市立根室病院の売上は22~25億円である。この程度の売上規模の民間会社で7億円ものシステム投資をする会社は日本中を捜してもないだろう。

 私のいた会社は、84年当時売上は300億円、経常利益が36億円ほどあっただろう。その会社が東証Ⅱ部上場のために6億円のシステム投資をしたとき、監査法人のトーマツからⅡ部上場でこれほどシステム投資をした会社は例がないと言われた。

 市立根室病院は年間の実質赤字が10億円を超える。昨年度は11.7億円だった。

 建て替えられる病院の外来診察ブースは数え方にもよるが、32ある。どう数えても30はある。135ベッドでこんなに外来診察ブースがいるのだろうか。待合室は今までどおり壁と壁の間、通路である。なんてセンスの悪い設計だろう。こういうレイアウトは40年前のものだろう。
 かくして外来診察ブースは医者の数の2倍となった。このような実務設計ではそうなってしまう。実務の設計しなおしがされるべきだったが、手抜きされた。
 眼科×4診療室、整形×3、産婦人科×6、・・・、小児科×5、・・・

 さて、このことから何が言えるのだろう。現在とまったく同様のフローを前提にしているということである。何の進歩もないということでもある。一番楽な仕事と言い換えてもよい。システムや効率を見直すチャンスだったはずだが、まったくそういう形跡がない。ただただ、現在の実務をそのまま新しい建物に移し変えただけである、驚いた。

 カルテの集中管理など考慮外だったのだろう。仕事のレベルは最低だ。

 ずいぶん以前にクラウドさんというハンドルネームのコメント主も主張していたが、クラウドシステムは無理でも、院内情報システムはパッケージシステムを検討すべきだった。費用が比較にならない。

 パッケージに院内の業務を合わせれば、建物内部のデザイン、少なくとも外来診察室はまるで違ったものになっただろう。ブースの数は10は減らせただろう。患者の待合スペースは廊下ではないところに、広いスペースが取れたに違いない。
 どのようなパッケージシステムがあるのか私は知識がないが、全国に病院は何千とあるから、パッケージシステムの種類は多いだろう。予算額は入り口と出口部分のカスタマイズを入れても、1億円程度で済んだのではないだろうか?予算に見合うパッケージシステムを選べばいいだけだった。

 電子カルテはいまや常識の部類に属するが、それすらない。自前で一からシステムを作る時代ではとっくにない。院内の業務に知識の乏しいシステム屋や、システム知識も医療に関する知識も乏しい事務屋がシステム仕様をまとめたら、後から仕様変更でどれほど予算額が膨らむかしれたものではない。
 それが、5億円からこっそり7億円に増額された理由だろう。システム概略仕様をきちんと文書化できていたら、このような増額はありえない。

 いまからでもいい、今やっているシステムは中止すべきだ。そして1億円以内のパッケージシステムを入れるべきだ。パッケージシステムに業務を合わせるべきだ。

 7億円もかけたら、メンテナンスに年間7千万円程度はかかる。院内にシステム屋を抱えても年間3千万円は出て行くだろう。
 いったいどういう考えで、システム開発をしたのだろう。現行業務を見直さず、そのままシステム化しようとしたのではないか。考えられる中でもっとも愚かなやり方だ。

 なぜもっと視野を広げて検討しなかったのだろう?パッケージを使うかどうかの議論はしたのだろうか?検討経過を示す具体的な資料を精査したいものだ。仕事の基本が分かっていない。

 仕事は正直に誠実にやるべきだ。知らなければ知っている者に聞けばいい。知った振りしてやるとこういう風に大怪我をする。怪我をしても病院だから大丈夫だって?洒落にもならない。

 根室の小中学生の学力は全道14支庁管内最低である。先ごろ行われた中間テストでも数学10点以下が市街化地域の3校では20~30%もいる。昔なら5段階評価で1だろう。そういう生徒が20~30%もいる。
 当然大人のレベルも疑わしくなる。院内情報システム開発を分析すると、幹部職員の学力や仕事の基本的能力を疑わざるをえない。それは、院長と事務長の医師招聘にも現れていることは数日前のブログで書いたから再説しない。仕事の基本、報・連・相すら無視するお粗末なものだった。病院管理者である院長も事務長もしっかり勉強しないとマネジメントはできないということだ。子供たちの学力低下よりも、市幹部職員の能力不足のほうがはるかに深刻である。仕事の基本すら知らない実態が次々に明らかになっている。どの問題も同じところ、幹部職員あるいは市長の仕事の能力不足に行き着く。基礎基本がなっていない。
 まるでお子ちゃまが総事業費69億円(院内情報システム開発費を入れるとそうなる)をもてあそんでいるかのようである。
  正直にそして誠実に、報酬に見合う大人の仕事をしてもらいたい。

 
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*13日追記
 どうやら院内情報システムはパッケージシステムのようだ。7億円のパッケージシステムとはどういう選択だろう?22~25億円の売上規模でやはり大きな疑問の残る選択である。当初5億円がなぜ7億円になったのかについても、市議会や特別委にすら説明がない。
 パッケージ・システムはパッケージそのものは通常それほど高くない。問題なのは業務をいままでのままにして、パッケージを現行業務に合わせるような仕事をした場合だ。パッケージ本体よりもカスタマイズ部分のほうが金額が大きくなる。通常はパッケージに業務を合わせるのが、パッケージを導入する際の一般的なやり方である。パッケージ本体部分がいくらで、カスタマイズ部分がいくらなのだろう?やはり仕事の仕方に疑問が残る。ホームページ上で情報を明らかにしたもらいたい。