市教委が中学生の学力低下対策として計算問題集を作成したと最近の北海道新聞の出ていたが、C中学校が生徒に配布した。専用のノートに書いて提出を義務付けているから、宿題扱いである。

 厚さ1センチほどの問題集だが、これを独力でできない生徒が三人に一人いることは数学の教師なら承知しているはず。計算練習問題集を配ってもやり方を教えないとできない。
 どうして放課後補習をして教えてやらないのだろう。週に2日ブカツを休ませて補習をすればいい。3ヶ月もやれば半数はよくなる。ただ問題集を配っただけでは学力の低い成績下位三分の一には効果が期待できない。

 先生の仕事の責任の第一番目に挙げられるものは「授業」だろう。その授業内容が理解できない生徒が40%ほどもいるのに放置したままというのは仕事の責任を果たしていないということだ。
 もともとは、小学校の先生たちが分数や小数の計算をきちんと教えなかったことが原因だから、中学校の先生たちだけを責めるのは酷かも知れない。しかし、目の前に小数位取りや分数の基礎計算すら怪しい生徒が三人に一人いる現状を知りながら、市教委作成の問題集を渡すだけではまずいだろう。

 中体連を前にして週に2回ブカツ休止日を儲けるのは、保護者のクレームも予測されやりたくないのかも知れぬ。しかし、言うべきことを言い、やるべきことをやれば軋轢は起きるもので、そうした軋轢をおそれていては基礎学力の改善は望めない。
 覚悟を決めてブカツ休止日を週2回設けて放課後補習をやるべきだ。

 水曜日の放課後と土曜日午前中を補習に充てたらいい。放課後補習はブカツと同様に6時半までやったらいい。これだけで三時間も勉強できる。
 先週金曜日に実施された学力テストで数学の得点が50%以下の生徒は強制参加としたらいいだろう(たぶん50点以下の生徒は6割を超える)。
 きちんと教えたい先生もいるはずだが、「一部のブカツに熱心な保護者」との軋轢を畏れて言い出せないのだろう。勇気を出して本業に責任をもった仕事をしよう。こういうことは学校長や教育行政が後押ししてあげないとなかなかやれない。現場の先生たちだけに責任を押し付けてはいけない。

 数学はこの数年間で、生徒に配布するプリントが増えた。配布するプリントを増やすだけでは効果のないことは分かったはずだ。
 10年前には市街化地域の3中学校だけで60人前後いた5科目400点以上が少ないときには4人、学校によってはゼロの学年が出ている現状はいままで学校や市教委がやってきた学力対策が何の効果ももたなかった「証拠」である。
 学校や教育行政が閉鎖的に取り組むことでは学力低下をとめられないことも実証済みのことに属する。わたしたち地域住民の意見に耳を傾け、対話すべきだ。

 基礎計算すらあやしい生徒達は高校生になっても、小学生の算数からやり直すことになる。
 成績優秀な生徒だって正規雇用の職に就くのにたいへんな苦労をしているから、基礎計算すら怪しい生徒達のほとんどは正規社員として就職できないだろう。親に寄生して生きるしかなくなる。その親が定年退職した後は30過ぎた子どもの面倒をだれがみるというのだろう?根室にはそういう30代が増えつつある。

 基礎計算すらできない生徒達に見られる共通の傾向は、必要ではあるがきらいなことをガマンしてやり遂げることができないということや落ち着きがないこと。勉強ができないだけでなく、辛抱ができないという「二重苦」を抱えている。脳の前頭前野部分が鍛えられずに未発達なままのように感じる。脳の前頭前野は数人で遊ぶことや学習や辛抱を繰り返すことで発達するのだろう。
 社会人となって働くには、辛抱力が必要だが、基礎学力と辛抱力という社会人として生き抜くための土台を築きそこなった生徒達の将来を想像してみたらいい。あなたが経営者だったらそういう人間を雇うだろうか?そんなことをしたら会社がつぶれる。

 基礎学力の醸成とともに辛抱力をしっかり身につけさせてやるのは、小学校と中学校の先生たちの仕事の責任である。

 小学校1・2年生で家庭学習習慣を育むのは親の責任だ。小学校低学年で家庭学習習慣を育めば基礎計算力に問題が起きることはほとんどない。
 小6で「逆九九」がすらすら言えない生徒は基礎計算力に問題を抱えているから、チェックしたらいい。もちろん、中学生もだ。割り算の商をたてるのにてまどったり、間違えることが多いはず。逆九九を授業で教えない先生も多くなっている。
 小学校の算数授業にメスを入れない限り、中学校では放課後補習で「もぐらたたき」が続くことになる。

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 釧路の教育を考える会のメンバーのブログ「情熱空間」が「根室市教委による計算問題集」を取り上げてくれた。4月15日北海道新聞記事の写真が貼り付けてあるので、見てもらいたい。

 http://blog.livedoor.jp/jounetsu_kuukan/archives/6453579.html


*#2266 『カルク』改善への視点(3) 
 http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-04-17

 #2265 『カルク』はすぐれもの(2) : "a good job"
 http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-04-16

 #2262 計算問題集『カルク』配布(1)
 http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-04-14



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