2/16は所得税の確定申告受付開始日である、朝一番で根室税務署へ書類の提出をしてきた。申告書類提出時に、マイナンバー通知書の写しとさらに本人確認のために運転免許証の写しが必要なので、昨晩コンビニでコピーしてきた。高齢者は運転免許証を返納すべきだという意見が増えているが、高齢者による運転事故が増えているからだろう。しかし、こういう確定申告にまで本人確認書類がいるとなれば、運転免許証の返納を躊躇するお年寄りがいるだろう。マイナンバー通知書の写しだけでいいのではないか?

 さて、本題に入ろう。
 2月2日に実施された中3学力テストデータを比較して、何が見えてくるだろうか?





<B中学校>
 
 
 
 
 表1


 
9月13日
10月11日
11月9日
12月1日
2月2日
 


 
A
B
C
模試1
模試2
平均


国語
33.2
33.2
32.0
 
31.5
32.5


社会
20.8
20.8
15.8
 
25.8
20.8


数学
17.2
17.2
14.5
 
22.9
18.0


理科
15.0
15.0
16.1
 
17.9
16.0


英語
23.5
23.5
25.0
 
24.6
24.2


合計
109.7
109.7
103.4
 
122.7
111.4


 
 
 
 
 
 
 


 
 
 
 
 
 
 


<C中学校>
 
 
 
 
 表2


 
A
B
C
模試1
模試2
平均


国語
32.0
34.1
31.6
28.4
33.0
31.8


社会
22.9
17.4
16.0
23.0
25.7
21.0


数学
14.9
13.3
10.9
16.9
20.3
15.3


理科
18.1
16.7
17.5
21.5
19.1
18.6


英語
22.2
21.4
24.3
23.1
22.7
22.7


合計
110.1
102.9
100.3
112.9
120.8
109.4




 学力テストは総合Aが9/13、総合Bが10/11、総合Cが11/9、模試1が12/1、模試2が2/2に実施されている。B中の「模試1」の欄が空いているのはやらなかったからである。「模試1」はそれぞれの学校の判断で任意に採択できるようだ。
 五科目合計平均点を比べてみると、B中が3勝1敗であるから、B中のほうが少し良い。では、五科目合計点平均値の平均をとったら科目別にどれくらいの差があるのだろう、それが次の表である。





 
B中・C中 平均点比較
 表3


 
 
B中
C中
B-C


 
国語
32.5
31.8
0.7


 
社会
20.8
21.0
-0.2


 
数学
18.0
15.3
2.7


 
理科
16.0
18.6
-2.6


 
英語
24.2
22.7
1.4


 
合計
111.4
109.4
2.0




 平均点で2点以上差があるのは数学と理科だ。数学は釧路市内の14校と比べるとどちらも最底辺だから、C中の数学になんらかの問題がある。中1の時から平均点が低ければ、同じ学区域の小学校の算数教育に大きな問題があると考えなければならない。そしてそれを3年間でカバーしきれない中学校の数学授業にも改善すべき課題がある。小学校の算数授業が何らかの理由で成果の上がらないものだったとしたら、中学校で教える先生個人の技量の問題だけでは学力をリカバリーできないという事実を表していることになる。4月の学力テストで数学が20点以下の生徒は、週に2回放課後補習への強制参加を義務付けるというような大胆な改革が必要である。

******
 ところで今回のテストの数学の問題は難易度の高い問題が3題出題されていた。二次関数と相似比に関する面積問題とそのほかにもうひとつあった。B中の数学の得点分布から判断すると、「41-50」点の階層に3人だから、1題解けた生徒が一人だろう。C中の最高点は57点だから3題とも正解できた生徒だ。
 この3題以外は難易度の低い問題が並ぶ。たとえば、「6-7=」という出題があった。C中学校では全員が正解、受験者56人全員が正解できたというのはめでたいことではあるだろう。しかし、得点分布をみると、40点以上が2人/58(3.4%)しかいないことと、20点以下が31人(53.4%)53.4%であることを考えると、学力レベルはとても低い。
 高校普通科の数学の授業に何とかついていけるレベルを学力テストの得点31点以上と仮定すると、両校で「10+16=26」人しかいないことになる。高校は昨年から1校体制になり、定員240名のうち普通科の定員は160名だから、66.6%が普通科への進学である。両校で数学の得点31点以上が26人/114人(22.8%)である。この2校の2倍がおおよそ根室市内の中学生総数だから、52人/228(22.8%)しか高校普通科の授業に独力でついていける生徒がいない。この52人の内、10-15人ほどが根室以外の地域の高校へ進学するから、普通科の標準的な数学授業についていけるのは37-42人、つまり1クラス、特進コースのみということになる。特進コースの生徒にも数学が苦手な生徒はいるから、「ベータ1」クラスに数人よくできる生徒が混ざることになる。ガンマクラスとベータ1クラスでは授業で扱う問題のレベルも定期試験の難易度も大きく違うから、ベータ1の生徒で数学の得意な生徒は、現在の制度の下では学力を伸ばす機会が大きく損なわれている。

******

  実際に、入学時に特進コース選択を断った者がいる。特進コースは成績で年に一度入れ替えがあるが、また特進コース選択を拒否する生徒がいた。「嫌」なのだそうだ。好みの問題では仕方がない。寿司の嫌いな人間に寿司を無理やり食わせるわけにはいかぬ。食いたくなるまで待つしかないが、3年間はあっという間に終わる。ガンマクラスの授業は扱う問題レベルが違うから、そちらで勉強したほうが数学の力はずっとアップする。

