夜の気温は2.6度、五月になってからずっとこういう気温が続いている。根室は例年になく寒い。

 さて、シリーズでとりあげた地域医療対話は第五回で終了する。
 これほど経営が悪化しているのになぜ責任追及がなされないのかというPremium maltsさんの問の答えを探してみた。
 プレモルさんは根室外にお住まいの人のようだから、素直な疑問が投稿に出てくる。これには他地域にはない根室のある特殊事情が絡んでいるようにebisuにはみえる。
 「釧路の教育を考える会」の方々とのお付き合いがあるので釧路の状況と比較してみることが多くなり、そうすることでいままであたりまえと感じていた根室の特殊性がよく見えるようになってきた。感謝。


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Calvadosさん等の表みました。

確かにCalvadosは私より酔いますね。

この表は本来なら病院の監査をする市長、市議も経過としてみているはずです。ここで市の繰り越し金額をみて、責任追求するはずですね。

なぜ責任追求がなされないのか疑問です

by Premium malts (2013-05-12 21:59)

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Premium maltsさんへ

表は化粧直しをして次回アップします。
「見込み」の数値で決算数値に置き換え可能なものは書き換えるつもりです。

>この表は本来なら病院の監査をする市長、市議も経過としてみているはずです。

市長も市議も毎年報告を受けていますのでそれぞれの数字は当然見ています。
一覧表ではないでしょうが、個別の資料をつなぎ合わせるだけで誰にでも作成できます。
地域医療に関心のある市議ならそれぐらいの表を作成するのは当然でしょうが・・・本田市議がいろいろ資料を作成しているだけです。
副業の市議さんが多いので市議本来の仕事ができないほど本業が忙しいのかもしれません。(笑)

>なぜ責任追求がなされないのか疑問です。

一連の指示を出しているのは市長ですから、市長は当事者。
では市政のチェック機能を担う市議会は?
本田市議一人が資料を作成して発言しているくらいで、大半の市議は予算や決算資料すら読む能力すらあやしい。

いままで、市議会は病院建て替えや病院事業の予算案をそのまま承認してきました。
地域医療が危機に瀕し、市財政が危ういというのにまるで他人事です。
市議会で何人もの市議が病院の赤字について質問はしています。資料を充分に読み込んでいませんから、質問も迫力がない。隔靴掻痒、市長に軽くあしらわれています。つまり、いまは市議会の市政チェック機能ナシ。

こういう情けない実態を知ってしまうと、地方分権などやめたほうがいいとすら思う。地方分権はそれを担うにふさわしい人材がいることが前提です

根室市内の小中学生の基礎学力が問題になっていますが、それは大人にもはっきり影響しています。13歳の中学1年生だって20年経てば33歳の働き盛りの大人です、30年経って根室に住んでいれば中堅どころでふるさとを背負って仕事をすることになる。
30年前、40年前、50年前の子供たちが大人になって現在の根室を仕切っています。残念ながら成績上位層のほとんどが進学後そのまま都会に定着してふるさとに戻ってこない。
そうして考えると、町の衰退は止められない、それを止めるだけの人材がいないようにみえます。

市政に迎合しておこぼれにあずかろうとする情けない者たちが多い、みったくないね。

「釧路の教育を考える会」には市役所職員、市議会議員、地元企業家、弁護士、元教育長、教員、私塾経営者などさまざまな職種の人材が自然に集まっていますが、釧路には世のため人のためと思って自分の損得をひとまず脇において考え、行動する人たちが少なからずいます。根室はそういう人材が乏しい

志の高い人材を育て、30年後の根室の町に期待。ひとまずは落ちるところまで落ちるしかなさそうです。

病院事業赤字を埋めるために市役所の職員給与が30%カットになるとか、市立病院が民間病院へ売却され外来診療科や入院病棟が半減するような事態が起きれば、大騒ぎになり、少しは目が覚めます
市役所財政課が市議会で十数億円の赤字が続けば市財政はもたないと市議会で答弁しています。
市役所内部からすら赤信号が発せられています。

by ebisu (2013-05-12 23:37)

(一部削除・加筆・修正)

