ちょっとだけ市議会傍聴 #752 Oct.7, 2009
 昨日午前と午後、そして今日午前中に市議会へ傍聴に行った。昨日はたくさんいたのに、今日の本会議場の傍聴席は誰もいなかった。平日の昼間では、お勤めしている人は傍聴できないから、こんなものだろう。退職した団塊世代は暇をもてあましていないで、たまには出向いてみたらどうだろう。
 記者席に釧路新聞、北海道新聞、根室新聞の記者が各1名陣取っていた。
 傍聴席に着いたとき(11時頃)には、佐藤敏三議員が水産業の衰えや病院事業に関する質問をしているところだった。一部のみ紹介しよう、なにしろレコーダで録音が禁止されているので、きちんとした紹介ができないのは残念である。小1時間ほど聞いて出てくるときに一人傍聴席に座っていた。

佐藤議員
 根室の水産業はこの3年間ほど280億円で横ばいだが、10年前は460億円、最盛期は800億円あった。水産業の衰退は10年単位で見れば町のあり方を変えざるをえないほど大きなものがある。いまいちど、町のあり方を考え直すべきときが来ているのではないだろうか。
市長答弁
 昨年は250人の高校生が卒業し、100人が地元に残り、150人が専門学校や大学へ進学する。そして進学した者たちは町へ戻っては来ない。人口も来年3月には3万人を切るだろう。地域ブランドを確立するために狸小路へアンテナショップを出しているなど、努力している。
佐藤議員
 ①市立病院については、経営について市民参加が必要だ。市長はどのように考えるのか?
 ②外部コンサルタントを入れて、改善プランの検証をすべきだ。自己検証では客観性がなく、甘いものになってしまうから、外部のコンサルに改善プランの検証業務を委ねるべきだ。

市長答弁
 ①特別委を含めて市民へお諮りしている。
 ②初年度の評価をした後で考えたい。

佐藤議員
 いままでも改善プランを作ってきた。私が議員になってから「計画」通り進んだものはひとつもない。だから、外部コンサルを入れて計画チェックや事業評価をすべきだ。稚内では外部コンサルを入れて、地方公営企業法全部適用によって何が起きるのか議論をしている。職員にとっても大きな問題で事前に話し合いをしている。そういう作業が必要だ。

 市長答弁は用意された文書を棒読みだ。漁業取扱高278億円を278万円と読み間違えて、慌てて訂正していた。昨日の本田議員に対する答弁でも、デジタル・デバイドをデジタル・デバイデント?と読み間違えたり、たぶんITだと思うがICT*(1)と言ってみたり、発言内容が不明の場面があった。市長はインターネットやコンピュータに関心がないのだろう

 市立病院問題については、市側は療養病床の問題を先送りして、基本設計を強行するらしい。この市議会で基本設計のための補正予算案を議決するつもりのようだ。だが、療養病床は一般病床とは仕様が異なるので、あとで療養病床について決まると基本設計のやり直しになる。2900万円が無駄になる。
 以前にも札幌の業者に委託してニホロ案で基本設計したではないか。あれはまったくの無駄になった。まさか同じ業者にまた発注するのではないだろう。設計監理料が工事全体の金額に比例して支払われることになっていたから建築予算が高額になればなるほど業者が儲かる仕組みになっている。総額90億円ものプランをつくってくれた。建築坪単価は市側の指定どおり法外な130万円、大理石の病院でも作るのかと思った。システム(5億円)も杜撰なプランだったといわざるをえない。そのごどのように見直したのか、さっぱりわからない。まさか院内情報システムにまだ5億円かけるつもりではあるまい。
 
 市議会は市政をチェックし、市民の疑念を払拭する場でもある。病院問題に関心のある市民は多いから、どのような経緯で業者の選定をしたのかホームページ上で公表してもらいたい。補正予算を通すつもりだからもう業者は実質決まっているだろう。常識的に考えれば、5年前に基本設計させた業者にもう一度基本設計を発注することはないとおもう。重要な意思決定過程は市民から指摘されなくても市自ら情報公開していくべきだろう。

 療養病床が根室には1ベッドもない。病院職員へのアンケートでも多くの医療スタッフが療養病床にないことに危機感を抱いている。にもかかわらず市長は、他病院や介護事業者と連携して急性期が終わった老人の受け入れを考えていくと発言している。老健施設やグループホームは医療機関ではない。慢性期の患者を受け入れられない。市長は医療の基本ことがわかっていないようだ。
 結局、精神病院でのケアになるが、医療保険の市負担を膨らましてしまう。精神科をもつ病院に患者が溢れることになる。病院職員へのアンケート結果によれば、慢性期の老人を受け入れる療養型病床をもつことは、市政の義務であると考える病院職員は多い。老人人口割合はすでに25%を超えた。50ベッドを療養型にすれば、病院赤字は2億円は減らせる。一石二鳥になるのになぜ検討しないのだろう?
 市議会でも特別委でも病院の具体的な経営改善、こういう議論がまったくなされていない。

