今月末に新病棟が竣工予定だ。竣工間際にさらに4億円の建築予算が追加された。システム費用も当初は総事業費にはいっていたから、総額70億円を超えたのではないだろうか。市が三度にわたって招聘して講演した病院コンサルタント(公認会計士)の提案は、年間売り上げの範囲内25億円でやるべきというものだった。通常は市が三度も招聘したコンサルタントの提案を蹴飛ばすなんてことはないから、なにがなんでもお金をたくさん使わなければならない事情があったに違いない。
ハンドルネーム"もやしさんま"さんからコメント欄に書き込みがあった。「広報ねむろ1月号」に病院事業会計の黒字決算報告がなされているが、実際には赤字、誤解を与えるような広報には問題があるから、赤字穴埋めの繰出金がいくらかを明記すべきだというコメントをいただいた。
わたしもそう思う。赤字を黒字と公表すると、上場企業は粉飾決算で取締役は法的責任を問われるが、地方自治体ではそういう「粉飾決算」が普通に行われ、その実態が決算書からは見えないようになっている。
市議会が企業会計原則に準拠した病院事業決算書を広報ねむろで公表すべしと決議すれば、財政課は1日かかって組み換え作業をして、正しい決算書を市の広報に載せるだろう。問題は、市議会議員が自分たちのやるべき仕事をするかどうかにかかっている。
広報ねむろ1月号には次の数字が並んでいる。
収益 36.9億円
費用 35.4億円
純利益 1.4億円
純利益1.4億円となっているから、だれがみても病院経営は黒字に見えるがそうではない。「広報ねむろ1月号」の10ページに「特別会計および企業会計への繰出金の状況」という項目があり、その中に「病院会計」への繰出金が13億44万円とでているから、病院会計は2011年度13億円の赤字である。
では今年度(2012年会計年度)はどうなるのか。北海道新聞社が取材して12月7日の根室地域版に掲載している。赤字は15億3390万円の見込みである。建て替えが終わるので減価償却費などが増えて来年度はさらに膨らむ見込みであり、13年度は15.2億円の赤字となっている。しかし、予算では毎年数億円過小となっているのでさらに数億円膨らむのだろう。
7年前の藤原市政の時には8億円程度だった市立病院赤字は長谷川市政になってから、毎年のように膨張を続けて、ついに2倍を超えようとしている。もうじき市財政が危機的状況を迎え、市職員の給与を2~3割カットせざるを得なくなるだろう。
市民が声を上げず、市議会議員が市政チェック機能を果たさず、市長が恣意的な市政運営を続けたら根室の町がどういうことになるのか、身をもって思い知るしかない。被害は市職員だけではすまない、市民にも及ぶ。災厄が現実にならなければわからないのなら、わたしたち根室市民はおろかとしか言いようがない。
(広報ねむろ1月号は市のホームページに掲載されていないのでURLを書くことができない。掲示されたらURLを追加書き込みしたい)
12月7日北海道新聞根室地域版より
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新市立病院
繰入金15億円超
13~15年度 市が経常収支試算
【根室】市は6日、来年1月に開院する市立根室病院の経常収支試算(2013~15年度)を公表した。13年度以降は原稿より2人増の常勤医15人体制とする一方、光熱費など固定経費がかさみ、赤字などを補填する一般会計からの繰入金は新病院オープン後も15億円を超える見通しだ。
今回の試算は「もっとも硬くシビアな見積もり」(病院事務局)を示すため、施設一新で患者が増える「新病院効果」を算定しなかった。収支改善に向け議論の出発点とする狙い。
13~15年度の病院事業見通し(市の補助金などを除く)は常勤医15人体制が見込めるため、12年度決算見込みに比べ約3億5千万円多い33億円台で推移。一方の支出は新設する医療機器の保守点検費用や減価償却費が増加し、同約4億~8億円多い44億~47億円台に膨らむ。
これらの穴埋めと企業債の償還金なども含め、病院会計が資金不足に陥らない水準に保つため、13年度は一般会計から15億2560万円、14、15年度は各約16億5千万円の繰入金が必要と推計。12年度見込み額(15億3390万円)と同水準で、うち市が単独で支出するのは毎年6億~7億円に上る。
市は入院・外来の診療単価引き上げや人工透析質の増床で「今後も一般会計からの繰入金を求めざるを得ないが、できる限り圧縮したい」(今井泰和病院事務長)という。(栗田直樹)
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いくつか整合性が取れない説明である。2011年度の「収益36.9億円」には13.4億円の一般会計からの繰入金が含まれているので、
36.9-13.4=23.4億円
差し引き23.4億円が2011年度の病院の売上である。
新聞では「13~15年度の病院事業見通し(市の補助金などを除く)は常勤医15人体制が見込めるため、12年度決算見込みに比べ約3億5千万円多い33億円台で推移」と書いているが、2011年度実績値よりも約11億円も多い。こんなでたらめな予算でいいのか?