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【旧弊の再生産】
 釧路では釧路新聞が今年のテーマに「学力問題」を挙げている。フォーラム開催など「釧路の教育を考える会」の動きと連動する部分が出てきている。FM釧路も月2回学力問題の番組を放送している。こちらは毎回「釧路の教育を考える会」のメンバーが出演し番組制作に協力している。
 根室の小中学生は全道14支庁管内で日高とともに最低レベルである。釧路の小中学生よりもさらに学力が低いにもかかららず、学力問題が根室新聞でもFMねむろでも取り上げられないのはなぜ?
 じつはこの問題は地域医療にも共通する問題を孕んでいる


 結論を先に述べると、これら二つのメディア企業は市政と密接な関係があり、市政批判がしづらい事情を抱えている。商売に差し障りがあってはこまる。しかしだ、市政と関係があっても、ふるさとの未来のためにダメなことはダメだと敢然と言い切る勇気や見識をもつことはできるだろう、否、もってもらいたい
 企業には社会の公器としての側面もある、それには社会的責任が伴っている。

 誇り高く生き抜く大人たちが増えればそれに続く若者たちが出てくる。 
 このシリーズのどこかで、非常勤医師の送迎に中標津空港まで根室市内タクシー・ハイヤー3社が持ち回りで仕事を引き受けていることをとりあげた。タクシー会社の一つは根室新聞社のオーナーのグループ企業である。そして根室交通は市内唯一のバス会社であるがここも根室新聞のオーナ一族の企業で市の補助金が経営を大きく左右する。公共交通機関としても市政と密接な係わり合いをもたざるをえない。

 FMねむろは数年前に経営に行き詰まり、W建設がオーナーとなった。W建設は2番札にも関わらず、市立根室病院建て替え工事を受注した企業だから、たいがいのことはごり押しできると思われている。公共土木建設工事では圧倒的に受注額の多い市内No.1の土木建築会社である。経営権がW建設に替ってから、FMねむろは市教委批判につながりかねない学力問題をとりあげなくなった。もちろん、自分がジョイントベンチャーで受注した病院建て替え問題に何も言うはずがない。二番札でも、市の幹部会を開いてまでも入札結果をひっくり返している。こんなに強引なことが行われても、市議会はだんまりを決め込んでいる。もちろん、経済諸団体も何も言わない。

 「根室まちとくらしネットワークフォーラム」の座長は2年前から市長の諮問会議「根室再興を考える市民会議」の委員長である。その旧店舗は市が賃借して「街中サロン」として運営、そして市教委が不登校児の教育のためにその2階スペースを借りている。学校眼科健診でも永年かかわっているし、英語教育で学校への外人講師派遣でも市側と契約のある業者である。市内でこれほど市側とたくさんのチャンネルで契約のある企業は他にはない。学校眼科検診を除いて、北海道新聞記事に掲載された事実である。
 この「フォーラム」は地域医療問題で本田市議に講演を依頼して市立根室病院が赤字であるとわかっても、「広報ねむろ」が病院事業は黒字と虚偽解説記事を載せていることに何も言わぬ。
 市と取引関係があっても市政批判がきちんとできたら、その経営する企業の未来は長い目で見て明るいだろうし、市が財政破綻してもきっと生き残る。
 市政と密着しすぎると市財政が破綻したときにどうなるかははっきりしている
。そろそろ危ない橋から降りて粋で格好よいところを見たいものだ、こういう奴がパトリオットになれたら面白かったのだが・・・

 今年度30ベッドの増設で9億円もの補助金交付を受ける老健施設のオーナの経営する薬局から市へ500万円の寄付があった。厚生労働省のホームページをみると老健施設への補助金は1ベッド200万円と書かれている。基準の15倍もの補助金交付がどういう理由でできるのかさっぱりわからない。この問題でも市議会はあってなきがごとし。

 市内で唯一の特別養護老人施設へは昨年度やはり同程度のベッド数の施設拡張に5億円の補助金を交付している。
 その一方で、市立根室病院職員アンケートで医療療養型病棟新設への希望が多かったにも関わらず無視した。
 慢性期の疾患で入院医療の必要になった老人は行き場を失って市内の精神科病院や別の地域の療養型病院を利用せざるをえなくなっている。たいへんな不便が生じている。根室は6年前から医療療養型病床のゼロの町になってしまった