 病院改善プランは今年度も当初一般会計から6億円の繰出金(予算)が決算では11億円になるという。今年度だけで改善プラント実績予測値は5億円も乖離しており、過去5年間その金額はほぼ同じである。
 つまり予算や計画が実情無視の数字合わせになっているから常に予算を5億円前後超える損失が発生し、決算で一般会計からの追加繰出金で処理している。いわば予算(改善プラン)の粉飾である。

 新病院の建築費等が「病院経営改善プラン」に反映されていないので、佐藤議員はその点いついても問いただした。市長は、基本設計がすんでからでないと建築費を反映した改善プランが作成できないと答弁したが、それでは59億円の建設予算は何なのか?59億円は建築費や機器購入費、システム費用などの積み上げであるから、現時点でこれらを反映した改善プランがつくれないわけがない。
 それほど時間のかかる計算ではないから、都合の悪い数字が試算できているのだろうと推測する。新築関係費用を反映した『病院改革プラン』の数値を公表すれば、現行「改善プラン」が空想に過ぎないことが明確になる。それでなくても年に5億円もプランと実績が乖離しているのではとっくに「経営改善プラン」は破綻しているのだ。
 もうごまかすのはやめて、市民に正直に情報を開示すべきだ。

 市議たちにお願いしたいことがある。療養病床問題に結論が出るまで、基本設計のための補正予算を可決してはならない。
 基本設計は建築仕様を決めて市民に説明したからやるべきだ。仕事の手順として当たり前のことだろう。市側も建設特別委もいままで仕事をサボタージュしていて、詰めるべき仕事を詰めずにきた。建築仕様を決めていない現段階で基本設計業務を委託すべきでない。
 外断熱の問題とか、建築面積、建築単価、病室ごとにトイレをつけるか否かなど、事前に詰めて市民に説明しなければならないことがたくさんある。どのような病院がでいるのか市側は市民に一度も説明していない、していないどころか、これら建築仕様がまだ検討されていない。

 市民説明会は事前の答弁調整ができないからたいへんだろうが、繰り返し市民説明会を開いて、市長自らがどのような病院を作るのかについて説明してもらいたい。当初はニホロ移転案を支持していた市長は、現在地での建て替えについて、どのような病院を建てるのか市民へ直接説明する責任がある。

 一部の諮問機関は市民の意見を吸い上げる場ではない。市民に情報公開しているかというアンケートに対し、していると答えたのが19%だと昨日本田議員が市長への質問の中で発言していた。なぜこうなるのか?市の有力者を集めて諮問機関を作り、市側の案に賛成させても、市民には何も伝わってこないからだ。いつも市側の案の通り進めるだけで、実質的な役割を果たしていない。ただの翼賛機関と市民はみなしている。
 市民参加のあり方について市長と市民の意識に大きなギャップがある。何人かの市議が市民参加について何度も質問しているのに、諮問機関を作って意見を聞いたり、市側の案に賛成させたりすることが市民参加であると市長は繰り返し発言していた
 市長は市民と直接話し合うべきではないのか。オープン・マインドで、市民から名市長と称えられるように成長してもらいたい。

 (市長答弁のは論点がずれていることが度々でわけのわからないものが多かった。心優しい議員が多いせいか再質問も市長答弁の論点の矛盾を突くことがない。なごやかな本会議ではあった。
 議場を文化会館に移し、日曜日に本会議を開いて、根室の将来を担う高校生に傍聴させてみるぐらいの柔軟さがあれば根室も変わるだろうから、そのような大胆な発想をする市長が現れて欲しい。もちろん現市長がそうなってくれるのが一番よい。)

*(1)ICTはICT(Information and Communication Technology) の略だとコメント蘭でKatuさんから指摘があったので、訂正する。ITという用語は将来使われなくなるだろうというのである。自らの不勉強を恥じるべきだな。m(_ _)m 思い込みは怖いものだ、念のためにネットで調べるくらいのことはすべきだった。気をつけよう。
ICTという用語を理解できた市議は何人いただろう?

*6日初日の本田議員の質疑応答については「123Katsuyo_diary」の6日の項、『議会傍聴してきました』に掲載されているので、そちらをお読みいただきたい。軽快な文章でやりとりをレポートしている。質問と答弁がすれ違っているところもよくわかる。答弁の破綻もきっちり報告している。答弁書を棒読みする市長も市長だが、それを書いている幹部職員は文書の書き方を勉強すべきだろう。その前に質問されていることを正確に理解する能力を培うべきかも知れない。できない上司にできる部下というのが一番仕事の能率が下がる組合せだというが、市役所の実態はどうなのだろうか?このダイアリーの『議会傍聴してきました』の続編が近々書かれそうだ。
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*本田議員のブログに各議員の質問リストが載っている。ブログを公開しているのは彼一人だけだ。他にもブログで活動報告をする市議が現れて欲しい。
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