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 麻酔科医退職のニュースが17日北海道新聞朝刊根室地域版に載った。起債許可が下りた翌日の公表は、それまで隠蔽しておこうとの意図が透けて見える。関係責任者はこういう仕事のスタイルがお好きなようだ。起債審査中はマイナス情報は外部に出すなということなのだろう。恣意的な情報操作を病院事務局がしているのは、職責上事務長だろう、そしてその後ろには長谷川市長がいる。
 別海町では町長が産婦人科医2名の退職をアナウンスしているが、根室は病院事務局が市議会病院建設特別委理事会へ報告した。麻酔科医は外科手術には欠かせない存在で、それが非常勤に変れば手術数はもちろんのこと病院収入にも大きく影響するから重要事項だが、市長から市民へ説明がない。
 新聞報道では9月末に退職予定となっているが、ペインクリニックは9月初旬から休診扱いであり、麻酔科医はすでに引っ越して根室にいない。9月末退職は書類上のことであって、事実としてはもう麻酔科医は退職してしまっているのである。病院事務局は事実をなぜ正直に言えないのだろう。
 これで今年度の実質赤字は13億円に達するだろう。一般会計から13億円もの繰り入れが必要になる。
 長谷川市長以前は年額6億円の実質赤字だったが、昨年は11.5億円、今年度は13億円と実質赤字額は膨らむ一方である。いったい市立病院で何が起きているのだろう。尋常ならざる推移である。病院事務局の立てる計画は希望的観測の積み上げであり、繰り入れ計画額を決算繰入額がつねに上回っている。ありえない前提での年度計画や「改善プラン」は聞き飽きた、最悪の場合実質繰り入れがいくらになるのかもあわせて公表すべきだ。

 唯一の麻酔科医退職へ
  市立根室病院 緊急手術が困難に
【根室】市立病院事務局は16日k唯一の麻酔科医が今月末で退職することを、市議会市立病院特別委員会理事会に報告した。麻酔科医が必要な手術は今後、予約のみで対応し、緊急の手術はできなくなる。
 退職するのは、昨年1月から勤めていた竹内昭憲副院長。愛知県内の医大へ准教授として赴任する。これで市立病院の常勤医は16人から15人となる。
 病院事務局によると、市立病院で1年間に行われる手術は約300件。
 来春まで、札幌医大と愛知県内の病院から派遣を受けて対応するが、緊急の手術が必要な患者は釧路などの医療機関へ搬送するという。
 産婦人科医の確保に影響する可能性もある。現在は埼玉県内の病院に勤める産婦人科医が来春にも、分娩の扱いが再開できるスタッフが整えば着任する意向を示しているが、分娩の際も麻酔科医が必要なケースもあるためだ。
 理事会ではこのほか、3人いる外科医のうち1人が、年内に退職する可能性があることも報告された。(幸坂浩)

< コメント >
 問題点は5点ある。
(1)麻酔科医はすでにいないこと
 報道が事実なら、事実と異なる説明を病院事務局は委員会理事会にしたことになる。

(2)病院事業実質赤字は13億円に拡大する
 昨年度の実質赤字額が11.5億円だったから、今年度はさらに1.5億円ほど赤字が増える。長谷川市政になってから病院事業赤字はそれ以前の6億円から2倍になろうとしている。しかも、年々増え続けている。なぜこのようなことが起きているのか、尋常ではない。病院経営に大きな問題点が隠されているようにみえる。何の問題もなくこれほど損失が拡大することはない。

(3)外科医1名になれば手術は不可能
 外科医の退職が予定されているが、来年3月でもう一人の外科医の派遣契約が切れるのではないか?外科医1名体制では非常勤で麻酔科医が来ても手術はできない。事故で大怪我をした場合、釧路へ運んでいたら間に合わない。市民の健康と安全の危機である。どうするつもりだろう?

⇒「残り二人の外科医のうち少なくとも一人は退職する外科医の道の地域センター枠?を引き継ぐ必要があるため平成24年3月までは残留となる可能性があるようです」と、ハンドルネーム“医信伝心ネットワークに参加しました”さんから書き込みがありました。再来年までは大丈夫そうですが、別のトラブルが発生しているようです。M医師に相談なく、病院側が外科医招聘活動を進めたために起きたようです。信頼と安心は病院運営の中にはないのでしょうかね?報告・連絡・相談はないのでしょうか、仕事の進め方が拙劣にみえます。

(4)産科病棟再開を強行したら小児科が負担過重でつぶれないか?
 産科と小児科は関連がある。噂がどこまで真実かは分からないが、赴任予定の産婦人科医は中標津町立病院でいわくのある人物。現場のスタッフとの関係がきちんと保てるのだろうか。
 無理をして産科病棟を再開し、小児科が負担過重でつぶれるようなことがあれば、事は重大だ。諸般の条件が整うまでじっくり待つべきだと私は思う。