 こうした地元企業と市政のもたれあい、あるいは露骨な利益誘導をわたしは「旧弊の再生産」と呼んでいる。誰からも何も言われなければタガが外れたように露骨になるから、健全な批判の存在が必要である
 全部を無くせとは言わぬが、何ごとも節度は大切だ。子供たちへも悪影響がある。根室で生まれ育ったら、そういうことはあたりまえだと無垢な心に刷り込みがなされてしまう。大人の背中を見て子供たちは育つという意識をもってもらいたい

 ごく一部の者たちが「小さな村」を構成してお互いに好き勝手し放題、これをそのままにしておいて町の活性化がありようはずもないのは自明のこと、よくないことはよくないと言おう

 根室に住み続けていればこういう持ちつ持たれつの構図は空気のようなもので当たり前のことに思えてくるが、釧路と比較してみるとその異常さに気づく
 釧路新聞と根室新聞、FM釧路とFMねむろ、これら二組のメディアを比較してわが町を客観的にとらえてみよう。根室の二つのメディア企業は市政との関係がありすぎてがんじがらめ、市政批判は言いにくいし、その気もない。
 釧路に比べて根室はふるさとのためなら一肌脱ごうという、パトリオットがすくない。利害損得ばっかり考えている姿はみったくない。たとえ市政と関係が深くても、言うときには言うぞという格好よさがあっていい。格好いい根室人が増えてほしい。ふるさとの活性化とか「再興」とかは、そういうことだろう。自分の損得を気にして汲々とするミッタクナシだらけの町なんて魅力ナシだ。

 根室新聞もFMねむろも、市と深い取引関係のある地元企業がオーナとなっている状態が異常なのである。ここを是正できたら根室は活性化をすこしはとりもどせるのだろうか?
 そうではないだろう、それらは必要条件の一つに過ぎず、地元企業経営者も含めて根室に住む私たちの意識を私たち自身がどのように変えられるかが問われている。誰かがやってくれることを期待してはいけない、根室の町の活性化はそこに住む私たちが自分たちの手でやらなければならない。



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【余談】
*パトリオット、パトリオティズムについては弊ブログ#1029と#1030参照。
 #1029 『現代語訳 帝国主義』幸徳秋水著・遠藤利國訳
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-05-16

 #1030 nationalism とpatriotism :遠藤利國訳・幸徳秋水『帝国主義』
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-05-17


 ―以下一部抜粋―

#1029より⇒
 ロシア革命のさ中の高揚の中で我が田に水を引く論を展開したレーニンと、透明な知性で私利私欲を離れて日本的情緒で経済を観察した幸徳秋水の、いずれの論が正鵠を射ていたかは今日の状況から明らかだろう
 自己や自己の属するの集団の利益を頭の隅のどこかでチラとでも考えたら、その途端に目が見えなくなるものであるらしい。ケチな根性で経済を観察しても、大事なところで論を誤るものであることは注意したい
 資本主義化が遅れたロシアで革命が起こり、70年後に行き詰ったのは共産主義経済の方であった。だが、物質的欲望の拡大再生産装置である資本主義もまた環境問題を中心に行き詰まりをみせている

#1030より⇒
 前回のブログ*で遠藤利國訳・幸徳秋水著『帝国主義』を採り上げたが、そこにナショナリズムとパトリオティズムは異なる概念であると書いた。
 数学者藤原正彦のナショナリズムとパトリオティズムの二つの用語の使い分けについて『国家の品格』から該当箇所を引用して補足しておく。

「愛国心」ではなく「祖国愛」を
 私はいつぞや、アメリカ人の外交官に「お前はナショナリストか」と訊いたことがあります。そうしたら、「オー・ノー」と否定されました。そこまではよかった。
 ところが「パトリオットか」と訊いてしまった。そしたら「もちろんだ」といって今度は怒り始めた。自分が生まれ育った祖国の文化、伝統、自然、情緒をこよなく愛することは、当たり前中の当たり前である。外交官でありながら、そんな質問をされたことを侮辱ととったのです。明治になってから作られたであろう愛国心という言葉には、初めから「ナショナリズム」(国益主義)と「パトリオティズム」(祖国愛)の両方が流れ込んでいました。明治以降、この二つのもの、美と醜とをないまぜにした「愛国心」が、国を混乱に導いてしまったような気がします。言語イコール思考なのです。
 この二つを峻別しなかったため、戦後はGHQの旗振りのもと、戦争の元凶としてもろとも捨てられてしまいました。わが国が現在、直面する苦境の多くは、祖国愛の欠如に起因するといっても過言ではありません。・・・ 私は愛国心という言葉は、意識的に使いません。手垢にまみれているからです。そのかわりに「祖国愛」という言葉を使い、それを広めようと思っています。言葉なくして情緒はないのです。(藤原正彦著『国家の品格』114ページ)

