広報根室1月号が届いた。バックナンバーは次のURLにあるので、クリックしてご覧いただきたい。
 今回は裏表紙の人口統計データに注目する。
http://www.city.nemuro.hokkaido.jp/dcitynd.nsf/0/C5BA49B257175EBA492570C300446F71

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 平成29年12月1日現在 人口 26,435人 前月比-30
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 このデータを見て、1年間でどれだけ根室市の人口が減少したか±10%の精度で推測できる人はほとんどいないだろう。民間企業で予算の統括業務をしたり、経営分析で様々な統計データを加工してきたことのあるわたしにだってできやしない。

 こういう統計は、ふつうは「前年同月比」で見るのが当たり前だ。民間企業でも各種の前年同月データがよくつかわれている。
 では、前年同月データではどうなっているのか、同じURLで前年1月号の裏表紙のデータと比較しよう。

 2017年1月号  27,046人(2016年12月1日現在)
 2018年1月号  26,435人(2017年12月1日現在)
          -611人

 前年同月比でみると、根室市の人口は611人減少している。
 では、この年間611人減少というのは根室市の未来にとってどういう意味をもつ数字なのか?

 人口推移データと比較するしかない。
 根室市の人口減少が年間600人を超えたのは1969年からの3年間だけである。団塊世代が1969年に高校を卒業してからの3年間、住民票を移し始めた時期だ。わたしもその一人である。
 1971年以来45年ぶりに人口減少が600人を超えた。
 
 広報根室は昨年12月号から、裏表紙の人口統計データを「前年同月比」から「前月比」へ替えた。通常、こういう統計データの表示法を変えるときにはそれなりの説明があるのがふつうだが、なにも説明がなされていない。市議で質問をした人もいなかったように思う。市政チェック機関である市議会は機能しているのか?

 昨年12月号から変えたのは絶妙のタイミングだった。年間減少が45年ぶりに600人を超えたからである。忖度して「広報根室」を編集している部署がやったのかもしれない。それとも市長の指示だったのか闇の中。

 よらしむべし、知らしむべからず

 こんな言葉を思い出した。

 第5代根室市長だった藤原さんと現市長長谷川さんの時代に区分して、人口統計データを御覧に入れる。
 




【根室市の人口データ】


 
人口
対前年変動数
%CH


1997年
34,835
 
 


1998年
34,534
-301
-0.86%


1999年
34,183
-351
-1.02%


2000年
33,859
-324
-0.95%


2001年
33,488
-371
-1.10%


2002年
33,028
-460
-1.37%


2003年
32,668
-360
-1.09%


2004年
32,266
-402
-1.23%


2005年
31,771
-495
-1.53%


2006年
31,381
-390
-1.23%


2007年
30,881
-500
-1.59%


2008年
30,469
-412
-1.33%


2009年
30,081
-388
-1.27%


2010年
29,596
-485
-1.61%


2011年
29,139
-457
-1.54%


2012年
29,015
-124
-0.43%


2013年
28,549
-466
-1.61%


2014年
28,050
-499
-1.75%


2015年
27,629
-421
-1.50%


2016年
27,018
-611
-2.21%




 藤原市政の8年間は年平均394人の人口減少だったが、長谷川市政になってからは人口減少が加速しているように見える。それは移住促進というピント外れの政策を人口減少対策の中心においているからだ。地元企業の経営改革なくして、人口減少の加速はとめられない。人材難もますますきつくなる。
 地元企業の経営改革はそんなに難しいことではない、上場企業をお手本にすればいいだけ。

①決算をすべての従業員へ公開する
②予算制度を採り入れる
③予算達成と賞与をリンクさせる
④退職金規程を作り、年度末にいまやめたら退職金がいくら支給されるか文書で通知する
⑤経理規程を作り、会社の経費と個人のものを区別する
⑥会社に寄与していない親族を役員にしない、
等々。

 上場審査基準でチェックして、足りないものを整備すれば、会社の未来を担う優秀な人材は集められる。

 2040年根室市の人口は現在の2.6万人から1.8万人へ3割減少する。人口減少は危機であるが、やりようによってはチャンスに変わる。チャンスに変えるにはいまさまざまな職種にある大人たちが、仕事を通じてなすべきことをなさねばならない。
 市議は集まって、喫緊の問題と30年後の状況をハッピーなものに変えるために、議論のテーブルに着かなければならない。地元企業主も同じだ。根室の未来はわたしたちの手の中にある。

 毎年、高校を卒業して故郷を離れる若者がたくさんいる。地元に残る者たちの3‐4倍もふるさとへ戻ってこない。そういう人たちも、根室の人口減が加速する現実を知れば、胸を痛めるに違いない。



*#2542 根室の人口:『広報ねむろ1月号』より Dec. 26, 2013
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-12-25


 #3574 根室市の人口減少加速: ついに年間600人台へ突入(広報根室8月号) Aug. 4, 2017

http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2017-08-04


 ハンドルネーム「サルタヒコ」さんから、平成27年に根室市が作成した「根室人口ビジョン」という資料に人口動態データが載っていると投稿があった。なるほどよくまとまっている。有用な情報の存在場所の指摘や投稿欄を介して協働が成り立てばありがたい。
 根室市が何を考えているのかとくとご覧あれ。(6時半追記)

根室市人口ビジョン
http://www.city.nemuro.hokkaido.jp/dcitynd.nsf/image/75ea4dccff8db9f849257dd30027c337/$FILE/%E6%A0%B9%E5%AE%A4%E5%B8%82%E4%BA%BA%E5%8F%A3%E3%83%93%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%B3(7.31%E7%A2%BA%E5%AE%9A).pdf





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