根室市も「移住促進」事業をやっている。他の都市でもやっているからやらないわけにはいかないのかもしれぬ。目的は人口減少に歯止めをかけることだ。
 団塊世代が高校を卒業するころ(昭和40年代)には4.9万人、それから46年がたっていま2.8万人である。10年後の2023年には根室の人口は2.5万人を割って最盛期の半分となる。

 テレビ番組でも昨日「移住促進」をとりあげていた。定年を迎えた団塊世代が移住を考える場合の検討項目が二つ挙がっていた。

 ①住民とのコミュニケーション
 ②病気・医療問題

 住民とのコミュニケーションは町の規模が小さくなればなるほど、むずかしいのがあたりまえ。いままでの隣近所関係や地域の交流関係を断ち切って新たな町に住むというのはストレスの大きいことであるだろう。「転職」に似ているかもしれない。
 あまり地域とかかわらずに生活するか、積極的にかかわって交流の輪を広げていくのか、移住者自身が考え判断しなければならない。この部分はやってみないとわからないことが多いだろう。

 住民同士のコミュニケーションのほかに、行政が市民にオープンであるかどうかも大事な点だ。市政は住民の生活に直接影響があるからだ。だから市長の諮問機関に「~市民会議」を名前をつけて「市民の意見」とするような行政のありかたは改めたほうがいい、「閉鎖的」な町だと思われる。

 60歳をすぎると、どこかしらからだが壊れてくる。古い車のようなものだから、部品は次々と壊れて、しまいに廃車となる。修理が必要となるが、修理工場と修理工がいなければ困る。
 135ベッドの規模では「総合病院」無理だし、市立根室病院に医療療養病棟がないというのは移住促進にとって大きな障害だろう。慢性期の入院治療あるいは終末期医療が必要となった老人をケアする受け皿がない。

 移住促進のためには余った建物を市費を投じて改修して貸し付けることではなく、市政のあり方をオープンにするとか、市立病院に療養病棟を設置するとか、そういう基本的で地道な改善が効果が大きいことを知るべきだ。

 人口減少に歯止めをかけたいならもっと大事なことがある。根室の若者たちに優良な職場を用意することだ。若者が定住してくれれば、いずれ結婚して子どももできるから、人口減少の歯止め効果が大きい。
 水産加工業が主体の町だから、水産加工業を営む企業の経営改善が必要だ。もちろん他の業種も含めて、優良な職場の創造は地元企業の経営改善如何にかかっていると言ってよいだろう。根室の人口が減少し続けているのは、地元企業が経営改善できないから。
 社員に夢を語れる社長が何人いるだろう?夢を実現する具体的な達成手段やプランを語れる社長が少ないことが一番問題だ。経営能力の一部は基礎学力であるから、教育をおろそかにする町は長期的には衰退せざるをえない。

 札幌に集中的に5店出店して大当たりし、東京丸の内の「キッテビル」へも出店した回転寿司「花まる」は志が高い。社員に夢を語れる社長だろう。かれはいくつもある根室の経済団体のいずれにも属していないようなのはカラーが違いすぎるからだろう。そこに根室の旧弊があるのだが・・・



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