「福は内、鬼は外」、節分の日に根室市議会便りが配布された。本田市議の質問の中に気になる数字があったので、とりあげたい。

 「今年度末不良債務4億8千万円の扱いについて」

 不良債務というのは行政用語で一般市民には馴染みがない。病院事業で赤字が出ると、国基準の根室市一般会計繰出金が8億円余、そのほかに足りない分が国基準外の根室市一般会計繰出金で補填することになるが、一般会計で補填しきれない分を「不良債務」と呼んでいる。ごちゃごちゃ分けているが、要するに全部を合計したのが病院事業赤字だ。
 今年度は予算で約16億円の赤字額を見込んで一般会計からの繰出金を手当てしていたはずだから、それに4.8億円上乗せされて、21億円の病院事業赤字になるということだろう。
 前年度の2013年度決算では17億円の一般会計繰出金があったが、これに「旧建物除却損が約2.3億円+取り壊し費用」、そして電子カルテシステムを導入しなかった不手際により、システム開発費のリース中途解約金が2億円ほど発生したのではないか。これらを足し合わせると、2013年度の病院事業決算は20億円を越える赤字だったのだろう。
 2013年度と2014年度と連続して、病院事業赤字が20億円を超えることになる。おいおい、話が違いすぎないか。本田市議の挙げた数字がにわかに信じられないような経営悪化だ。
 なんでこんなに悪化したのか理由がさっぱりわからない。何かの間違いではないかとも考えたが、市議会での質問だから、きちんと調べて病院事務局に確認した数字なのだろう。

 わたしは以前から民間会計基準で病院決算を公表すべきだと主張している。そうすれば誰の目にも病院経営の実態が明らかになるからだ。公的会計基準では赤字であっても、収支均衡させることで黒字に見せかけることができてしまう。夕張市財政はそれで破綻した。
 市議会文教厚生常任委員会はどうして根室市の広報に病院事業決算を民間会計基準で公表するように、市議会で提案・決議しないのだろう?理由がさっぱりわからぬ。要求したら市議会文教厚生常任委員会のメンバーに何か不都合があるのだろうか?市民が市立病院経営の実態と真実を知るだけだから何の不都合もないはず。

 藤原前市長時代の病院事業赤字額はおおむね8億円前後だったが、長谷川市長になって11億円台に増え、そして2期目の最終年と3期目初年度はついに20億円を超えた。いったいどういう経営をしたら、こんなに赤字額を増やせるのだろう?非常勤医(派遣医)が増えただけでは赤字増加額の半分も説明できないよ。常勤医5人を派遣医で代替したとして、最大3.3億円の費用増にすぎない。だから医師不足だけでは市立根室病院の赤字拡大を三分の一しか説明できない。病床数は建て替え前の199ベッドから135ベッドへ3割強減少したのに、赤字の額は2.5倍にも膨らんでしまっている。外来患者数も3割減だ。人口減少率よりも外来減少率のほうが大きい。

 建て替え時の損益試算では、最大でも赤字額は11億円台と報告していたはずだが、損失額が計画よりも2倍に増えてしまっているのだから、総合文化会館で日曜日に説明会を開いて市民に説明するのが市長としての当然の責務ではないのか?当時の病院事務局は架空の試算をして市民をだましたことになる。職務忠実義務違反に問われてもおかしくない。
 来年度も20億円を超えるような病院事業損失が出たら、いったい市の財政はどうなるのか財政課長の意見も聞きたい。もっと市民とフランクに話したほうがいい。(本田市議がブログで市側の損益計画を公表した資料では最大で12億円の赤字だった。)

  市長も市議も、仕事は正直にやろう、それが一番市民のためになる。決算の内容と経営実態を正直に語ろう。もうごまかしている場合ではない。


*「ねむろ市議会便り 第11号」平成27年2月1日発行



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