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国家戦略室と行政刷新会議にみる民主党人材の枯渇対策 #751 Oct. 6, 2009 [B7. 政治に求めるもの]

国家戦略室と行政刷新会議にみる民主党人材の枯渇対策 
                                             #751 Oct. 6, 2009
 世の中、予測できないことが多いものだが、めずらしく危惧したとおりのことが起きている。民主党には30代で民間組織でしっかりした仕事をした経験のないものが多く、政権をとった後、民間から何らかの形で有能な人材注入をしないと脱官僚の大仕事は遂行できないだろうと何度か書いたが、政権発足わずか一ヶ月で現実問題になってきた。

 14兆円の追加補正予算見直しで2兆円執行停止できるようだが、あと1兆円足りない。この積み上げ作業は誰が責任をもって実務作業の指揮をするのだろう?

 官房長官が「さらに見直して積み上げをするのは行政刷新会議の任務」と言い、藤井財務大臣に「第一義的には侠客刷新会議の仕事」だと言われて、仙石由人行政刷新会議担当相が記者に取り囲まれて取材に応じ、「スタッフがいないのに私一人でできるわけがないできないと」発言してしまった。

 官僚が提出してきた膨大な資料から無駄をピックアップするのは容易なことではない。数人でやれるようなレベルの仕事ではないにもかかわらず、行政刷新会議事務局スタッフはいまだ集められていない。国会議員にこういう仕事をこなせる人材がもういないということだろうが、菅氏も仙石氏もまるで他人事だった。
 全体を取り仕切らなければならないのは誰なのだろう?鳩山首相自身か、それとも菅・国家戦略室長か?

 菅直人担当相の国家戦略室も開店休業状態である。やはりスタッフがいない。新政権の中枢は国家戦略室と行政刷新会議だったはずだ。とくに行政刷新会議はマニフェストで約束した政策を実施に移すための財源を搾り出さなければならないのだから、仕事は優先順位や緊急性が高いプロジェクトである。
 補正予算を削ることでマニフェストで約束した政策の財源にしなければならない行政刷新会議は大仕事をやることになるのはわかっていたはずだが、準備がなされていなかったようだ。
 菅直人室長は高島平団地を旗を立てた自転車に乗って選挙活動をしていた30代前後の頃から知っているが、ずっと政治家だったので30代でしっかりした仕事の経験がない。
 経験がなくてもある程度は仕事の段取りをできてもよさそうだが、結果から見るとそういうまごついているように見える。仕事は段取りが7分である。政権発足1ヶ月が過ぎた。

 行政刷新会議は前連合事務局長の草野忠義氏の事務局長起用を決めた。国家戦略室は民間シンクタンク「構想日本」代表の加藤秀樹氏の起用を決めた。週内に10人程度のメンバーを公表する予定になっている。
 「構想日本」は小田原市の「事業仕分け」を請け負っている。テレビでの報道によると、数名で1案件に付き20分ヒアリングし、10分間の質疑応答、そして判定員の多数決でジャッジする。実にシンプル簡単、時間節約なやりかただ。対象80事業のうち24事業が廃止、原案通り必要性が認められたのは1件のみだった。事業の説明担当者の巧拙が結果に影響するし、判定員の判断力の質が問われる。見ていて大丈夫だろうかと思った。単純な方法はマニュアル化しやすいし、結論も早い。しかし、その反面荒っぽい仕事になりかねない。結果の大部分は判定員の判断力に依存することになるだろう。
 各省庁の事業の見直しもするそうだから、判定グループが30は必要になるのではないだろうか。1チーム5人として総勢150人。新人議員も一人勉強のためにオブザーバーで議決権なしで入れて教育の場として利用すべきだろう。

  国家戦略室も有能なスタッフが十数人の単位、できれば20人ほしい。それくらいいなければとてもこなせる仕事ではないだろう。必要なのは、それぞれの組織でスタッフたちに具体的な指示を出し、スタッフが検討し判断に迷うような案件に適確な判断を下せる実質的な責任者である。これは兼務はまずいだろう。全力投球が必要だ。渾身の力で仕事をしないと好い成果は出せない。そしてその責任者の指示の下、自立して考え行動できる有能なスタッフである。何が出てくるかわからないから、判断をあやまたず、臨機応変に判断し行動できる人材が必要だろう。
 官僚の作ったペーパーを見ただけで、ある程度的確な判断ができて自分で確かめられるような人材を探すあてはあるのだろうか?
 こういうレベルの仕事がこなせる有能な人材は実に少ない。鳩山政権の構想はそれを実行するために、仕事を担う有能なスタッフが全部で100名は必要だろうが、1ヶ月たってもこれでは先が思いやられる。

 民主党国会議員には30代でしっかりした仕事の経験のない者が多いから、数はたしかにたくさんいるが、山積みになっている仕事は民間の力をうまく利用するしかない。
 マニフェストで約束した政策の大半を実現できず、責任のたらい回しをするような事態がおきないことを祈りたい。行政刷新会議、出番だぞ仙石大臣、走りながら何とかしろ!

*小田原市事業仕分け結果速報
 http://www.kosonippon.org/shiwake/municipality_sort/detail.php?m_project_cd=800
 http://www.city.odawara.kanagawa.jp/__filemst__/7728/siwake-result.pdf
 http://www.data-max.co.jp/2009/10/60_7.html


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