一昨日の小池東京都知事の発表では、検査陽性者は13人でした。前日の68人から激減でしたが、これは感染症研究所を含む公的検査機関が日曜日はお休みだったため。だから13人の陽性は民間検査されたものだという説明でした。
 民間臨床検査センターで何検体検査依頼したのかは不明ですが、陽性がたった13検体というのは、ほとんど外注されていないという実態を表しています。おそらく大手3社だけで数千テストの検査処理能力があります。
 パンデミックを防ぐには、症状の出ていない不顕性感染者(キャリア)を検査で特定して、隔離しなければ防ぎようがありません。だから、WHOも「検査、検査、検査」と検査の重要性を繰り返しています。ドイツは現在50テスト/day体制を整えつつあります。日本はいまにいたってもたった1000テスト/dayです。ドイツの感染者の死亡率は0.9%と低く抑えきれています。日本のそれは3.8%です。

 日本には公的検査機関よりもはるかに処理能力が高い世界最高水準の設備と技術力のある民間検査センターが3社あります。そこを利用すれば、PCR検査の隘路はなくなります。病院から民間検査センターへの外注をすればいいだけ、SRLと取引のある病院は直接検査依頼したらいい。全国の大学病院や大病院のほとんどがSRLと取引があります。

 前回も引用しましたが、日経バイオテクの2/28日の記事を再掲します。

*「新型コロナウイルス、検査体制の拡充が後手に回った裏事情
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/p1/20/02/28/06625/
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 感染研がフル稼働しても、遺伝子検査のキャパシティーが絶対的に足りない──。深刻化する状況に、厚労省や感染研は2月上旬から、検査体制拡充に向けて受託検査会社へ遺伝子検査の実施の打診を始めた。ただし、感染研が確立したのは、自家調整の遺伝子検査。一般的に自家調整の検査というのは、承認された体外診断薬とは異なり、「事前に必要な試薬を集めて調整したり、検査の質を確認したりといった作業が必要になる」(専門家)。



 打診を受けた受託検査会社のうち、エスアールエルは、こうした事態を見越して「感染研の自家調整の遺伝子検査を自社でも実施できるよう、試薬の調達も含めて準備していた」(広報担当者)。2020年2月12日、同社は業界では初めて、新型コロナウイルスの遺伝子検査を受託すると発表した。ただ、「そうでなかった企業にとっては、試薬の調整などからしなければならず、自家調整の遺伝子検査を受託する体制をすぐに整えるのは相当難しかったはずだ」と業界関係者は指摘する。


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 いまだに民間検査センターへは新型コロナPCR検査がほとんどでていません。国立感染研が実務を指揮しているのだろうからそこに問題があることははっきりしています。それを傍観している厚生労働省の実務対応能力のなさもうんざりさせられます。民間検査センターのPCR検査能力については3回にわたって弊ブログで採り上げました。
 全国の病院はエスアールエルへ新型コロナPCR検査を直接外注してください

#4197 民間検査センターのPCR検査能力について Mar. 4, 2020
https://nimuorojyuku.blog.ss-blog.jp/2020-03-04

 #4191 新型コロナウィルス感染症対策:冷静な議論が必要 Feb. 28, 2020
https://nimuorojyuku.blog.ss-blog.jp/2020-02-28

 #4190 PCR検査への加藤大臣の誤解:日本国の信用にかかわる問題 Feb. 27, 2020
https://nimuorojyuku.blog.ss-blog.jp/2020-02-27-1



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