 どちらの中学校も釧路市内の14校と比べると最底辺であり、別海中央や中標津の中学校よりも五科目合計点がかなり低い。総合Cだったかな、別海は140点台、中標津は130点台だった。
 B中学校の2005年1月の学力テストデータがるので並べてみた、同じ学校で13年間でどれくらい学力が下がったかよくわかる。





 
<B中学校>
 
 
 表4


 
得点階層
2005年

2018年



 
201-300
17
20.2%
3
5.4%


 
101-200
57
67.9%
32
57.1%


 
0-100
10
11.9%
21
37.5%


 
合計
84
100.0%
56
100.0%


 
平均点
143
 
122.7
 




 生徒総数が2005年は84人、2018年は56人だから、得点階層別の%でデータを見てほしい。201点以上が20.2%から5.4%へ1/4に激減している。100点以下は11.9%から37.5%へ3倍強に増えた「高得点層の枯渇化現象と低得点層の肥大化傾向」がこんなにはっきりでている。根室市教委は普段の学力テストデータを見ていないから、根室の子どもたちの学力の低下の実態を知らない。教育行政がデータに基づかず行われているから、根室の子どもたちの学力低下はとどまるところを知らない。
 民間企業に例えるなら、毎年赤字が増えているのに決算データを見ないで運営していることに等しい。ヘンなこだわりは捨てて、普段実施されている学力テストの結果データをちゃんと見てもらいたい。教育長は2年ごとに入れ替わっているので、方針が変わらないところを見ると、普段の学力テストデータを見ないのは根室市教委学校教育部長の判断だと考えるしかない。つまるところ、根室が発展しないのは、さまざまな職務上の権限を持つ人たちが、データを見ず、自分の狭い知識と経験で政策を決めているからではないのか、根室の人間が根室の発展の芽を摘まぬことを祈るばかり。

 B中とC中の得点階層別データ(五科目合計点)を見てみよう。
  
                  表5




 
 
B中
C中


 
階層
人数

人数



 
251-300
0
0.0%
1
1.8%


 
201-250
3
5.4%
1
1.8%


 
151-200
14
25.0%
16
28.1%


 
101-150
18
32.1%
20
35.1%


 
51-100
18
32.1%
14
24.6%


 
0-50
3
5.4%
5
8.8%


 
 
56
100.0%
57
100.0%




 201点以上が両校わずかで5人である。B校は201-250点の間に3人、C校は学年トップが280点台、2位の生徒が210点前後である。
 100点以下は両校で40人、35.4%だから、3人に1人の割合である。2005年には11.9%しかいなかったが3倍に増えている。簡単に言えば、現在3の評価のついている生徒の半数は2005年度のB中では、五科目の半分以上が1だということ。
 学年順位が10番(/56人)だからと安心してはいけない、B中で現在の学年10位の得点は175点付近になるが、2005年のデータでみると22番(/84人)付近である

 もう1回書くことがある。現3年生が2年時のときの2月2日の学力テストと4月の「お迎えテスト」の五科目平均点と、現2年生の2月2日の学力テストの平均点を比較することで、現2年生の4月の学力テストの平均点が推計できる。C中の次の3年生の五科目合計平均点は94点付近になるだろう、100点を切ることは確実だ。五科目合計平均点が百点を切ったのは一度しか記憶にない。

<余談:日本語読解力>
 おおよそ25%の生徒がアスタリスク(******)で挟んだ文章を正確に理解できないだろう。日本語語彙力と読解力は前後一貫して落ち続けているがスマホが普及しだしたころから加速した。国立情報学研究所の最新の調査でもそういうデータが出ている。URLを貼り付けておくので、調査に利用した問題例をご確認いただきたい。
 根室の子どもたちの学力低下は全国平均値を上回っていると考えて、対策を講じたほうがよい。このままでは、社会に出てから仕事に必要な資格が取れないとか、上司の指示を正確に理解できず、仕事で大穴をあけ、クビになる者が続出するだろう。文章語が理解できなければ、非正規雇用で年間160万円以下の仕事しか選択の余地がなくなる。とても心配だ。

*「大事なのは「読む」力だ!~4万人の読解力テストで判明した問題を新井紀子・国立情報学研究所教授に聞く
https://news.yahoo.co.jp/byline/egawashoko/20180211-00081509/

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...RSTでは、
(1)主語述語や修飾語被修飾語など、文を構成する要素の関係(=係り受け)の理解 
(2)「それ」「これ」などの指示代名詞が何を示すか(=照応)の理解 
(3)2つの文が同じ意味を表すかどうかを判断する力(=同義文判定) 
(4)文の構造を理解したうえで、体験や常識、その他の様々な知識を動員して文章の意味を理解する力(=推論) 
(5)文章と図形やグラフを比べて内容が一致するかどうかを認識する力(=イメージ同定) (6)文章で書かれた定義を読んで、それと合致する具体例を認識する能力(=具体例同定)――についての力を調べる。

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 #3695 中3テスト比較②:2/2学力テスト編 Feb. 16, 2018
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2018-02-15-1


 #3699 四月の学力テストの五科目合計平均点予測:史上最低? Feb. 22, 2018
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2018-02-21-1

 #3700 四月学力テスト平均点推計のための補足データ① Feb. 23, 2018
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2018-02-22


 #3701 四月学力テスト平均点推計のための補足データ②:7つの表 Feb. 23, 2018
http:
//nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2018-02-24-1

 
#3702 四月学力テスト平均点推計のためのデータ補足③:解説 Feb. 23, 2018
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2018-02-24




      70%       20%