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 相変わらず道新根室支局はいい取材をしてくれる。読者の一人としてありがたく読ませていただいた。
 先日コメントを寄せてくれたハンドルネーム「アラフォー」さんのように根室出身で他の都市にお住まいの方もいる。ふるさとが懐かしくてネットで検索し、拙ブログを訪れてくれる人がときどきいるようだ。お祭りの写真を軽妙なコメントをつけてアップしてくれたクラブナビさんもそういうお一人だった。
 東京その他にお住まいの方は北海道新聞根室地域版を読む術がないだろう。著作権上の問題があるかもしれないが、新聞は社会の公器でもある。米国流の文化に押されてこうした両面のバランスが昨今は傾いてしまっているように感じる。
 オンラインニュースで採り上げられれば、そのURLを表示して、転載記事本文は予告なく削除する。
 16日北海道新聞朝刊根室地域版より。

市立根室病院
 建て替えの起債許可へ
  国と道 いっそうの財政改革要求も
【根室】来年2月に着工する市立根室病院建て替えで、市に起債(借金)を許可する道と国の事前協議が終わり、本年度の許可予定額が15日、市に通知された。起債の許可が注目される中、"ゴーサイン"が出た格好で、市幹部は「一つのハードルを越えた」と胸をなで下ろしている。(幸坂浩)

 建て替えの総事業費は55億3千万円で、市はこの4割を国の交付金で確保し、残りのほとんどを4年間に分けて起債で賄う計画。今回は、本年度に利用する病院事業債6880万円の許可予定が通知された。10月に道から正式な許可を受ける。
 起債の可否が注目されていたのは、市が2008年に市立病院の資金不足を補うために発行した特例債10億5千万円の償還が優先されるためだ。
 国と道は今回の起債を認めるに当たり、特例債償還計画の確実な実施と、市職員の持ち家に対する住宅手当廃止などの財政改革を要求。実現できなければ「来年と以降の起債が許可されるかは不透明」(根室振興局)という。このため市は13日、住宅手当の段階的廃止を二つの職員組合に提案。11月までに交渉を終えたいとの方針を打ち出した。
 持ち家に対する住宅手当は、職員住宅を持つ国や道では既に廃止されている。ただ、市は地域経済活性化の観点から、職員住宅を造らずに持ち家を奨励してきた経緯があるため、市職員は「地方自治体の自主性は無視されるのか」と困惑。市幹部は「病院を建てるため、粛々と進めるしかない」と話している。

< コメント >
 市立根室病院建て替えにかかわるブログはこれでちょうど100本である。

【総事業費は62.3億円】
 新聞記事中に総事業費が55.3億円となっているがこれにはごまかしがある。当初5億円だったシステム開発費が7億円になっていることをブログで書いたら、突然総事業費からカットし、別枠にした。その後、システム開発費2億円の増額理由について市の方から市議会へ説明はない。だから、総事業費は62.3億円である。病床数を15減らしたのに総事業費は減っていない。
 こういう不正直な公表の仕方をしてはいけない。無投票再選市長はごまかしが癖になってしまっている。なにをやってもお咎めなしと勘違いしているのだろう。健全な批判精神のない、根室の官民癒着の旧弊の象徴である「オール根室」に取り囲まれて、「裸の王様」を演じているようだ。
 総事業費を62.3億円とすると交付金は36.3%である。新聞記事は市側の説明をそのまま記載しただけのようだから、正しい情報を供しておく。

【予告通り:形式審査による条件付許可】
 審査がどのように行われたかは知らないが、「改善プラン」と決算実績を損益計算書明細レベルで対比すれば、計画のインチキさがシロウトにも歴然と理解できる。民間では「予算実績対比損益計算書」という。審査担当者はこれすら作成を命じていないのだろう。審査とは名ばかりで、すでに決定している交付金22.64億円の予算を取り消すわけには行かないから、何らかの条件付きで許可するだろうと、以前のブログに見通しを書いておいたが、その通りになった。

【医師退職情報の隠蔽】
 麻酔科医が今月、市立根室病院を退職した。前院長が辞めてから、だいぶ院内がごたごたしているようである。病院収益に影響が出そうだが、市側は医師の退職を公表していない。別海町立病院では町長が退職の事実をただちにアナウンス*したのに、市長や市立根室病院は医師退職の事実にだんまりを決め込んでいる。ここにも市民を欺く不正直な仕事がある。
 麻酔科医がやめたことで、病院収益に影響が出る。今年度の実質赤字額は13億円規模になりそうだ。いい医師が働く気をなくすような病院運営が行われているのではないか?市長の情報隠蔽にそういう疑いが浮上している。

*9月15日付釧路新聞「常勤医2人、今月末で退職/別海町」
 http://www.news-kushiro.jp/news/20100915/201009154.html

*17日朝刊で北海道新聞も病院建て替え特別委へ病院事務局の発表として9月末での麻酔医退職を報じたが、これもごまかしがある。麻酔科医が担当していたペインクリニックはとっくに休診がアナウンスされているし、医師はもう引越しを済ませてすでに根室にいない。書類上は9月末で、事実はすでに退職済みということだ。細かい話だが事務局は虚偽事実を「委員会理事会」へ報告したことになる。病院事務局は医師がすでに根室を去った事実を報告していない。正直に仕事をしてもらいたい。

【長谷川市政になってから、市立病院赤字額は2倍になった】
 長谷川市政になって、それ以前の病院実質赤字額が6億円から年々増え続けて昨年度は決算額で11.5億円もの一般会計繰入を行った。今年度はさらにそれを上回る繰入をせざるを得ない。10億円の赤字特例債の償還も病院建て替えの条件になっている。

【市長の翼賛装置にすぎぬ「医信伝心ネットワーク」】
 医師と市民の交流を否定するつもりはないが、「医信伝心ネットワーク」は偏っていると言わざるを得ない。医師退職情報を知っているはずだが、市政批判を一切口にしない。情報隠蔽の片棒を担いでいるとしか言いようがないではないか。市からイベント開催の予算をもらっているからだとしたら情けない。
 市長と共に市立病院運営に不信を増幅するなら、根室の旧弊そのものの組織と言わざるを得ない。こうした市政と地元経済界の「官民の癒着」が根室の町から活力を奪ってきた。
 一昨日、根室公園でバーベキューパーティ「医師と市民の集い」が開催された。本田市議がブログに写真を貼り付けて報告している。
 病院建て替え問題で、ごまかしを続ける長谷川市政にわたしはうんざりしている。

*本田市議ブログ「根室いきいき芸能まつり・医師と市民の集いに参加」
 http://nimuoro.typepad.jp/honda/2010/09/post-e259.html