大学入学共通テストは選択科目間で平均点が20点以上乖離している科目があったので、点数調整がなされた。根室高校のトップは707点である。彼を含めて660点以上に3人の生徒がいる。
 二人は通塾組、それぞれ別の塾だ。2番目の生徒は塾通いをしていない。模試では2位になったことは一度もなかったが、急激に点数を延ばして2位に食い込んできた。すごいね。
 わたしが教えている生徒は7年目だ。小5の正月から教えたから、標準的な受験勉強からスタートが2年近く遅れている。中学生の時は学年トップを続けてはいたがしょせん田舎の中学校のトップ、土日は親と一緒に出掛けることが多く、週当たりの学習時間は都会の生徒の半分、およそ都会の中学生とは比較にならなかった。勉強に本格的に力が入りだしたのは高校生になってからだ。急激に力が伸びたのは時間の使い方が抜群に上手になったことと、土日を学習時間に組み込めるようになったからだ。精神的にも「無事に」親離れしたように見える。自我が芽生えたあたりから、ご多分にもれず反抗期はあったがぎくしゃくしながら通り抜けたようだ。
 学力よりも、精神的な成長を目撃するのは楽しい。こちらはうんうんとうなづき聞き流すだけでいい。それで生徒はストレス発散している。そのあたりの呼吸は以前勤務していた病院の精神科医の副院長から習った。カウンセリングの現場を隣の部屋で傍聴させてもらったことがある。常務理事として病院の建て替えと経営を任されていたから、いろいろ知っておかなくてはいけないことが多かった。極意伝授、なんでも役に立つものだ、ありがたい。(笑)

 トップの生徒は英語と数学が強い。国語は150点を超えたからまあまあだ。課題は選択三科目である。ふだんの授業のレベルが低いので、例えば進学校である釧路湖陵の生徒に比べて、3科目で40-50点ほど損している。2位の生徒は数学のセンスがいいそうだ。3位の生徒は数学が苦手、国語が得意で、模試でも国語は学年トップのことが多かった。

 通塾していなければ、難易度の低い共通テストでも80点を超えるのはなかなかたいへんなようだ。進学校の生徒に比べて選択3科目がそれぞれ10-15点ほど低くなる点をなんとかしないといけない。通常の授業のレベルを釧路湖陵並にしたらほとんどの生徒がついていけないから、半年ぐらい成績上位層の生徒5人くらいを対象に放課後補習授業を組むくらいしか手がないだろう。これは根室高校側の課題である。
 私塾が、中学生の時から数学と英語の二科目を個別指導できれば、高学力の生徒に対応できる。大学入学共通テストで、それぞれ2科目ずつ80-100点が獲得圏内なる。

 教育に関係する大人たちが、理想的な体制を整備できていれば、3人の生徒は北大総合理系のハードル720点を超えられただろうこの程度の学力の生徒は毎年3-5人いる。北大への合格者は毎年出せるし、私大の医学部くらいなら現役合格できる
 30年後の根室の地域医療を支えるために毎年1-2人くらいは医学部進学者がいてもらいたい。体制を整備できれば、そういうことが可能になる。

 根室には高校生対象の塾は、数学だけを教えているWF塾と、数英の両方を教えているニムオロ塾しかない。いずれ根室には高校生対象の塾はなくなる。
 この2科目は学校の授業だけで80点を超えられるとは思えない。高校だけでもダメで、中学校の数学と英語の授業のレベルアップにかかっている。7時間目を希望者に開放する放課後補習体制しかないだろう。
 根室市教委と道教委が具体的な教育政策で連携する必要が出てくる。

<余談:道の教育長との幻の意見交換>
 昨年5月に釧路の教育を考える会と北海道教育長の佐藤さんと意見交換会が予定されていました。わたしに振られたテーマは根室の学力の現状と問題点、そしてそれらを克服する具体的な提案でした。釧路根室管内の中学校18校の普段の学力テストデータに基づいて話をするつもりでいました。ところが3月から全道一斉休校措置、佐藤教育長は仕事で忙殺され、突然の訃報に接しました。とっても残念です。根室や釧路の子どもたちのために意見交換したかった。
 北海道はペリフェリ(辺縁部)の学力低下が進むと、次の段階では中核都市(旭川・釧路・帯広・北見・網走)や中央部(札幌)の学力低下が連鎖的に起きる可能性が高い。学力の高い生徒を辺縁部からこれらの中核都市の進学校へ送れなくなれば、中核都市の進学校や札幌の進学校が学力低下を起こすのはモノの道理だ。札幌や中核都市の進学校の高学力を支えているのは辺縁部の高学力の生徒たちである。 



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