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#2174 成人式 :大学生の就活状況と30年後の根室  Jan. 13, 2013 [26. 地域医療・経済・財政]

 北海道医療大学と小樽商大の生徒が成人式にでるためにもどってきたので話しを聞いてみた。学校はもう始まっているのだという。

 成人式をすぎたら今年の秋から就活だ、大学3年生は落ち着かない。このあいだ進学したと思ったら、9ヶ月先には就活が待っている。何社くらい応募するのか実態が知りたくて質問してみた。
「学校からは200社と言われています」
 いや、驚いた。50社応募して空振りで、落ち込んでしまって就活を休止する学生もいると聞くから、学校は少し大きな数字を出して、めげないようにワクチンのつもりで"200社"と言っているのだろうが、就職氷河期はますます厳しくなっている。
 こともなげに言う。
「100社は普通ですね」
 その表情にはこまった風がちっともうかがえない。
 おっとっと!すっとこどっこい!女は強い。(笑)

 道内は企業数が多くないから、道内各大学の学生は九州でもどこでも就職のあるところなら全国各地へ飛んでいっているようだ。根室から札幌周辺の大学へ、そして就職は全国各地へと若者が散っていったら、根室から若者がいなくなるだけではなく、北海道から若者達が毎年たくさん流出することになる。人口統計を見ると、道内の人口は1995年あたりを境に減少に転じている。

【30年後の根室の人口】
 では根室の状況はどうなっているかみてみたい。10日の北海道新聞根室地域版に昨年度の出生数が195人と載っていた。1980年には676人だったから、32年間で7割減少してしまった。
 195/676=28.8%
*根室市の出生数の推移
ttp://www.nemuro.pref.hokkaido.lg.jp/hk/hgc/grp/08suisinsiryou.pdf

 このままの出生数だと2.5世代後にはどういうことになるだろう?30年で1世代とすると2.5世代で75年だから、ほぼ人口が代替わりしてしまう。
  195人*75年-195人*(75年-18年)*2/3=14,625-7,410=7,215人

 18歳になったら三人に二人が根室を出て行くという前提だと、75年後の根室の人口は7,215人となる。実際には出生数も漸減するから、もっと厳しい数字になる。ほんとうだろうか?
 この試算では人口減少率はどれくらいになるのだろう?
  28,750人*x^75=7,215人  x=0.982
 30年後は?
  28,750人*0.982^30=16,537人・・・①

 人口減少率は毎年1.8%である。
 1968年を基点として実際の人口減少率を計算してみると、
  X^44=28,750人/49,892人
  X=0.988
 この前提では人口減少率は1.24%である。

 人口減少が加速しているので過去10年間の人口減少率を計算してみたい。2002年12月31日の人口は33,028人である。
  
  33,028人*x^10=28,750 
  x=0.986
 この前提条件では人口減少率は年1.4%となる。

人口減少率は概ね1.4%~1.8%の間にあるのだろう。これからの対策しだいで根室の未来は大きく変わりうる
 実績値を使って外挿法で75年後を計算すると、
  28,750人*0.986^75=10,158人
 7,215人と10,158人では2,943人しか違わないので、誤差範囲にも見える。しかし、ユルイほうで計算を続けてみよう。

 10年後は?
  28,750人*0.986^10=25,026人
 20年後は?
  28,750人*0.986^20=21,784人
 30年後は?
  28,750人*0.986^30=18,962・・・②

 30年後の根室は人口1.6~1.9万人の町になる。一世代30年間で人口が9,000~12,000人減少するようだ。実際にはこの5年くらいの人口減少は年間400人台の後半であり、加速しているから、こんなものではすまない可能性が大きい。
  今日、成人式に出席した人たちの両親は80前後で、認知症が出始める年齢になる。認知症を収容できるのは北浜町のグループホーム18ベッドのみで、それも医療施設ではないから医療が必要になったら、施設をでなかればならないが、根室市に療養型病床はゼロだから行き場がない。そのときになった思い起こすことになる。ああ、あの市立根室病院、地方医療協議会も病院スタッフも市立病院に療養型病棟を設置すべきだと強い要望を出していたのに、それらを無視して病院経営を破綻させるような70億円もの事業費を費やし、ニーズに合わない病院を作ったのは長谷川俊輔という市長と某建設会社だった。市議会はチェックできなかったが、さて、30年前の市議はだれだったか・・・

 町の歴史に汚名を残さぬようにあれだけブログ上で具体的な提案をしてあげたのだが、なぜか長谷川市政は暴走してしまった。そしていまもピントハズレの暴走を続けている。相変わらず自分が委嘱した「市民会議モドキ」を隠れ蓑にし、市民の意見は無視だ。スタイルは変わらぬ。
 今年は市立根室病院の新病棟が完成し、償却負担が重くなり、病院経営赤字は20億円に近くなるから、根室市財政の破綻へさらに一歩踏み出すことになる。このままでは市立根室病院は数年で診療所になりかねない。ebisuは市政運営と市立病院経営に強い危惧を表明する
 いまから手を打てば、問題を小さくできる項目もあるから、それぞれの関係者が己の職分に課せられた仕事をしっかりやろう。間に合う問題がたくさんある。

