人の人生には終わりがあり、その終わりをどのように過ごすのかは死んでゆく本人の問題であると同時に、終末期にある人が老人ならそれは介護の問題でもある。
 人の終末期をじっくりと扱うために新しいカテゴリー「終末期に係わる問題」を設定した。

 スキルス胃癌の手術を受けて5年が経ち、幸いにして主治医から完治を告げられた。癌がわかってから手術までの50日ほどの期間と術後、これが自分の人生の終末期だとするとどう過ごすべきかという問題に私自身が直面した。もうほとんど考えることがなくなったが、大げさに言うと癌とわかってから2年間ほどは頭の隅っこに死を意識しながら生きてきた。そしていま、考えてもしようがない問題は考えないに限る、それが自然にできるようになった。命はいつか終わるのだ、そういう時期が来たら受け入れようという気持ちになっている。

 もうひとつ、認知症でさまざまな症状(アルツハイマーや幻視、徘徊)が現れた母親の介護で、そのたいへんさを思い知った。ケースによっては家庭内の問題として背負いきれるものではなく、無理をし続けると介護する側も壊れてしまうくらいの重い問題であることを広く知ってほしいと願う。認知症患者の家族介護は、介護する側も命を削るようなことになるのが現実なのである。
 根室市には老人医療や介護のための療養型のベッドがひとつもない。建て替えが進んでいる市立病院にも療養型病棟はない。根室市は老人医療で大きな問題を抱えている。市政はあきれるほど無策である。ツケは老人や老人を介護する家族に回ってくる。
 最近、生徒の家庭でもおばあちゃんが認知症になった話しを聞いた、そろそろこういう問題をブログで採り上げるべきだと感じた次第である。
 老人介護の問題は誰にとっても他人事ではない、これから私(たち)が抱えた問題に直面する家庭が増えるだろうから、地域医療の問題として捉えなおしてみたい。

 極端なケースではあるが家庭内で背負い切れなかったと思われる「事件」報道から、産経ニュースを二つ採り上げ、切り口としたい。

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http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110904/trl11090407010000-n1.htm


孝行息子が92歳母親を殺した訳は…秋田老老介護殺人

2011.9.4 07:00 (1/5ページ)

 平成22年12月、秋田市新屋の県営住宅で、寝たきりだった柳田いさたさん(92)が昨年12月、長男の健哉被告(66)に鼻や口をふさがれて殺害された。法廷で健哉被告は動機を「病院で管をつながれ、延命措置をされるのは、母親にとって酷で悲しい。楽にさせてやりたいと思った」と述べた。30年近くにわたり父親を、父親が亡くなった後は認知症の母親の介護を約10年していた孝行息子は、なぜ母親の最期を自らの手で下してしまったのだろうか。(原圭介)

・・・(以下省略)



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http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110813/crm11081312420008-n1.htm

頭にポリ袋…83歳女性死亡 同居の長男、無理心中図る? 広島・尾道

2011.8.13 12:41

   13日午前8時25分ごろ、広島県尾道市尾崎本町の無職、井上タマヱさん(83)方で、井上さんが頭にポリ袋をかぶった状態で死亡しているのを、介護ヘルパーの女性が発見、110番通報した。

 尾道署員が駆けつけると、井上さんが1階寝室のベッドの上で死亡しており、自宅の別の場所で同居の長男(53)もポリ袋をかぶったまま倒れているのが見つかった。長男は病院に搬送されたが、意識不明の状態という。
・・・(以下省略)

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 老人医療をこのままほうっておいたら、こういう事件がこれから二十年の間に激増するだろう。他人事ではないのである。あなた自身やあなたの家族、友人の誰かも将来同じ問題を抱えることになる。悲惨な事態を回避するためにどうすれば良いのか、一緒に考えよう。
 事件の経緯・背景が取材されて載っているので、URLをクリックして全文をお読みいただきたい。



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