イジメも非行も学力問題と関連がある。しかし、それがすべてでもない。切り口はタバコの問題だった。最近1年間は学校のグランド外側を散歩することがなくなったのでどうなっているかは知らないが、以前は体育館周辺にタバコの吸殻がたくさん散乱していたし、授業時間中に数人サボってたむろしている生徒がいた。そのなかに喫煙する生徒がいる。何度か追いかけたことがあるが、足が速くて追いつけない。
 あるとき一人体育館横に座ってタバコをすっている生徒がいたので、近づいて行ったら、あわてて隠した。
「私は君の先輩でこの中学校の一期生だ、タバコすっていたね」
「・・・」
「素直に認めるもんだよ」
「吸ってました」
「校内ではやめなさい。この中学校はずいぶん昔不審火で燃えたことがある、いまの校舎はその後に建て替えられたものだ。いけないことはいけない。校内での喫煙は許されない。」
「はい」
 案外素直な生徒だった。一緒に横に座って、
「ところで、どうして一人でいるんだ?」
「友だちいないから・・・」
「ほう、めずらしいな、たいがい誰かを誘って一緒にさぼるものだが、一人か」
「・・・」
「授業のほうは大丈夫か?いまもどってついていけるか?」

 勉強できないけどなんとかなると言ったような気がする。案外素直ないい生徒だと思ったから、最後の質問はついていけなければ学校終わったら3ヶ月ぐらいまっすぐにニムオロ塾に来いというつもりだった。話してみればebisuにとってはめんこい後輩である。
 それ以来体育館周辺で彼の姿をみることはなくなった。

 母校は授業をサボって喫煙する生徒が多くて、数年前に一度校長先生に苦情を言ったことがあった。授業時間がびっちりつまっているわけではないから、空いている教員が一日に2回ぐらい体育館周辺を見て周り、注意すべき、そして吸殻も毎日拾い集めるべきだと。吸っている生徒が誰かを学校側は承知している。授業はサボるし、臭いがするからすぐにわかる。
 教頭先生が昔、新任でこの中学校に配属されたときに、百本以上も吸殻を拾う日があったという。学校でも親にタバコを買い与えないようにと伝えているが、それでもなくならぬ。
 繰り返し注意してやめない生徒がいるが、学校内での無法状態を許してはいけないのだと思う。警察生活安全課と話して法に基づいた対処をすべきだと伝えた。
 違法状態を放置しておくといろんなところにゆるみが出てきて学校が荒れてしまう。やっていいこと、やって悪いことをはっきり区別しなければならない。ここからは許さないとはっきり線引きすべきとebisuは思うがどうだろう?

 イジメ問題で塾生と母親から相談を受けたことがある。ダンベルを投げつけられて避けそこない足に当たった。頭や胸や背中に当たったら、大怪我だろう。場合によっては命に係わるから、「しばらく学校を休ませて塾で勉強させたい、ついては毎日見てもらうのに授業料はいくらでしょうか」という相談だった。別途手を回すことも考えたが、いくつか事情があってとりやめ。
「事情が事情ですから、授業料はいつもいただいている分だけでけっこう、追加料金はナシです、命をかけて学校へ行く必要はないからすきなだけ塾で勉強すればいい」
 学校のほうには「イジメがあるから休んでいます」と具体的な事実を挙げてはっきり言えばいい。休み続ければ学校はそのうち放置できなくなるから(笑)・・・それでいい。
 自分が担任でも、生徒がイジメで2週間も休むようなことがあったらあわてるしもちろん動く、動かざるをえない。言ってだめなら、長期戦ができるように塾先生に勉強の面倒をしばらく見てもらえばいい。根室は幸いに田舎だ、どこの塾だって塾長は例外なく生徒の面倒見るよ。
 塾生でなくたってebisuは面倒見るから、ひどいイジメにあったらしばらく休んでいい、ebisuのところへおいで。3ヶ月ぐらいならボランティアで面倒見るから。それでも事態が好転しなければ、学校へもイジメをしている生徒の親へも掛け合ってあげる。