(5)市財政は大丈夫か?
 外科医1名体制になれば病院事業赤字は来年度最大15億円に達するだろう。こういう状況で62.3億円もかけた病院の建設を強行して市財政がもつのだろうか?建て替えたとたんに20億円もの損失が毎年でる可能性が大きくなっている。

 医師に長くいてもらうには高額報酬だけでは無理で、働き甲斐のある環境をつくることが大切だ。市長や病院事務長が具体的な経営方針を明らかにしそうした環境をつくる努力をしなければならないのは当然のことだが、市民も努力をしなければならない。具体的なビジョンのある病院にその趣旨に賛同する医師が集まり、市民が自ら協力するというスタイルがつくれたらすばらしい。
 丹波柏原病院の「小児科を守る会」の活動が参考になる。地域医療は自分たちで守ろう、もっと根室の医療に関心をもとう。

*柏原病院小児科を守る会
 この会の活動を教えてくれたのはKさんだ。「養老牛温泉夜話」というカテゴリーに根室の地域医療や教育問題についてKさんと話したことを書いた。もうすぐ1年になる。
 小児科を守る会ホームページ:http://mamorusyounika.com/

 柏原病院小児科を守る会(ウィキペディアへ)
 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9C%8C%E7%AB%8B%E6%9F%8F%E5%8E%9F%E7%97%85%E9%99%A2%E3%81%AE%E5%B0%8F%E5%85%90%E7%A7%91%E3%82%92%E5%AE%88%E3%82%8B%E4%BC%9A

【断片的な情報に基くebisuの推理】
 ここからは断片的な情報をつなぎ合わせた推論である。見ようによっては勝手な憶測だから読み飛ばしていただいて結構である。
 退職された麻酔医は名古屋の方の方だろうか。すくなことも大学はそうだろう。救急医療がご専門でもあるようだ。遠く離れた根室に昨年1月に赴任してきたのは、何かやりたいことがあったからではないだろうか?そのやりたいことがなんらかの事情でできなくなったとすれば、それは外科との関係だろう。前院長の退職とも関係がありそうだ。やりたいと思っていた仕事ができなくなれば、いる理由がなくなる。
 何らかの理由で彼にとって働く「環境」が悪化したのか、意欲を失わせるに足ることがあったのだろうか。年度途中での急な退職という事実は何を物語るのだろう。

 もうひとつ言及しておかねばならない。
 産科と小児科は密接な関係がある。お産で新生児に異常があれば、それを扱うのは小児科であり、産科ではない。だから、産科医は小児科医と良好な人間関係の築ける人でなければならない。根室の小児科は常勤医が一人と非常勤医が一人の二人体制である。これで産科病棟が再開したら、小児医療が崩壊しないだろうか?小児科医の増員は産科病棟再開の絶対条件であると私には思える。二人体制では、常勤医あるいは非常勤医の派遣先が産科病棟再開に応じられるはずがない。なのに、産婦人科医招聘で産科病棟再開をちらつかせる根室市は医療にまるで見識のない町だと思われないだろうか。
 産科医は小児科医と良好な人間関係を築き仕事にあたらなければならない。以前勤務していた中標津町立病院で何があったか、噂どおりなら、スタッフとも小児科医とも、良好な人間関係を築くことがかなり難しいと思わざるを得ない。こうした院内の医師と医師の調整は事務長の仕事である。偽りなく、正直・誠実に調整に当たらなければならない。市議会病院建設特別委員会理事会への「9月末麻酔医退職」の虚偽報告からは、正直な仕事のかけらも伝わってこない。 

 不正直、不誠実な病院経営のツケが回ってくるのは時間の問題だ。こういう状態では、病院を建て替えた後、私たち患者が安心していのちを預けられる医師が何人いるのだろう?


*【コメント欄の情報について】(19日朝8時45分追記)
このところ、複数の方から病院運営に関する具体的で重要なコメントが相次いで寄せられているので、そちらを読んで欲しい。いままで不明だった病院運営の実態が明らかにされている。
 医師を招聘する一方で、院長や事務長の方針に合わない医師に退職を迫るというようなびっくりするような情報が書き込まれている。外科医の退職も幹部職員が起債審査中なので公表を押さえていたらしい事実も書き込まれた。産科医招聘のごたごたに関連して小児科の存続に危機が迫っていることも・・・これらはすべて院長・事務長・市長のトロイカ体制の下で進められている。このままの状況で病院建て替えが強行されれば、償却負担と医師不足から現在11億円の病院赤字はさらに大幅に拡大しそうだ。このままでは根室市は夕張市のようになってしまう。半年から1年、病院建設を延期した、基本仕様と総事業費を見直すべきだ。35億円程度にカットすればずいぶん負担は減る。

 院内にも「改革派」はいるし、現状の恣意的な病院運営に危機感を抱く職員もいる様子が分かる。市職労にもそうした人々はいるだろう。現状は変えられる。まずは、市民や実態を知る関係者が実情を書き込んでくれたり、改革を応援する声を上げてくれることが重要だ。根室の町にも改革の芽はある。


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