  『国家の品格』が260万部も売れているのは単なる流行だけではなく、しっかりした論が展開されているからだろう。 

 手元にある辞書2冊をみると定義は次のようになっている
Nationalism: 2 a great or too great love of your own country
Patriotism: When you love your own country and are proud of it
     (Cambridge Advanced Learners Dictionary)

Nationalism: 2 the belief that your nation is better than other nations
Patriotism: strong feelings of love, respect, and duty towards your country
     (Macmillan English Dictionary)

 ナショナリズムはtoo great love of your own country(度を越した祖国愛)だったり、他国を省みない排他的なニュアンスがあるが、パトリオティズムにはそういう負のイメージはなく、生まれ育ったホームタウンへの素朴な郷愁や誇りにすぎない。しかしそれも程度問題で、容易に排他的愛国主義(ジンゴイズム)へと転化しかねない危うさももっている。
 Patriotism can turn into jingoism and intolerance very quickly. 

・・・・・
 さて、訳者はパトリオティズムについてどのように考えているのかメールで訊いてみたので、彼の解説を披露したい。遠藤はラテン語に詳しいから、語源学的な話しを交えた解説は話しを面白くする調味料の役割をするはずだ。大学生や高校生には勉強の仕方について示唆を与えてくれているに違いない。
 以下はメールからの引用である。
 
 藤原氏の「峻別して使う」という話はもっともです。patriotはギリシアの都市国家の時代から使われていた語で<父祖の地、あるいは国>というような意味ですから、祖国愛というのであれば良い訳語ですね。nationはラテン語系統で血筋とか出生等の意味する言葉ですが、ローマ人が祖国愛というような意味合いで使う時は、やはりギリシア人から受け継いだpatriotを使ったようです。nationalismという言葉は近代になってからの言葉なのでしょう。もっとも秋水は愛国主義の語にパトリオチズムのルビを振っているので困ってしまうのですが、おそらくジンゴイズムとかショービニズムとの区別を、あるいは語そのものを知らなかったのかもしれません。
 
藤原氏の引用された文の中に「明治の人達はこの区別を曖昧にした云々」とありましたが、曖昧にしたのではなく知らなかったというのが実情でしょう。なにしろ戦国の遺風そのままの感覚で西欧と向き合ったわけですから、「やるか、やられるか」以外に判断の基準があるとは思わなかったのでしょう。「ほととぎす」でも引用した樺山海相の蛮勇演説も、漢語が混じっているので意味が不鮮明になっていますが、簡単な話がヤクザのミカジメ料を脅し取るときのセリフ、「ここでノウノウと商売できるのは誰のお蔭だ」と同じですから、当然、言われた方も「やるか、やられるか」の感覚で大騒動になったわけです。この区別が分っていたのは福沢諭吉ぐらいなものでしょう。
……
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 #2297 地域医療対話(5): 旧弊の再生産とは?
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-05-14

 #2296 地域医療対話(4): 経営の問題点がよくわかる一覧表
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-05-12-3

 #2295 地域医療対話(3):非常勤医が増える仕組み
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-05-12-2

  #2291 地域医療対話(2) 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-05-10-1

  #2290 地域医療対話(1)
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-05-10

  #2287 「いまいる常勤医を大切にせよ」:市立根室病院の経営改善
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-05-07-2

  #2286 市立根室病院『改革プラン(改訂版)』と実績対比
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-05-07-1

  #2285 市立根室病院『改革プラン(当初計画)』と実績対比
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-05-06

 #2283 市立根室病院損益推計:7年後は年額22億円に赤字拡大か?
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-05-04

 #2269 衝撃!根室市の人口推計値 :とまらぬ人口減少
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-04-21

 #2272 根室 「57年間の人口推移+27年間の推計一覧表」
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-04-23-1

  #2247 根室市予算案をチェックする(6): 補助9億円「高すぎる」
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-03-19

 #043初夢でみた医師不足解消
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2008-01-08

 #37市立病院はほんとうに黒字か?…(2)
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2007-12-29

 #33わが町の医療の現状と展望(1)
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2007-12-27




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