 ふるさとに戻ってから10年だが、記憶にあるイジメはもう一つあった。開塾した翌年だから2003年だっただろう。生徒があるときこんなことを言った。
「先生、おれ、毎日塾に来ていたことがあったでしょう、あれイジメにあっていたんだ、毎日毎日学校へ行くたびに殴られて、学校へ行くのが嫌になって学校休んでいたんだ。勉強遅れるの嫌だったから毎日(塾に)来てた。毎日塾に来ていいかって聞いたら、先生いいよって言ったでしょ」
「ああ、そうか、成績上がり始めていたから勉強好きで来ていると勘違いしてた。数学も英語もクラスで1番をとれるようになったから(1年の12月に塾へきたときには英語が10点台だった)、成績上げたくて"毎日来ていいか?"って聞かれたと思っていた。鈍感だったな、そうかあのころ(2年生お終わり頃)イジメにあっていたのか」
 うかつだった。細くて背の大きくない生徒だった。

 たまに生徒から、「先生毎日来ていいすか?」と聞かれることがあるが、そういうときは「学校が終わってまっすぐなら4時から7時まではOKだ」と理由を問わすに許可している。
 言いたくなるときが来れば理由を告げるものだ、それまで待てばいい。要は周りにSOSを出せる大人がいることだ。学校の先生に相談できないとか、相談してもダメだとなると塾先生に相談してくる、それでいい。半分くらいはイジメの被害者である生徒から相談されるような先生であれ。たまには一緒に遊んでやるとか、"居残りしろ"と命令して、個別補習する傍ら、話しを聞いてやればいい。
 問題なのはこういうイジメは例外ではなく、日常茶飯事に起きているかもしれぬということ。塾に通っていない生徒もいる。勉強が遅れることを気にして休めず、毎日イジメの被害にあっているこどもが今日現在もいるかもしれないとお二人の先生に伝えた。

 がっかりする話しを書いておく。最近、高校である問題が起きた。本人は反省しているようだから具体的なことは書かぬが教員の資質が問われている。私が高校生のときなら生徒会が動く問題となっただろう。表沙汰にしないで学校側と交渉して問題を解決するくらいの交渉力が当時の生徒会にはあった。いまは親が出ざるをえない、ことは生徒と生徒の問題だけではない。先生も生徒も幼児化しているようにみえる。
 しっかりした先生が半分いれば充分だが、中にはとんでもない心得違いの者もいる。こんな教員はイジメ問題ではさっぱり頼りにならないから、これを機会に成長してほしい。災い転じて福となす。(笑)
 ebisuは若い頃に道立高校から「来週から赴任してほしい」と採用通知をいただいたことがある。80年代前半で社運を賭けた大きな仕事(利益拡大のための統合システム開発の責任者)を任されていたのでお断りしたが、高校社会の一級免許と商業科目の普通免許だから、応じていれば最後はわがままを許してもらい母校の校長先生ぐらいはやらせてもらえたかもしれぬ。週に一度は学校の中を巡回し「正直に誠実に、渾身の力で仕事しろ」と口を酸っぱくして言うだろうから、口やかましくて嫌われただろう。(笑)

 先生は正直であるべきだ。イジメの問題を相談されたら、あるいは目撃したり聞いたりしたら、断固とした態度をとるべきだ。
「イジメは卑怯者のすること、人間の屑だ」
そう、生徒たちに繰り返し強く伝えるべきで、理屈抜き、躊躇があってはならぬ。

 たまたま生徒が自殺していないだけで、大津事件に近いイジメが根室でもあるかもしれない。大津事件はイジメの域を超えており、犯罪である。
 似たような事件が起こりそうになったときに、自分たちの都合を度外視してイジメと真正面から対峙できるか否かが学校と先生たちに問われる、たいへんだと思う。あれは大津市の中学校だけの特殊な問題ではなく、わが母校にもありうる問題だ。

