お昼になってすっかり雨が上がった。風はなく暖かいのでサイクリング日和だが、天気予報は午後から雨、遠出はできない。

 菅総理大臣が数日前に浜岡原発の稼動停止要請を表明した。地震国に原発は危険すぎるから原発の停止要請は歓迎したいが、唐突な要請の背後に何があったのかと思った人が多かっただろう。私もその中の一人だ。

 米国政府が一月前から浜岡原発(6基)の稼動停止を日本政府に要請していたという。お昼のHTBの番組で流れた情報である。

 日本地図を広げてもらえば分かるが静岡県御前崎の浜岡原発の東に横須賀がある。米国の艦隊の寄港地になっているが、浜岡原発で事故があれば偏西風で横須賀が被曝することになり、寄港地として使用不能になることを憂慮しているという。米国は訴訟社会だから、水兵が被曝訴訟を起こすだろうから、浜岡で原発事故があれば横須賀港は使用できなくなるというのである。
 水兵の訴訟を恐れてというところは疑問符がつくが、米軍横須賀基地が使いづらくなるのはたしかだろう。
 米国は自国の国益を考えて要請し、菅内閣総理大臣はそれを受けたということだ。

 ちょっと考えて欲しい。福井県は原発銀座であり16基もある。美浜、大飯、敦賀の三箇所だ。敦賀には5基ある。その中には制御不能になっている高速増殖炉"もんじゅ"が含まれている。稼動停止中だが、圧力容器内でのクレーン装置落下事故で燃料棒も引き抜けず温度が上がってきている。落下したクレーンも二十数回回収を試みたがことごとく失敗している。高速増殖炉で使われている冷媒はナトリウムだから福島のように水をかけて冷やすというわけには行かない、爆発を起こしてしまう。
 ここで福島と同様の事故が起きたら福井県はもとより、東側の岐阜県、長野県、山梨県、群馬県、埼玉県、神奈川県、東京都まで偏西風で放射能を含んだチリが降り注ぐことになるのではないのか?もちろん、琵琶湖の水も汚染されて水道としては使えなくなるだろう。被害の大きさは浜岡原発の比ではないように私には思える。同じことは我が北海道の泊原発にも言える。泊の東に位置している札幌まで60㌔くらいではないだろうか。風下の札幌が福島県飯舘村みたいなことになるのだろう。

  総理大臣菅直人は国民から要請があっても動かないが、米国からの要請があればいとも簡単に従来の原子力政策を変更するということだ。そしてそうした背景をまったく説明しない。
  野党時代の市民派の彼なら「対米追従」だと舌鋒鋭く追及しただろう。だが総理大臣にになっても貫くほどの信念は持ち合わせていなかったらしい。

 仕事は正直に誠実にやるべきで、立場が重くなればなるほどモラルが問われる。福島原発事故を見る限り、この人は総理大臣としての自分の立場よりも国民のことを優先して考えるということがない。まことに残念である。

*日本の原子力発電所(ウィキペディア)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E5%8E%9F%E5%AD%90%E5%8A%9B%E7%99%BA%E9%9B%BB%E6%89%80

*わたしたちは稼働中の3号機原子炉建屋内に「使用済み燃料」が大量に保管されているという事実を知らされていなかった。否、ほとんどの専門家が知らなかった。東京電力も原子力安全保安院も原子力安全委員会もいっぱい不都合な事実を隠しているようだ。
 海外メディアからの情報ばかりで、国内からはマスメディアも含めて箝口令でもしかれているかのように大事な情報、あるいは深刻な情報が伝わってこない。口を開けば「ただちに健康被害があるわけではない・・・」、聞き飽きた。
 このような状況では、枝野官房長官の言も原子力安全委員会も原子力安全保安院も、信用しろというほうが無理だろう。


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