#2171「市立根室病院の経営状況:15億円の赤字」で病院の採算問題を取り上げたら、6人の方から十数個のコメントを戴きました。コメントの数に地域医療への関心の高さがあらわれているとみていいのでしょう。
 新病棟がまもなく稼動しだすので、これからどうなるのか、假定の話しを交えながら小児科にかかわる問題に焦点をあててみます。

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 現在の小児科医の副院長は一応この3月で定年ですが、そのまま数年残留希望がありえます、定年後をどのようにお考えなのでしょう。常勤医お一人で根室の小児科の患者を地元のK医院の先生と診てくださっていた、その仕事に深く感謝申し上げます。
 今後の小児科の診療体制がどうなるのかは根室市民にとっては大きな問題ですので、問題点をいくつか整理・確認しておきたいと思います。


 市立根室病院には常勤医副院長とは別に北大小児科から主に大学院生の小児科医が交替で出張してきます。この数年間はその出張医の根室滞在期間が1日短くなりその必然の結果として交替のサイクルが短くなり以前にも増してその経費が嵩むようになりました。北大小児科からの出張医の特徴は前任者と後任者が必ず引継ぎが行われる・・・つまり出張日が1日重なります。そのため交替日には2人の出張費にアルバイト料が支払われます。このシステムは北大小児科が出張医を出している隣町の病院の小児科でも同じです。診療業務を責任をもって行うために必要不可欠な措置なのでしょう。

 
根室と中標津の違いは、中標津空港から病院までのタクシー代にあります。根室の場合は空港から病院までタクシーで1時間半程かかり料金も嵩みます。勿論他の科の出張医(内科、皮膚科、耳鼻科、泌尿器科、産婦人科etc.)も頻繁に往復します。
 空港~根室市内には根室交通のバスが走っていますが、医師の場合はバスと言うわけには行きません。タクシーは釧路から張して来る医師にも適応されます。
こんな具合ですので、中標津町に比べて市立根室病院での出張医の経費はずっとかさんでいます。地域で唯一の総合病院(?)*として存在する以上できるだけ多くの診療科を揃える努力は当然なので、経費と収益を秤に掛けて明らかな赤字でもやむを得ない部分もあります。
 しかし小児科の場合は他の診療科に比べて、収益に対して経費がたくさん掛かります。
(これは小児科医のせいではなく、日本の医療保険の点数が低い、そのことが小児科の採算を悪くして小児科医の不足を招く原因の一つになっています)。

 北大小児科系の現副院長が嘱託医として残留しそこにもう一人の小児科医(常勤医)が来れば、
小児科は2人体制となり北大小児科からの出張は不要となり、経費をかなりカットできそうに思えます。
 院長が隠密裏に小児科医確保に動けば副院長との信頼関係に水をさすことになります。きちんと筋を通して副院長と北大小児科医局に話しを通しておかないと北大医局との関係もますますこじれます(市立根室病院が筋を通さなかったために大学医局を怒らせるのは度々あったことです)。こういう交渉ごとは関係方面にきちんを筋を通すことが大事です。

 そうした根回しをせずにやれば、トラブルになります。副院長が万が一にも定年後の残留に嫌気をさせば、小児科医が1人になってしまい、お産を再開したい市側は困惑(複数の小児科医がしっかりしている病院でないとお産は無理)することになりかねません。大丈夫でしょうか?

 札医大医局のバックアップも欲しいところですが、札医大小児科医局が動いてくれるといいのですが、諸般の事情からそうはいかない可能性があります。そうなると、確保に動いた医師一人で切り回すことになりますが、診療実務としてははなはだ困難です。
 こじれると副院長も退職、それと同時に北大小児科からの応援も終了、札幌からの医師も赴任せず、市立根室病院から小児科が消滅・・・?あってはならぬことです。
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 地元にはK小児科医院がありますが、2.8万人の人口を抱える根室市内の小児科の患者を先生お一人で全部引き受けるのは体力的な問題を考えても無理があると思われます。

 
新病棟が動きだしたとたんに市立根室病院は常勤医の体制が大きく揺らぐことにならないように、正直で誠実な仕事を関係者がされることを祈ります。


 ebisuにできることは、看護高等専門学校志望の塾生を確実に進学させること。そして一人ですが医学部志望の小学生がいます。いま中2の数学を、そして良質の日本語音読テキストを選んでトレーニングしています。語彙力の充実と正確に読むスピードが数学や他の科目の成績を上げる基礎学力となるので、数学と日本語語彙力強化の二点に重点を絞った個別指導をしています。札幌の公立進学校へ進む予定ですが、それまでに数Ⅱまではやれます。中学校から英語も教えますが、いまは日本語の能力を上げるのが最優先ですから英語は教えていません。

 英語は中学校から、日本語能力の高い生徒は英語の伸びが大きい。文脈を読む能力が鍛えられるのでそれが英語にも応用できるのでしょう、とくに長文読解力にすぐれています。逆も真で英語長文読解力にすぐれている生徒は、日本語の文章の読解力も高い。だから、小学生のうちに英語を教えても日本語能力のすぐれた百人に一人ぐらいの子どもにしか意味はないのです。暇があると本を読んでいる小学生、そうした子どもには効果があります。ほとんどの子どもたちは日本語語彙の拡張期ですから、英語の勉強する暇があったら、日本語の本をたくさん読んでおくべきです。それが高校生になってから英語長文読解能力を大きく伸ばす土台となります。分厚い本(専門書)を平気で読みこなせるくらいの英語能力がなければ、(社会人となってからの)仕事では意味がないのです。

 成績のよい塾生は厳しく育てていい。ニムオロ塾は塾生の能力に応じた個別指導をしています。
 根室に住むそれぞれの人が己の職分を通じて地域医療を支えることが大事です、わたしもそうした大勢の中の一人。


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*総合病院とは「ベッド数が100以上で、5つの診療科(内科、外科、産婦人科、眼科、耳鼻科)を備えている」病院です。
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ベッドですからこの点はクリアしていますが、産婦人科が「お産」を含むものと解釈すると市立根室病院は総合病院ではありません。産婦人科は診療科としては存在しているので、総合病院といえないこともない、・・・少し微妙なところがあるようです。

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柏原病院の小児科を守る会「地域再生」準大賞に」
http://teiju.info/a/1114


 お母さん達が病院の小児科医と信頼関係を育み、地域住民が主体的に小児科医療を守る活動を行、。根室はもっと先進地域のやりかたを謙虚に学ぶべきです。「いしんでんしんxxx」はイベント(懇親会)主体の会のようですが、丹波柏原病院の「小児科を守る会」は活動の実態がまるで違います。
 やるならきちんとやりましょう。小児科存続の危機を迎えることになるので、活動のあり方を切り替える絶好のチャンス、本物になってください
 根室には若い人たちの活気のある「会」もありますが、看板倒れの好い加減な「xx会」もいくつかあります、もちろん市政チェック機能を果たせない「市議会」もそれらの「会」のなかに入っています。市議会議員選挙の年ですからもっとしっかりして根室の地域医療と財政問題、そして子どもたちの学力向上のために、成果をあげるような活動をしてもらいたいと思います。

***#2171 市立根室病院の経営状況 : 15億円の赤字、まもなく新病棟完成 Jan. 7, 2012
 http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-01-07


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