1週間毎日雨だったが、ようやくあがった。根室の気温は9度、曇り空。
 NEMUROざりがに探偵団主催のざりがに獲りイベントが明治公園ひょうたん池であった。ebisuは1時間前に池の周りを回ってみた。カモメが数十羽池の中央付近で水浴びをして遊んでいる、ここはカモメの餌も豊富なのかもしれない。20年程前には大きな鯉が何匹もいたが、まったく見当たらない。

 高橋代表の車にはザリガニ獲りの網が積んであったのですぐにそれと知れた。30分前になってネイチャーセンターのMさんが捕獲用の網を十数個積んで到着して高橋さんと話し始めたので、ご挨拶。高橋さんは中学時代の同級生ヨッコに似た感じの人で、親しみがわく(ヨッコは自分の考えがしっかりある奴で、普段は柔和だがだいじなところは頑固一徹、人として深く深く信頼でき、仲間からの信頼が厚い)。
 1時ころには小さな子供たちとお母さん、お父さんが20名ほど集まった。参加者にパンフレットが配られて、バーベキューハウスで30分ほど説明あり。
*「ザリガニのひみつ」(パンフレット)
 ザリガニと身近な水辺を考える会
 http://zari-mizu.com/

 ウチダザリガニが食用として日本に輸入され、摩周湖で養殖されて、それを捕獲して根室へもってきてひょうたん池に放した人がいて、今に至っていると説明があった。
 代表からざっと説明があったあと、色白美人のお姉さんがスケッチブックに描きためた自作のザリガニのイラストを使ってアメリカザリガニ、ウチダザリガニ、日本ザリガニの説明をしてくれた。イラストの他に写真も貼り付けてあってわかりやすい。
 特定外来生物法があって、飼育・保管・運搬・譲渡等が禁止されていることが小さな子供たちにも理解できるように説明された。
 NEMUROざりがに探偵団は環境省の認定を受けた団体で、駆除について許可をもらっているので、運搬が可能だ。獲ったザリガニは煮て食べる、本来食用として輸入養殖されたものだから食べることは「供養」。
 説明が終わってからこどもたちから質問を受けると、一人が熱心にいくつも質問をし、終わる気配がない。高橋さん困ってニコニコしながら「では次で質問終わりにします」と宣言、周りから笑い声がもれる。

*特定外来生物法解説(環境省自然環境局)
 http://www.env.go.jp/nature/intro/

 ネイチャーセンターのMさんは「タモ」と「つなぎ」をいくつかもってきてくれていた。これなら池の中まで入って底をさらえる。半円状になったタモなので、池の底をさらいやすい(昆虫捕獲用の丸いタモでは底をさらいにくい)。
 ウチダザリガニは冷水の水がきれいなところでないと生きられない。ウチダザリガニは冷水性の水生生物で、この点はニホンザリガニと同じだが、かなり汚い水でも生存可能。だからこそ、北海道のいたるところで生息を拡大している。
 もうひとつの問題は根室の湿原に固有の生物種を捕食していることだ。ウチダザリガニが繁殖するには餌が必要で、湿原の固有種が餌になっていることが推測できる。安定した生態系を維持し、固有種を絶滅から防ぐためにはウチダザリガニを定期的に駆除する活動が大切だ。そうしたことも、水辺でザリガニ獲りを楽しみながら体験的に学べるようになっている。根室のお母さんやお父さんたち、来年のイベントには子供をつれて参加したらいい。

 ひょうたん池は湿原から冷たい小川が流れ込んでいるのでウチダザリガニにとっては環境がいいのだろう。牧の内ダムやナンブトウにも棲息している。午前中にナンブトウでとってきたザリガニ十数匹を見せてもらった。5センチほどもあった。
 イラストで説明をしてくれた人は防水のつなぎを着て池の中に入って縦横無尽に池の底をさらってザリガニを捕まえていた。なかなかタモ捌きがいいので見とれてしまった。
 幅1m弱の湿原の小川からから絶えず流入してくる水は冷たい。池の水はきれいで川海苔のようなものが多い。タモで掬うと3~5cmも泥と一緒にたまる。それを水中ですこし揺らしながら泥成分を落とすと、ザリガニを見つけやすくなる。

