15日、本田議員が市議会で市立根室病院建て替えについて質問をした。その内容と市長答弁は本田議員のブログに詳しく書かれている。質問と答弁のみで、感想は一切述べられていない。
 http://nimuoro.typepad.jp/honda/2010/06/222-7843.html 

 
 それゆえ、市長の内容は本田議員のブログでお読みいただくとして、わたしは感想を述べたい。

 ①市が招聘した病院コンサルタント、長隆氏の提言(総事業費30億円での建て替え)をなぜ無視し、総事業費を倍の62億円に膨らませてそのまま突っ走るのかという根本的な疑問は質問にもなかったし、もちろん市長答弁にもなかった。

 ②システム投資について、6年前のニホロ移転案のときに5億円だった。2億円分はすでに実施済みだが、62億円の総事業費案にはシステム投資5億円が載っていた。つまり、7億円に増額されていた。ブログでそのことを書いたら、突然に総事業費から外された(3月)。それと同時にシステムに関する検討委員会が設置されている。そして、現在3億円の予算になり、6年前の案に戻っている。
 いったい何がどうなっているのかについて、市長答弁はなかった。だれがどういう決定をしてこのような迷走をしているのか、意思決定過程があきらかではない。

 ③看護師が3年間で18名定年退職の予定であるが、従来どおり看護学校等への働きかけをするのみで、市長には策がない。
 年間十数億円もの赤字をたら流し続けて、経営改善がまったくなされないことが、若い看護師が応募してこない主たる原因だとわたしは考える。
 将来性がなく活気の失せた病院が若い看護師を確保するのは難しいことは中学生でも理解できる。根室高校では毎年看護系大学、専門学校志望者が10人以上いる。にもかかわらず、帰ってくる者が少ない理由を考えるべきだ。根室が僻地なだけではないだろう。
 従来通りの要請活動だけだと、建て替え後に看護愛不足から一部の病棟閉鎖がありうると本田議員は心配し質問をした。
 看護師不足から病棟閉鎖になれば、病院収益にも悪影響がでて、予測される赤字の幅はさらに大きくなる。
 「看護師不足+派遣医師引き揚げ後の補充なし」の最悪の場合は最大年間22億円の実質赤字。

 ④150床から135床へ減床しても病院建築面積には変更なし、収益にも影響なしとの強弁した。
 ドクター要望で観察室を増設することにしたという。市民を愚弄している。どうしても2倍の総事業費は使いたいらしい。
 減床しても収益上の影響なしと市長答弁。稼働率は80%を予定しているが、過去にそういう年度は一年タリともない。よくて70%、おおむね60%台が実績であるから、相変わらす辻褄合わせの数字の羅列だ。そういう非現実な数字は使うなと振興局から指摘されたばかりだ。


 ⑤昨年7月に基本設計のできる3月までに明らかにするとしていた損益計画は3月末を過ぎても明らかにならず、いまだに検討中との答弁だった。
 年間10億円などで赤字がすむわけがない。昨年度だって12億円である。これに建て替えにかかわる事業費の償却費が5年間はおおよそ3億円加算される。この数字は派遣医師引き揚げの補充がついたという前提の数字だ。看護師の補充もあったとしての話である。何もかもうまくいったという非現実な假定でも年間15億円の実質赤字が予想される。

 派遣医師引き上げや看護師定年退職の補充がつかない場合の損失見込みを明らかにして市民に信を問うべきだ。一番よくても年間15億円、最悪の場合、最大年間22億円の実質赤字に市の財政は耐えられるのか?9月には市長選挙があるから、この点を明らかにして信を問うべきだとわたしは考える。

【一般論、あくまでも一般論だが・・・】
 一般論だが、JVが受注することになる。工事契約はJVが地元企業を下請けに使うことが条件になっている。通常は下請工事はほとんど旨味はない。利幅が薄いのが常識だ。だが2倍もの金額で積算がなされ、落札されたら、下請け工事は旨味がある。なすべき仕事をしない、あるいは不誠実でルーズな仕事をすることで、関係者みんなが楽できる。阿吽の呼吸ならだれも法律違反は犯していない。
 下請け会社の経営者は市長選挙で現市長を応援することになるだろう。ありがたくて涙が出るほどだ。「オール根室」メンバーみんな旨味がある。その他大勢の一般市民は「オール根室」の輪の中には入っていない。
 根室ではそういうことは一切ないと思いたいが、では、なぜ病院コンサルタントの提言(総事業費30億円での建て替え案)は無視されたのだろう。わたしには理由がわからない。
 市長は市民説明会を開いて説明してほしい。疑問は深まるばかりだ。

【情報公開拒否】
 本田議員は問題点を整理して、①の点を除いてきちんと質問をした。①は訊きにくかったのだろう。狭い根室のことだから、いろいろ不利益があるやもしれぬ。精一杯のところだろう、市民の一人として感謝申し上げたい。
 しかし、市議会でいくら質問しても、わずか数十分のやりとりでは事態が変わるわけではないことも明らかになった。
 2900万円の基本設計すら市民には明らかにされないまま、実施設計が強行される。広報ねむろでたった1ページの概要図では情報を公開したことにはならない。ホームページ上でフロアー図などいくらでも公開できるはずだ。
 「市議会で市民の代表の市議の意見はお聴きしている・・・」「市民整備委員会も開いて意見を聞いている・・・」、つまりこれ以上聞く必要はないとの意見をお持ちのようだ。⇒ 一度も市民説明会を開いていないことは無視?市民は市民説明会を望んでいないらしい。意見は市議や市民整備委員が代弁してくれ、市政に反映されているようで、市長の委嘱を受けた病院建設市民整備委員と市民の間に意識のギャップはないというのが市長殿のご意見のようだ。

 補助金は22億円、起債は40億円。5年後に根室市立病院は夕張市のように診療所になっているかもしれない。いただく補助金もわずか1年分の損失補填額と同額となりかねない。それでも市民説明会は必要ないのだろうかと根室市民に問いたい。どういうわけか市議はだれもその必要について言及したことがない。

【ラストチャンスは9月の市長選挙のみ、だまっていれば夕張化確定】
 市議会で採り上げても事態が変わらないことが明らかになった。市長を変えるしかない。だが誰も市長選挙に立つ気配がない。これでは根室を悪くしているのは根室市民だということになる、わたしも根室市民の一人だが悪い冗談だ。

 ほんとうはこのような反吐が出るような話は書きたくない。だが、それ以上に根室を夕張にはしたくない。だから書かねばならぬ、身体に悪いな・・・