さて、頭の中にあることを何から書こうか迷いつつ、未整理のまま書き始めたい。書いているうちに自然に整理がつくものだ。

 麻酔科医の退職、続く外科医の退職、そして年内にもう2名の医師の退職が噂されている。3月末には定年で退職する医師ともう一人の医師の退職が噂される。事柄の性質上固有名詞はあげられない。

    常勤医師数:16-6=10名

 すでに判明している退職がこれだけということだから、さらに引き算(退職)が増えないという保証はない。予定されていた足し算(産婦人科医一人の招聘)はあきらめたようだ。無理をすればさらに引き算が増えるだけだから、「算術的に引き合わず」という判断が働いたのだろう。院長判断だろうか。もう一つ足し算があったはずだがどうしたのだろう?情勢が変わってしまいこちらは焼け石に水となった。
 コメント欄に昨日かなり具体的な内部情報が書き込まれた。ebisuが承知の事実もあるが、読んでも検討すらつかないことも書いてあった。院長には気の毒なので本欄でいま採り上げるのははばかられる。どうしても知りたい人のみ昨日のブログのコメント欄を読んで欲しい。今後の医師招聘にかかわる情報も書いてある。私のこのコメントに対するスタンスは「コメント返し」に書いておいた。書かなかった部分は理由があってのことで、ご推察いただきたい。

【今年度の病院事業の赤字14億円、来年度16億円へ急拡大】
 さて、常勤医師がこれだけ減ってしまっては、減った分の補充はほぼ不可能だろう。道内のどこのマチも医師不足で困っているからだ。うまく行って半分補充できたらいいほうだ。
 わたしは詳しい話しを知らないのだが、3年前の常勤医6名へ減少した折の危機は残った常勤医の先生たちが月に一週間を超えるような夜勤体制を組み「消耗戦」を戦い抜いたことと、姉妹都市の黒部市の市民病院から出張医の派遣で助けてもらったこと、その恩義を忘れてはならない。だからこそ、その後の自立の努力が求められるのだが、不手際続きで2度目の危機を自ら招いてしまった。すでに何度も取り上げているので、いちいち個別に採り上げないが、お粗末というほかない(A前院長はその折に残って根室の医療を支えてくれた一人であったが、H市長はすっかりお忘れのようだ)。

 仮に10名体制になったらどうなるのだろう道が起債不許可のダメ押しをする可能性がある
 道の審査の実態ははいい加減なものだ。事態は何も変っていない。改革プランと現実の乖離も相変わらずである。改革プランの効果がまったく見られず、実質赤字額が11億円を超えて拡大基調にあるのに、7000万円弱の今年度分の起債許可を出してしまった。そのようなことはないはずだが、審査は単なる名目で実効がないようにebisuには見えてしかたがない。
 国は総額22億円、2種類の補助金交付を決定しているから、その事業の起債が来年度不許可になれば、面子丸つぶれである。間に入った道も同じだ。だから、むりやり条件をつけ、屁理屈を弄して起債に許可を出す可能性もあるが、そうしたら、病院事業の経営破綻というもっと悪い結果がすぐに後を追うことになるから、厳しい条件をつけて、改善の実効が出るまで許可は出せないという結論になるのではないか。これ以上の推測はやめにしておく、1年間経てばわかることだ。

  6名×7000万円÷2=2.1億円
 大雑把な話だ。麻酔科医の退職と外科医の退職は手術数及び入院患者数の減少というように病院経営に影響が大きい。3月末退職は今年度には影響なしだが、麻酔科医の退職の影響の大きさを考えると「÷2」くらいの影響があるということだ。月数で比例計算すると約1億円であるが、これだと麻酔科医退職の影響の大きさを過小評価してしまうことになる。
 こういう計算は数値面を追いすぎるとかえって間違える。手にできるデータが少ないのだから、どんなに精緻に計算しても計算精度は上がっても結果の精度には無関係である。データ処理にはある種の「感覚」が大事であると経験智が教えてくれる。ざっくりでいいのだ。
 おおよそ、2億円程度の実質損失の拡大はあるだろうというのがebisuの推計である。16名体制で年間12億円の実質損失だとすると今年度着地は14億円、来年度は16億円へ急拡大する現実的な可能性が出てきたわけだ
 一般会計から16億円の補填が可能かどうか、市議会で市議は質問したらいい。財務課長が財源はないと正直に答えてくれるだろう。