【先手必勝】
 先を読んで手を打てるような市長が現れないと、根室の町はこれからいろんな問題に後手後手で対応せざるを得なくなる。問題を先送りするような市長や市議会では根室が直面している人口縮小に対応できない。健全な市政批判と提案、オープンな議論、そしてそれらを受け入れる心の広さが必要だ。オープンな場で市民の自発的な参加を認めて、議論すべきだ。病院建て替え問題一つとっても、市長にも市議会にも財政課にも歴代病院事務長にもまともな仕事をする能力がなかったことがすでに明らかだ。市長が委嘱した市民委員会もただのお飾りでまるで役に立たなかった。だから、市民の自発的な参加によるオープンな議論が必要なのだ。

 30年後に1.6~1.9万人になるというこの数字は、現実の出生数や18歳を契機とする流出実態を前提とするとどうやらかなりユルイものと判断しなくてはならない。

 人口減少に伴い、保育所、幼稚園、小学校・中学校の統廃合、高校、病院、公共施設、市役所職員数の削減、空家対策など、急いで準備しなければならないことは多い

【人口減少対策】
 人口減少の原因はハッキリしている。若者に魅力的な職場が根室に少ないということ。中小企業は人材がすべてだ。若い人材を育てないと、若者の流出は続き、いままでのようにジリ貧になる
 地元企業がオープンな経営を目指さないとダメだ。従業員へ決算の公表、退職金規程や経理規程などの整備と規程に基づく会社運営の徹底、予算制度の導入など、根室の中小企業が取り組まなければならない課題は多い
 若者達に魅力的な職を用意できなければ、小手先の「移住を増やす」などという政策で根室の人口減少が止められるはずがない。
 先にはとてつもない困難な時代が待っている、仕事は正直に誠実に、渾身の力でやろう。

【成人式】
 ところで、成人式でもどってきた若い二人の学生は、一人はお酒がいける口だそうだ、もう一人はすぐに赤くなって酔っ払ってしまう。たしか、ワイン・バー「サリー」に連れて行ってやると約束していたはずだが、3ヶ月前に閉店してしまったので約束を果たせずじまい。品のいい店だったから、そこで二人にワインをたっぷり飲ませてあげたかった。残念。どこかお店を探しておかないといけない。ああ、一つ二つお店を思い出した。この次ぎ来たときだ。
  明日の成人式は一人は赤い振袖、もう一人は青い振袖だそうだ、少し大人になった。色気なんて大人になれば自然ににじみ出るもの。
 楽しい成人式の日を高校時代の同級生と過ごしたら、就活へ向けて準備が始まるのだろう。大人には厳しい現実も待ち受けているから、めげずにがんばってほしい。この二人はどうも心配なさそうだ。

【根室を出た者たちの就活状況】
 ちょっと気になったのは、一人が希望している職種には歴史の浅い企業が多く、札幌から少し離れただけで15万円くらいの給料しかもらえそうもなく、ボーナスも期待薄という現実があること。
 これでは自活ができない。介護・福祉施設は概して給料もボーナスも低いところが多い。

 高校卒業時に就職ができなかった生徒達のなかには、やむなく専門学校や偏差値40前後の大学へ進学さざるをえなかった者たちがかなり含まれている。しかし、北海道の現実は厳しい。2年や4年間先延ばししても、就活の状況が楽になるわけではない。
 道内に就職率が90%を超えるような大学はほとんどない。そこそこの大学でも100社に応募するスタミナが必要だ。中学生や高校生時代の勉強が将来を左右しているといっていい

【根室の中学生と高校生へ】
 安閑として中・高時代を過ごすことのないように中高生諸君に伝えたい。
 安倍政権になってまたぞろ公共事業主体のバラマキ政治が復活してしまい、国債新規発行額はついに50兆円を超える。
 人口縮小時代に突入したにも関わらず「経済成長」を声高に叫ぶほどおろかだから、国家財政が破綻するものと覚悟を決めよう。好い加減な政治が続くから、現実はますます厳しくなる。
 公務員になっても、10年後の職の保障はない時代に突入した。成人式の夜はすべてを忘れて友と楽しく酒を飲め、そして『ルバイヤート』でも読むといい。


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*#1901 根室市の人口2.9万人割る Apr. 11, 2012 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-04-11

 
 #2170 各論(2):貿易収支赤字転落⇒? Jan. 3, 2013 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-01-04

  #2169 各論(1):国債暴落の可能性とその影響 Jan.2, 2012 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-01-02

  #2168 歴史認識を欠いた安倍新政権の歴史的役割(2):蔵相高橋是清暗殺 Dec. 31, 2012 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-12-31-1

  #2164 歴史認識を欠いた安倍新政権の歴史的役割は何? 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-12-28


 #346 これから10年間の日本経済のシナリオ 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2008-10-10

 #311今後10年間の日本経済のシナリオ
 
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