをどのように反省しているのか、市議会は問いただしてもらいたい。そして決算は、当初計画と対比して「広報ねむろ」で民間会計基準で公表してもらいたい。
経営改善担当の管理職を新設しても効果なく、経営改善を外部委託しても損失額は膨らみ続けるばかりであるのに、なぜ、損失額が2倍以上に膨れ上がったのかについての満足な説明がなされたことは一度もない。
一般会計繰入金が20億円を超えたことはないが、病院の旧建物を除却した年度は、当期損失額が20億円を越えただろう。「広報ねむろ」で正直に経営状況を市民へ報告すべきだ。
市長、市役所幹部職員、市議会、監査委員、病院事務局、マスコミ(新聞)関係者がそれぞれ自分の職務を忠実に果たすだけで、状況はずいぶんと改善できるはず。
<余談>
記事によれば、赤字補填の財源の一部は国からの特別交付税と普通交付税交付金4.8億円である。
政府財政が破綻したときは、ない袖は触れないで、これが消滅する。それだけではない、他の地方交付税交付金や国庫支出金も大幅に減額になる。万が一にもそうなれば、病院は維持できない。だからふだんから、経営改善しておくことが大事なのである。
米国の格付け機関であるスタンダード&プアーズ社が日本国債の格付けを下げた。AA-からA+となった。スロバキアやアイルランドが同じ格付けである。中国AA-、韓国AA-よりも格下。
よい順番に並べてみると、
AAA ドイツ、ルクセンブルグ、オーストラリア、スイス、デンマーク、スウェーデン、ノルウェー、カナダ、シンガポール、英国、香港
AA+ 米国、フィンランド、オーストリア、、
AA フランス、ニュージーランド、ベルギー
AA- サウジアラビア、中国、韓国、・・・
A+ 日本、スロバキア、アイルランド
A-
BBB+
BBB
BB+
BB
BB-
CCC+ ギリシア
*主要国の国債格付けランキング
http://lets-gold.net/sovereign_rating.php
政府債務残高は2015年末に1232兆円にもなる。世界の格付け機関は、日本政府が1232兆円の債務を返済できないリスクが高くなっていると判断している。
預金凍結、デノミによる新円発行のリスクが近づいている。アベノミクス「新三本の矢」は中身がない。まえの一番大事な一本「成長戦略」は結局中身がないまま看板を書き換えることになった。やったのは安保法制である。安倍総理の言うことをいったいだれが信用するのか?
健全な保守主義を志向する、自民党国会議員や道会議員のみなさんは、正直・誠実に行動して、政治に信頼を取り戻してもらいたい。
*政府債務残高の推移
http://ecodb.net/country/JP/imf_ggxwd.html
70% 20% 10%