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#1207 うれしい一言「先生元気だった?」 Sep. 16, 2010 [17. ちょっといい話]

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  高校2年の元塾生二人が寄ってくれた。1年見ない間にだいぶ大人っぽくなった。
 「いらっしゃい、よく来た、久しぶりだ」
 「ホント先生2年ぶりだね」
 「違うだろ、簿記の試験のときSOSで来たろう、1年ぶりだ」
 「先生、○○簿記96点だった」
 「たいしたもんだ」
 「がんばってるも。Kもブカツと勉強頑張っている、成績相当いいほうだよ」
 「うれしいね」
 「先生、顔色いいね」
 「元気にやってるよ、昨日なんか腕立て伏せ連続15回もやっちゃった、すごいだろう。手術してから先週まで4年間1回もできなかったんだから、もうダメかなって思っていたよ」
 「安心した」
 「わたし○㌔も太っちゃった」
 「すこし顔が丸くなったかな?」
 もう一人が、
 「先生、私痩せた」
 「ちょっとだけスマートになったかな?」
 「○㌔も減ったんだってば」
 「あはは」
 ・・・・・

 話すときはいつも笑顔、笑顔は得(徳)だ。人がニコニコしているのを見るのは楽しい。こちらも思わず笑顔になっている。同級生の話しや進路の話をしばらくしてから、ポスで買ってきたと袋の中からバナナと梨を出して、「先生にあげる」そう言いおいてカラオケに行った。前期期末テストが先週終わったばかりだから、のんびりしているのだろう。

 わたしは4年前に胃の全摘手術をしているから、ときどき食べて脳に栄養を送ってやらないと、低血糖状態になるので、授業中でもバナナや焼き芋を必要に応じて食べている。「先生、バナナ好きだね」って、何人かの生徒がよく言っていた。「たぶん前世はサルだったんだよ」と応じてサルの真似をすると、生徒がぷっと吹き出す。

 生徒が聞いたときには、胃癌の話しをきちんとすることにしている。癌細胞ができてから発症するまでにどれくらいかかるのか、癌の原因は何か、手術後の体の管理、身体の仕組みなど、いくらでも勉強の材料になるし、将来自分や周りの人が病気になったときにもあきらめず、適切な対処の仕方を考えられるようになってほしいからだ。看護師志望の生徒も少なからずいる。
 健康はありがたいということをともすれば若いうちはわからない。健康な身体はあらゆることを自動的に調節している。臓器を二つ失えば、いろんなことを自身で調節しなければならぬ。低血糖を起こさぬように2時間ごとに食べ物を口にするのもその一つだ。胃の代わりにはならぬが咀嚼回数を80~100にして腸の負担を減らすことも体調維持のためには重要である。胃の全摘手術は胆嚢も切除するが、胆管からは胆汁液が四六時中垂れ流されているので、それにあわせて食事回数を細切れにして増やしてやる。授業をする体力維持は相応の努力の賜物なのだ。失って初めて生命の自動調節機能の素晴らしさに気がついた。
 身近にこういう先生がいれば、すこしは自身や周囲の大人たちの健康についても考えるきっかけになるだろう。誰かが病気になったときに思い出してくれればいい。

 生徒はメンコイものだ。心配して様子を見にちょこっと寄ってくれた。

「先生、卒業するときにまた来るからね」
「おう!まってるぞ」

そのときまでに腕立て伏せが50回できるようになっていたらうれしいな。生徒にちょっと自慢してみたい気がした。

 一時は顔色が悪かったから、心配してくれていたんだと気がつく。
 近くを通りかかったときに、ちょっと寄って笑顔で声をかけてくれるだけで、元気が沸いて来るものなのだ。笑顔で「先生元気だった」とその一言に二人の優しい気持ちが伝わってきた。
 中学校の先生だってそうだろう。卒業生がちょっと顔を見せて近況を伝えてくれるだけでうれしい。
 他人に元気を分けてあげられる大人に成長した二人をたしかに見た。歳のせいか涙腺がゆるむ。
 


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