 1時間ほどこどもたちと大人たちがタモ(アイヌ語で網を意味する言葉だそうだ)を使ってたくさん獲った、小さいのは1cm大きいのは8cmくらいある。
 中学生のシン君は高橋代表から「私よりもザリガニ獲りが上手だ」と言われるほどの"ザリガニ獲りの名人"、片腕を池の水につけて探りながら素手で何匹もつかまえていた。皮膚を挟まれても平気だ、指がちぎれたり皮膚が切れることはない(笑)が、はさむ力はけっこう強い。わざとはさませて引っ張ってどれくらい力があるか見せてくれた。
 初参加の大人3人も楽しそうにザリガニ獲りを楽しんでいた。ちっちゃな女の子がズボンを泥だらけにして、獲っては白いバットに移し、キャッキャとはしゃいでいる。小学生の男の子が自分のタモの中にザリガニが入っているのを確認したが、つかめない、他の子にとってもらう。「カブトムシは平気でつかめるんだけどザリガニはダメ」と3尾とも隣にいた男の子に頼んで白いバットに入れてもらっていた。「ぼく、みっつもつかまえたよ!」、来年は自分の手でつかめるだろうか?トンギョが何度もタモに入る、十数年もののカラス貝も3個入った。トンギョとカラス貝はリリース。

 水辺で遊ぶのは楽しいものだ。このイベントは市役所の許可を取っているから、鉄柵の内側に入ってザリガニ獲りを楽しめる。小さな子供は保護者がついて見守っている。普段は鉄柵の中に立ち入ることはできない。
 こういう水辺が花咲小学校グラウンド横の「底なし沼」、市立病院の下の「古川の池」、花咲小学校下の「砂の渚」、本町下の「石の突堤」と4箇所、子供が自由に遊べる水場があった。そして4箇所ともなくなってしまった。自然になくなったわけではない、全部人間が変えてしまった。50年経つと水辺の楽しい遊び場がほとんどなくなっていることに気がつく。子供たちが外で遊ばなくなるわけだ。根室はまちづくりの長期ビジョンを間違えたようにみえる。間違えたことは仕方がない、素直に反省し、こどもたちの遊び場を考慮したまちづくりのビジョンをこれから創ればいい。

 3時少し前に終了宣言し、みんなで数を数え始めたら、158尾。数え終わった後で代表が子供たち一人一人に感想を聞いていた。こういう体験が教育には大事なのだろう。「去年も来たよ」という小さな子が数人いた。
 全員、長靴を消毒して終了。
 ここでebisuに小さな事件が勃発。消毒粉を入れた水槽の中に両足を入れたら、右側の靴に消毒液が侵入してきた。ゴム長にひびが入っていた。挨拶もしないで、あわてて車に載って家にもどり足を洗った。失礼しました。いい長靴を買わないといけませんね。(笑)

 北海道新聞の記者と読売新聞の記者さんが取材に来ていたから、写真入で明日載るのかな。

 5月6月は抱卵時期に当たるが、200ほど卵を抱えている5~7cmのものが3尾確認できた。5cm以上のものが30尾ほど捕獲できたが抱卵しているのは少なかった。すでに卵が孵化してしまった個体が多かったのかもしれない。この池では日本ザリガニは確認されていない。

 いい日曜日だ。


*#1977 外来ザリガニ駆除 :根室の自然を守る転勤族の戦い  June 17, 2012 
 http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-06-17

 #1979 NEMUROざりがに探偵団代表からのコメント  June 19, 2012 
 http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-06-19



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【追記】
 6月25日北海道新聞夕刊に記事が載っていた。プロだから文章のまとめ方は言うに及ばず、写真の構図がなかなかいい。