【事実:今夏の猛暑でも電力不足は起きなかった】
 関西電力で一番電力需要が大きかったのは8月3日、そのときでも80万kw余力があり、隣接の電力会社からは700万kw融通が可能だった。結果から言えることは、大飯原子力発電所2基の再稼動は必要なかったということ。これにはさらにおまけがついている。電力不足を演出するために関電は12箇所の火力発電所のうち8箇所の稼動を停止している。

【54基の原発が全部停止しても電力不足は起きない】
 NHKラジオの朝の番組に「ビジネス展望」という5~10分のレギュラー番組があり、数日前だが、そこで慶応大学の金子勝教授が同じ主旨のことを言っていた。全国の原発が全部止まっても、電力不足にはならないことが実証されたというのである。電力会社は嘘を言っていたということだ。ただちに全国54基の原発を全部廃棄しても、電力不足にはならない。

【原発問題は電力会社の経営問題に過ぎないということが明らかになった】金子教授
 古い設備の原発を動かし続ければ続けるほど、電力会社は儲かる。安全を無視して、耐用年数を超えて償却済みの設備を使えば使うほどコストは安くなる。
 いま全部廃炉にすると電力会社は未償却分について一気に巨額の固定資産除却損を計上しなければならない。償却不足のようなことがあれば除却額は膨らむ。
「電力会社は原発設備を耐用年数40年、稼働率76%で計算している」

【原発事故対策費用を参入したら電力コストは10倍にハネ上がる】ebisu
 もうひとつの懸念は、福島第一原発事故の被災者に対する損害補償と原状回復費用である。除染だけで500兆円かかるともいわれているから、年間5.4兆円の売上、8124億円の純資産の東京電力に負担しきれる金額ではない。

 つまり、安全面での投資や積立金を怠ってきたから原子力発電のコストが小さく見えていただけで、事故が起きたときの損害賠償や安全面での強化投資を入れると、原子力発電コストは電力会社が計算している値の十倍以上になることが明らかになった。

【反社会的存在としての原発】金子教授
 電力会社にとっては古い原発を動かし続ければ続けるほど、経営面でプラスになる。そして、損害賠償額を小さくすればするほど経営にとってプラスになるのである。このことからいえることは、原子力発電は社会の安全を脅かすだけでなく、著しく反社会的な存在だということ。

【総原価方式は改めるべき】ebisu
 どれほど損害賠償額が大きくなっても、すべてコストに入れて電力料金を算定し、料金に上乗せすればいいだけだから、経営が好い加減になるのは当然のことだ。民間会社ではありえぬ売上決定方式、すなわち総原価方式という料金算定の仕組みそのものが癌なのである。
 たとえば、先進国のうち電力コストの安い順に5カ国選んで、その平均値を総原価ターゲットにするようなことは考えられないだろうか?国際市場価格に近づけるという考え方である。日本の発電コストは米国の2倍のようだ。日本国民は米国民の2倍の電力料金を支払わされている。日本の電力会社は独占企業であり経営がルーズだということだ。原材料の仕入れも人件費も他国に比べて相当に高いのだろう。

【金子教授の主張】
 金子教授は今夏の「電力需要<発電量」という状況を見て、原発問題は電力会社の経営問題であり、電力会社側の言い分とは裏腹に電力需要と供給の関係から本来原発は不要であることが実証されたと、述べていた。原発がないほうが発電コストも安くすむことも明らかである。
 (事故の際の損害賠償まで参入して損害賠償引当金の積立を行ったら、電力料金はおおよそ10倍にハネ上がる…ebisu)

【廃炉後の原発維持管理費はいくらかかる?】
 廃炉にするには原子力発電所を国の管理下に移すしかない。チェルノブイリでは25年たった今でも常時3000人の職員が廃炉になった原発の維持管理に従事している。使用済み核燃料から放熱と放射能放出が続くからその量が10分の1になるまでと計算しても百年以上かかるから、廃炉にしても維持管理コストが膨大にかかることは想像に難くない。54基の原発を廃炉にしたとして、年間1.2兆円のコストがかかる。100年間で120兆円である。だがそれで終わりではない、千年先まで管理しなければいけないのだろう。六ヶ所村に保管してある何トンもの精製済みプルトニウムは2万年以上も管理しなければならぬ。国家管理すらも不可能だ。どんな国も2万年続いた国は歴史上ないのだ。バカバカしいくらい途方もない話である。