市側の提示した数字だけを使って計算してみよう。
ケース1 ケース2
収益 23.4億円 23.4億円
費用 47.0億円 44.0億円
純損失 23.6億円 20.6億円
2013年度は20.6~23.6億円の赤字である。収益は2011年度の補助金抜きの実績をそのままもってきた。市側はいつも前年の実績値を無視して希望的観測ともいえるような売上を予算に組むが毎年数億円も外れている。好い加減にこんなデタラメな「統計学的手法」なんてよしたらいい。実績ベースで試算すべきだ。
費用の中には旧建物の未償却残高の除却損が3億円弱含まれているだろうから、この分は資金の流出がないから一般会計からの補填の必要がない。17~20億円の繰入金が必要になる。
このなかには赤字特例債で長谷川市長が損失の先送りをした分が1.5億円ふくまれているはず。問題の先延ばしはこういう結果を生む。経営状況がきつくなったときにさらに追い討ちをかけることになるのだ。問題から逃げてはいけない。
新聞はさらに突っ込んた取材をして、来年度の市立病院赤字額がいくらになるのか明らかにしてもらいたい。市議会がこの問題についてはさっぱり機能していない。
病院経営赤字はebisuが前から予測してきた金額の赤字になっている。興味のある人は過去ログをみてください。
1月2日に高校の同級生宅にお呼ばれして、毎年恒例の新年会をやった。市議会議員をやっている同期のIさんも「友だちの輪」の一人で毎年一緒に飲んでいる。彼が病院の監査委員になったという、喜ばしいことだ。
正直に誠実にふるさとのために市政チェックの仕事をしてもらいたい。正直に、一生懸命にやれば孤立するだろうが、快活で大雑把で能弁な奴だから、おおらかにやりぬくだろう。団塊世代の責任は重い。
*新病院建物の入院病棟は個室が35に4人部屋が25室だったと記憶するが、なぜこんなに個室を増やしたのか理由がわかった。差額ベッド代を増やして入院単価を上げたかったようだ。新聞は次のように書いている。
「入院・外来の診療単価引き上げ・・・などにより約4億円の増収を図る考え」
なんと愚かなことを、あきれてしまう。35の個室なんて根室の医療ニーズにあわぬ。市議会特別委はこんなことすらチェックできなかった。そろそろきちんと仕事をしてほしい。
ハンドルネーム"もやしさんま"さんからコメント欄に書き込みがあった。「広報ねむろ1月号」に病院事業会計の黒字決算報告がなされているが、実際には赤字、誤解を与えるような広報には問題があるから、赤字穴埋めの繰出金がいくらかを明記すべきだというコメントをいただいた。
わたしもそう思う。赤字を黒字と公表すると、上場企業は粉飾決算で取締役は法的責任を問われるが、地方自治体ではそういう「粉飾決算」が普通に行われ、その実態が決算書からは見えないようになっている。
市議会が企業会計原則に準拠した病院事業決算書を広報ねむろで公表すべしと決議すれば、財政課は1日かかって組み換え作業をして、正しい決算書を市の広報に載せるだろう。問題は、市議会議員が自分たちのやるべき仕事をするかどうかにかかっている。
広報ねむろ1月号には次の数字が並んでいる。
収益 36.9億円
費用 35.4億円
純利益 1.4億円
純利益1.4億円となっているから、だれがみても病院経営は黒字に見えるがそうではない。「広報ねむろ1月号」の10ページに「特別会計および企業会計への繰出金の状況」という項目があり、その中に「病院会計」への繰出金が13億44万円とでているから、病院会計は2011年度13億円の赤字である。
では今年度(2012年会計年度)はどうなるのか。北海道新聞社が取材して12月7日の根室地域版に掲載している。赤字は15億3390万円の見込みである。建て替えが終わるので減価償却費などが増えて来年度はさらに膨らむ見込みであり、13年度は15.2億円の赤字となっている。しかし、予算では毎年数億円過小となっているのでさらに数億円膨らむのだろう。
7年前の藤原市政の時には8億円程度だった市立病院赤字は長谷川市政になってから、毎年のように膨張を続けて、ついに2倍を超えようとしている。もうじき市財政が危機的状況を迎え、市職員の給与を2~3割カットせざるを得なくなるだろう。
市民が声を上げず、市議会議員が市政チェック機能を果たさず、市長が恣意的な市政運営を続けたら根室の町がどういうことになるのか、身をもって思い知るしかない。被害は市職員だけではすまない、市民にも及ぶ。災厄が現実にならなければわからないのなら、わたしたち根室市民はおろかとしか言いようがない。
