11月20日付け、北海道新聞根室地域版に標記の記事が載っている。14年度予算は半ばで現市長の任期切れとなるから、無責任な予算返済は慎むべきだろう。すでに、赤字の先延ばしをして、借換債の償還期限が到来し始め、毎年4億円ずつ公債費が増えることが明らかになっている。つまり、次の市長が使うべき分まで、現市長が先食いしてしまったということだ。
 問題なのは病院だけではない、老健施設や特養への過度な補助金、小中学校の統廃合遅れによって耐震補修費が2倍以上になっている。
 市立根室病院へ100床療養病棟を置けば根室の老人医療問題はまったく違う局面を迎えることができたのにたいへんな失政だった。病院建て替えの総事業費も自ら招聘した病院コンサルタント提案の2倍以上約70億円もかけてしまった。児童や生徒数は10年前の6割に減少しているから、明治公園の再開発は必要ない、やめるべきだ。
 毎年、後手後手、ビジョンも先見の明もないお粗末な予算編成が続いて、後年時負担が大きくなっている。借換債の償還がそれを象徴的に表している。ダメなものはダメだ、はっきり言う。
 道新根室支局の記事をじっくり読んでいただきたい。


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 根室市
  財源不足7億3500万円
   来年度予算編成 市長が方針示す

 【根室】長谷川俊輔市長は19日、町内の部課長会議で、2014年度予算編成の方針を示した。財源不足額が本年度編成時より約2億円多い7億3500万円に上ることを明らかにした。
 14年度は歳出163億8600万円に対し、歳入156億5100万円。歳入歳出ともに13年度より減るが、歳出では14年度から借換債の償還が始まるため、公債費が本年度より4億円増える。
 収支不足の最大の要因は、市立根室病院への一般会計からの繰入金16億2700万円で、本年度より1億5千万円多い。
 会議で長谷川市長は「これまで以上に見直すべきものを見直し、予算編成に取り組んでほしい」と述べた。14年度予算案は来年2月末に発表する。(笠原悠里)
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【コメント】
 逆算すると、今年度の市立病院への一般会計繰入金は14億7700万円ということになるが、昨年度ですら17億円弱の赤字であり、今年度は新築建物の償却負担やリース料増大があるから赤字額はさらに膨らむ。償却負担増大分は資金の支出を伴わないから、一般会計繰入金を増やす要因にはならないが、リース料の増大は影響する。旧建物の除却による特別損失があるから、赤字額は20億円を軽く超えるだろう。
 毎年前年予算ベースで病院赤字穴埋め分をみているが、決算ベースで見るべきで、そうすると17億円以上の一般会計繰入金を予算計上するのが筋である。市議会がチェックできなければ、議会機能はないに等しい。

 市立病院の赤字について言えば、藤原前市長時代は概ね8億円前後であったことは文教厚生常任委員会の委員長である本田市議がブログの記事に添付した資料で明らかにしている。
 赤字額が2倍に拡大したのは、市長と現病院長、そして病院参事に責任がある。つい最近も常勤医師たちが医師を紹介しようとしているのに拒否しているという噂が伝わってきている。
 
 このままでは根室の地域医療の将来が危うい。住んでいるわたしたちに影響が大きいことだから、私たち自身が動かなければ、根室市立病院は夕張市の病院のように民間委託=診療所化しかねない。自分たちの地域医療は自分達で守る気概を示さなければ市立病院機能は大幅に縮小することになるだろう。
 根室の地域医療はすでに療養病床という老人医療機能を失っており、大きな不都合が生じている。機能が異なるから老健施設や特養の拡張で代替できるものではない。医療に無理解な市政が根室の地域医療をトコトン追い込んでしまった。

 でもまだやれることはあるから、あきらめてはいけない。根室に住んでいるわたし達は、自分達の地域医療がどうあるべきか話し合うべきだ。それには核がいる。コアーであるのかクラスターであるのか、地域医療改革を担う専門家集団と住民の話し合いからスタートするのだろう。


*#2513 市立根室病院の経営状況について:財政再建特別委は機能しているか?  Nov. 28, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-11-28



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