土曜日(4/4)の夜8時ころから10倍の双眼鏡で夜空を見上げていた。下のほうから月が翳っていき、左上方が残ったと思うとまもなく光が消えた。かがやきを失った月はうすーい灰色とオレンジ色の混ざった色に変わった。
 不気味な色合いである、千年前の人間が見たら、天変地異の前触れかと不吉な思いを抱いただろう。わたしたちは太陽と月との間に地球が入って起きる現象であることを知っており、おまけに場所と日時まで計算公表されているから、スカイツリー付近では満開の桜と月とランドマークを一つの画面に収めようと集った人たちがお祭り騒ぎしていた。でも、だんだん翳っていき不気味に変色した月がまたかがやきを取り戻していくさまに、自然の神秘を感じた人も多いのだろう。

 9時半にみたらまた輝き始めていた。30年に一度くらいあるそうだから、団塊世代で次の皆既月食を見られる人は数%はいそうだ。還暦を過ぎて思うことは年々身体がどこかしら壊れていってポンコツ化しつつあるということ、次の皆既月食を見ることになる同期で認知症でない者がいたら幸せ者だろうか、それとも不幸せ者だろうか?

 ボケる前にさっさとおさらばしたい、ポンコツ車を走らせるのはなかなか苦労が多いのである。そんなことをこれから20年も続けるとしたら、そうとう気力がいる。ありがたいことで、歳をとるとだんだん生きていくことに執着がなくなるから不思議だ。
 それでも、去年1月に生まれた東京の初孫に本の読み聞かせをしたり、受験勉強を手伝ってあげられたら幸せだろうなとも思うのである、煩悩の種は尽きない。
 人生なんて一瞬のことさと高いお空で月が笑っている。

 関東はあいにくの曇り空で30年に一度の天体ショーが見られなかったようだ。前線が停滞していたからだ。




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