 「改革プラン」が絵に描いた餅であることは、年度予算と同様に毎年4~6億円もの乖離が出ていたことでハッキリしていた。否、外れることを承知の確信犯であった。起債許可を得るために、辻褄併せのインチキな予算と「改革プラン」をつくり続けた。
 今年度も当初8億円、次に9億円、そして先ごろの市議会では12.3億円の実質赤字見込みが公表されたが、年内退職の医師4名分は計算に入っていないだろうから、実質赤字はさらに拡大し、14億円に膨らむだろう。

 市議会は建て替え後の病院事業損益がどうなるかも確認せずに、数日前に29.9億円の建て替え工事を満場一致で承認してしまった。職責を放棄したおろかな決議であった
 起債不許可になったらどういうことになるのだろう

【起債不許可後のシナリオ】
 起債の総額は38.0億円である。まだ、7000万円弱の起債が認められたに過ぎず、市議会はH市長の「見切り発車」を認めてしまった。
 起債不許可=支払不履行だろう。
 年額16億円を超える実質赤字を一般会計で補填する傍ら、着工してしまった工事の支払もしなければならないという前代未聞の事態が起きそうなのだ。
 38.0億円の起債の残り、37.3億円が不許可になれば、ない袖は振れないから支払をめぐって業者と訴訟が起き、工事は途中でストップしかねない。組まれた鉄骨が、雨ざらし、雪と氷ざらしになるさまをみることになるのである。考えられるシナリオのうちで最悪のものが現実性を帯びてきた。
 全額の支払が不可能でも一部は支払わなければならない。そのための財源捻出のために、職員給与の大幅カットは避けられない。経営破綻の夕張市とそう変らないことになるだろうが、おおよそ何割カットすることになるのかデータがないので私は試算できない、根室市役所財務課の役割だ。

【いま市議会がなすべきこと】
 H市長と市議会は市民に対してどういう責任のとり方をするのだろう。10名の市議が市の予算を使いH市長と共に東京で政府の抗議文を渡すだけだという。効果がないことを承知で「やってるふり」、具体的な返還戦略も描けない情けない集団。地元で病院問題が火事を起こしているというのに、焼け落ちるまで気がつかないようだ。効果がないのだから、市のお金を使って半ば物見胡散遊山の東京見物と言われても反論できまい。根室で記者会見すれば十分である。

 市議たちがなすべきことは、臨時の市議会を開き、医師確保と経営改善が確認できるまで、工事の差し止めを決議することだ。
 ebisu提案にしたがって、ゼロベースで市民参加の下に基本仕様を見直し、成央小学校を統廃合して30~35億円での建て替えができれば満点だ。そうすれば病院建て替え事業については別海町と対等に張り合える。
 経営改善を織り込んでいない現行基本設計は廃棄したい。打つ手をなくしたH市長には助け舟になるがいいではないか、根室の医療が完全崩壊するよりはましである。
 残されたチャンスは一度だけ。タイミングを逃したら根室の地域医療が崩壊する。いまは瀬戸際、市費を使って東京へ行っている場合ではないというのが一般市民の感覚。
 オール与党で呆けていないで、そろそろ目を覚まし、ふるさとのために汗を流す市議が何人か出てもいいのではないか?

*関連記事:あわせてお読みいただければ、私たち根室市民がおかれている状況の全体が理解できるはずです。
 #1267 「病院建て替え(挽歌):破たん前の夕張市に酷似」
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-11-1-2

**昨日のコメント欄より
 今日の根室新聞に「メドベージェフの国後訪問に抗議して、政府に決議文を提出する」って書いてありました。で、決議文を提出するために市議会北方領土対策特別委員会のメンバー10人全員で東京へ行くそうです・・・(-_-;)それって100万円はかかる出張になるんですよね。

***#195「少し過激な北方領土返還論」
 http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2008-06-07

 #465「"Japan sent uranium to U.S. in secret"は北方領土返還運動の好機か?」
 http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2008-12-30
 
 

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