12月に入塾した中1の生徒がいる。英語のテストの点数がガンガン下がってきたのでニムオロ塾の門を叩いた。1年生の英語は2学期に入ると、be動詞と一般動詞の使い分け、do、doesの使い分け、will、canなどの助動詞、現在進行形、過去形、WH疑問文など、文法事項が急増するから、ここで落ちこぼれてしまう生徒が少なくない。そして英語が苦手になってしまい、三年間ずっとその状態が続くという、リスクの大きな時期なのである。ここが無事に乗り切れたら、英語は三年間大丈夫だ。
 英語の点数が低い生徒は教科書を音読させてチェックしてみることにしている。案の定、読みが下手だったので、3ヶ月間週1回の割合で音読中心の補習授業をやった。子音の発音とリエゾンに注意しながらやるが、なるべく1対1でやる。他の人がいると声が出ない生徒が多いからだ。音読ができるようになったらディクテーションを数回やり、ほとんどできるようになれば、自分で1文を3回読ませて書かせる。手間がかかるが効果が大きい。いったんこじらせてしまったら、治すのに手間がかかるのは病気と同じだ。(笑)
 根がまじめで、ある程度努力ができるこの生徒が先週の学年末テストで前回2学期・期末テストに比べて五科目合計点で125点アップして、いきなりクラス2番に躍り出た。文武両道を貫く姿はすがすがしい。
 言われたことをちゃんとやれる生徒だ。3ヶ月間だけ何をどれくらいやるのか具体的に指示した。投稿欄を通じてさまざまなことを議論した英語の達人、「Hirosuke」さんと「後志のおじさん」の勉強法の受け売りをした。部活から帰ってきてやってる箇所の音読3回、食事したあとでさらに3回、寝る前に3回、それを3ヶ月続けること。3ヶ月続けたら習慣になる、狙いはそこ。ときどき「昨日やった?」と訊いてみたが、やりましたと返事が返ってきたのは3度に1度くらいなものだった。(苦笑) 
 じつは11月に入塾した別の中学校の1年生にも同じ補習をして、同じ注文をつけた。こちらはもっとやっていないように感じた。水曜日の補習は半分程度しか生徒側の時間の都合がつかなかった。なかなか、習慣を変えることはむずかしいものだと思う。それでもこの生徒(アップは50点超)ほどではないが、英語の点数はかなりあがったことは事実。Hirosukeさんと後志のおじさんに感謝だ。生徒が喜んでいました、ありがとう。

 数英が高いレベルでバランスが取れたことがうれしい。この両科目がアップの半分を占めるが、苦手の社会がアップしたのは何か原因があるはず、「勉強の仕方を変えないとこんなに上がらないけどどう?何か試してみた?」、そう訊いてみた。仲の良い友人と放課後問題を出し合って社会の勉強を一緒にしたという。
 「いい友達がいるね、だいじにしたらいい。ところで学年1番は何点だった?」
 「470点を超えています」
 「2学期期末テストでは450点を越えた生徒がいなかったから、20点以上アップしたということか、それはたいしたものだ。」
 「その生徒が一緒に勉強した友人です!」

 ライバルに恵まれたというか、這い上がってなんとかライバルになれたというか、ハッピーな関係だ。他の学校で2年間学年トップを取り続けた生徒が足元によじ登ってくるライバルがいることをうらやましがっていた。
 各中学校には学力テストで400点を越える生徒が1学年に1-2くらいしかいない。競い合って学力を上げてもらいたい。12年前に比べると学力テストで五科目合計点が400点を越える生徒が1割になってしまった。各学校に二桁いたのである。
 125点アップした生徒の将来希望は聞いているので、その友人がどういう職業に興味があるのか訊いてみた。なんと大工さんだ、わたしも小学生のころ大工さんになりたかった。一流の大工(棟梁)には頭がよくて辛抱強くなくてはなれない。宮大工の棟梁の本を2冊選んで生徒に託した。この2冊は97年に読んだ本だ。弟子入りを認めてもらうのに一苦労、弟子入りしたら、新聞は読まなくていい、テレビも見なくていい、ひたすら鉋の刃を研げ、そう言われたそうだ。切れる刃物がなければいい仕事はできぬ。砥石に鉋の刃が吸い付くようになるころに大工の仕事がどういうものかすこしわかってくる。仕事が終わり、夕食が済むとひたすら鉋の刃を研ぎ続ける。毎日毎日精魂こめてやっているうちにじんわりと研ぎの技術が上がってくる。半端じゃない修業に感心した。修業するなら一流の親方の下で修業したらいい。
 一生懸命に勉強して社会に出たら一流の仕事人となれ!

木のいのち木のこころ〈天〉

  • 作者: 西岡 常一
  • 出版社/メーカー: 草思社
  • 発売日: 1993/12
  • メディア: 単行本

木のいのち木のこころ〈地〉

  • 作者: 小川 三夫
  • 出版社/メーカー: 草思社
  • 発売日: 1993/12
  • メディア: 単行本

 文庫本で3冊がひとつにまとまった。

木のいのち木のこころ―天・地・人 (新潮文庫)

  • 作者: 西岡 常一
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2005/07/28
  • メディア: 文庫


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