【使用済み核燃料再処理工場稼動は破滅への道】
 六ヶ所村の再処理工場が稼動すれば年間8tものプルトニウムが精製され、低レベル廃棄物の量は精製前の10倍以上になるという。再処理とは使用済み燃料の中に閉じ込められているプルトニウム、ウラニウム、その他の核生成物質を砕いて化学的に処理してプルトニウムだけを抽出するから、作業工程で放射線は空中のガンガン放出されるし、放射性廃棄物の量も増える。54基の原発が1年間で放出する量(33京ベクレル)の放射性物質を再処理工場ではたった一日で空気中や海へ放出することになる。青函海峡付近の太平洋側の海は常時高濃度の汚染にさらされることになるだろう。放射能汚染は太平洋全域に広がっていき取り返しのつかないことになる。
*たねまきJ「六ヶ所村再処理工場」
 http://kiikochan.blog136.fc2.com/blog-entry-2160.html
(例えば放射性クリプトンはマイナス30度付近で液体化できるが経済上引き合わないので回収処理をしない、全量が空気中に放出される計画になっている。保管はマイナス150度でするのだが、マイナス150度の冷蔵庫はたしか日立がつくっていたが、25年ほど前で500ℓほどの容量のものが150万円くらいしたと記憶する。容積が小さいので電気代がかかるとしても相対的には電力コストは小さいのだろう。このレベルになると溶媒材料の開発・製造にお金がかかると日立の営業が言っていたように記憶する。特殊な溶媒でないとマイナス150度を維持できない。)

【原子力規制委員会委員長は京都大学原子炉実験所小出助教に任せよう】
 金子教授は原子力規制委員会のメンバーについても的確な発言をしている。
「福島第一原発事故前から警鐘を鳴らしていたすぐれた人間を原子力規制委員会に入れなければならない」
 原子力村の専門家は一人も入れてはならない。
 京都大学の小出氏を委員長に招聘しろということだろう他のメンバーは彼が選べばいい。

【企業人のオフィッシャルな原発廃炉宣言】
 先ほどHTBの番組「ニュース・ステーション」に城南信用金庫の吉原理事長が出演して、経団連などが「原発を稼動しなければ日本がつぶれてしまう」というようなアジテーションをやっているが、間違いだと発言していた。原発はただちに廃炉にすべき、根拠は次の4項目。
 ①「54基の原発は2基しか動いていないが電力不足にはなっていない、余力も充分ある。
 ②原発が民間会社でペイするなら自分たちが原子力発電会社をつくって経営すればいい。
 ③原子力発電会社をつくってもリスクが大きくてメガバンクが融資をするはずがないから、できないことをやれと経団連が言うのはおかしい。
 ④わたしがお会いする経営者たちも原発はただちに廃炉にすべきという人が多い。

 財界の総本山の経団連の意向にはっきりたてついて正論をいう信金理事長が現れる世の中になった。これは革命だ、国がダメになるかどうかの瀬戸際に私たちはたっているが、ぎりぎりになって企業人が倫理を取り戻した。そんな日本にはまだ希望がある。全国から応援メッセージ殺到中!

 YouTube:「城南信用金庫が脱原発宣言〜理事長メッセージ
 
http://www.youtube.com/watch?v=CeUoVA1Cn-A

 日本はすでに人口縮小に入っているから、三十年後には人口が1億人を切る。電力需要は減ることになる。
 城南信金は反原発の立場を宣言し、具体的な企業行動を起こした。こういう立派な見識に支えられた企業が伸びればいい、心意気に感じて顧客は増えるだろう。
 北海道には泊原発があり、根室には大地みらい信金があるが、理事長殿は原発に関してなにか具体的な行動や発言をするだろうか?
 企業経営者も広い視野でものごとを見て、自分の頭で考え、具体的な企業行動に反映すべき時代になりつつある。未来を担う信金マンたち、幅の広い教養を身につけておけ。



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