(広報ねむろ1月号は市のホームページに掲載されていないのでURLを書くことができない。掲示されたらURLを追加書き込みしたい)
12月7日北海道新聞根室地域版より
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新市立病院
繰入金15億円超
13~15年度 市が経常収支試算
【根室】市は6日、来年1月に開院する市立根室病院の経常収支試算(2013~15年度)を公表した。13年度以降は原稿より2人増の常勤医15人体制とする一方、光熱費など固定経費がかさみ、赤字などを補填する一般会計からの繰入金は新病院オープン後も15億円を超える見通しだ。
今回の試算は「もっとも硬くシビアな見積もり」(病院事務局)を示すため、施設一新で患者が増える「新病院効果」を算定しなかった。収支改善に向け議論の出発点とする狙い。
13~15年度の病院事業見通し(市の補助金などを除く)は常勤医15人体制が見込めるため、12年度決算見込みに比べ約3億5千万円多い33億円台で推移。一方の支出は新設する医療機器の保守点検費用や減価償却費が増加し、同約4億~8億円多い44億~47億円台に膨らむ。
これらの穴埋めと企業債の償還金なども含め、病院会計が資金不足に陥らない水準に保つため、13年度は一般会計から15億2560万円、14、15年度は各約16億5千万円の繰入金が必要と推計。12年度見込み額(15億3390万円)と同水準で、うち市が単独で支出するのは毎年6億~7億円に上る。
市は入院・外来の診療単価引き上げや人工透析質の増床で「今後も一般会計からの繰入金を求めざるを得ないが、できる限り圧縮したい」(今井泰和病院事務長)という。(栗田直樹)
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いくつか整合性が取れない説明である。2011年度の「収益36.9億円」には13.4億円の一般会計からの繰入金が含まれているので、
36.9-13.4=23.4億円
差し引き23.4億円が2011年度の病院の売上である。
新聞では「13~15年度の病院事業見通し(市の補助金などを除く)は常勤医15人体制が見込めるため、12年度決算見込みに比べ約3億5千万円多い33億円台で推移」と書いているが、2011年度実績値よりも約11億円も多い。こんなでたらめな予算でいいのか?
市側の提示した数字だけを使って計算してみよう。
ケース1 ケース2
収益 23.4億円 23.4億円
費用 47.0億円 44.0億円
純損失 23.6億円 20.6億円
2013年度は20.6~23.6億円の赤字である。収益は2011年度の補助金抜きの実績をそのままもってきた。市側はいつも前年の実績値を無視して希望的観測ともいえるような売上を予算に組むが毎年数億円も外れている。好い加減にこんなデタラメな「統計学的手法」なんてよしたらいい。実績ベースで試算すべきだ。
費用の中には旧建物の未償却残高の除却損が3億円弱含まれているだろうから、この分は資金の流出がないから一般会計からの補填の必要がない。17~20億円の繰入金が必要になる。
このなかには赤字特例債で長谷川市長が損失の先送りをした分が1.5億円ふくまれているはず。問題の先延ばしはこういう結果を生む。経営状況がきつくなったときにさらに追い討ちをかけることになるのだ。問題から逃げてはいけない。
新聞はさらに突っ込んた取材をして、来年度の市立病院赤字額がいくらになるのか明らかにしてもらいたい。市議会がこの問題についてはさっぱり機能していない。
病院経営赤字はebisuが前から予測してきた金額の赤字になっている。興味のある人は過去ログをみてください。
1月2日に高校の同級生宅にお呼ばれして、毎年恒例の新年会をやった。市議会議員をやっている同期のIさんも「友だちの輪」の一人で毎年一緒に飲んでいる。彼が病院の監査委員になったという、喜ばしいことだ。
正直に誠実にふるさとのために市政チェックの仕事をしてもらいたい。正直に、一生懸命にやれば孤立するだろうが、快活で大雑把で能弁な奴だから、おおらかにやりぬくだろう。団塊世代の責任は重い。
*新病院建物の入院病棟は個室が35に4人部屋が25室だったと記憶するが、なぜこんなに個室を増やしたのか理由がわかった。差額ベッド代を増やして入院単価を上げたかったようだ。新聞は次のように書いている。
「入院・外来の診療単価引き上げ・・・などにより約4億円の増収を図る考え」
なんと愚かなことを、あきれてしまう。35の個室なんて根室の医療ニーズにあわぬ。市議会特別委はこんなことすらチェックできなかった。そろそろきちんと仕事をしてほしい。