 いざ事件が起きたときには正直に対処しなければならない。教師は聖職だから、その場を逃れるために嘘をついてはいけないし、逃げも許されない。

 それにしても、消費税は断固上げないとマニフェストで言い切って政権党となった民主党の総理大臣が今度は「命がけで消費税を上げる」と言い、その通りやりつつある。真反対のことをやりつつあるのだからあきれる他はない。これが一国の指導者である、地方政治の根室市政も同じ。病院建て替え問題でなんどか大きな嘘をついたことはブログで具体的な事実を挙げて述べている。根室の教育委員会もいじめ問題ではさっぱりあてにはならないのだろう。

 イジメ問題が起きたときにはまずは担任教諭、そして校長と教頭が自分の立場を守るために嘘をついてはいけない。わが母校の校長先生と教頭先生がその辺の対処を間違える人ではないと確信した次第。たった30分の懇談だが貴重な時間だった。
  今後、イジメの問題が起きたら、母校と協議ができる。学校と地域社会の結びつきが強くなるということだろう。C中学校の校長先生とも話しができる。
 「いじめは卑怯者のすること」「卑怯な振る舞いは人間の屑のすること、そういう人間には決してなるな」「売り手よし、買い手よし、世間よしの三方よし」、「仕事は正直に誠実にやるべし」、イジメ問題もここのところがしっかりしていれば、どう対処したらいいのか迷うことはなくなる。

 昨日、歯舞中学のヨサコイを見た後で拍手をしたら、「○○、お前の拍手が一番大きい」という声がするので、みたら2年先輩のYさんだった。すぐそばに前教育長のS先輩、そしてB中学校長もいた。Yさんは柏陵中学校長と光洋中学校長をしたことがある。私が根高1年生で柔道部のときに横で竹刀を振っていた剣道2段の3年生だった。親友の兄貴でもあるから、この人には頭が上がらない。(笑)

 さて、あと1~2時間もしたら釧路から「釧路の教育を考える会」の副会長と事務局長が来る。ゆっくり飲みながら教育談義に花が咲く。


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 週に一度、月曜日の朝礼で会津の什の掟を生徒とともに朗誦してほしい。最後の条は"江戸時代はそうだった"と笑ってすませよう。(笑)

会津藩、什の掟

 一、年長者(としうえのひと)の言ふことに背いてはなりませぬ
 一、年長者にはお辞儀をしなければなりませぬ
 一、嘘言(うそ)を言ふことはなりませぬ
 一、卑怯な振舞をしてはなりませぬ
 一、弱い者をいぢめてはなりませぬ
 一、戸外で物を食べてはなりませぬ
 一、戸外で婦人(おんな)と言葉を交へてはなりませぬ

 ならぬことはならぬものです


*「人権教育など糞食らえ!(卑怯が許されないことをこそ教えよ)」ブログ情熱空間より
 http://blog.livedoor.jp/jounetsu_kuukan/archives/5683256.html
 
**ブログ仲間のkatuyoさんがめずらしく憤慨している、正直な人だ。
 「大津いじめ事件」、「デヴィ夫人のBlog」
 http://blog.livedoor.jp/winma123/archives/2012-07.html#20120711


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*#2045 bullying(繰り返し行われるイジメ)=犯罪 Aug. 8, 2012 
  http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-08-08-1

 #2013 母校(中学校)の校長・教頭先生との対話(1):小中高のコミュニケーション July 14, 2012 
 http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-07-14

 #1997 体育祭準備の授業つぶし:杜撰な仕事管理の実態&"すっ飛ばし"の原因 July 4, 2012 
 http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-07-04

 #1988 学校の責任 June 28, 2012 
 http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-06-27

 #1987 フリー授業参観感想記(2)  June 26, 2012 
 http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-06-26

*#1940 職人技という視点から授業力を考える:C中学校フリー授業参観感想記  May 19, 2012 
 http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-05-19

 #1935 フリー授業参観に行こう:啓雲中学校  May 14, 2012 
 http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-05-14 




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