根室高校と根室西高校の生徒たちの教育に、一人当たり年間いくらかかっているか見当がつきますか?

 根室市内の小中学校の生徒一人当たり年間教育コストはいくらだろう?学校の規模でどれくらいの隔たりがあるのだろう。

 全道平均値が公表されてることをブログ「情熱空間」が採りあげています。
http://blog.livedoor.jp/jounetsu_kuukan/archives/8660463.html
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児童生徒一人当たりの教育費。
(教育便覧2016 北海道教育庁総務政策局教育政策課編から)

●平成25年度 北海道
 小学校…1,128,181円(8位)
 中学校…1,286,191円(7位)

●平成25年度 全国
 小学校…912,044円
 中学校…1,043,471円
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 何年か前に根室高校と根室西高校の生徒一人当たり年間教育コストを試算したことがあります。簡単な前提から試算できますから、ご覧に入れます。元資料は道教委が公表している平成27年度の生徒数と職員数データです。ついでに、中学校も3校の試算をやってみます。
*北海道学校一覧(高校) 教育庁教育施策課
http://www.dokyoi.pref.hokkaido.lg.jp/hk/ksk/grp/09/27koutougakkou.xls

 <根室高校>
 生徒数534人 教員数39人 職員数11人 教職員合計50人

  50(人)×600(万円/人)=3.0億円 ・・・人件費
  3.0億円×0.5=1.5億円 ・・・物件費
  合計 4.5億円
  4.5億円÷534人=84.3(万円/人) ・・・生徒一人当たり

 建物を現在価値に引きなおして20億円とすると、40年で建て替えるとして、減価償却費は年額5千万円になります。それに定期的な改修・維持費を1000万円とすると、物件費の1/3強が建物関係ということになります。冬の暖房費、電気・水道料、コピー代などが残りの部分です。

 <根室西高校>
 生徒数111人 教員数19人 職員数1人 教職員合計20人
 同じ計算を根室西高校でやってみます。

  20(人)×600(万円/人)=1.2億円 ・・・人件費
  1.2億円×0.7=0.84億円 ・・・物件費
  合計 2.04億円
  2.04億円÷111人=183.8(万円/人) ・・・生徒一人当たり

  物件費に占める減価償却費割合が大きくなるので、根室高校では0.5とした係数を0.7にあげて計算しています。

 公教育ってありがたいね、生徒一人一人にこんなにお金を掛けてくれているんだ。知らなかったでしょ。生徒諸君、勉強しないと罰(バチ)が当たるよ。(笑)

  根室高校の推計値は道教委公表の小学校や中学校の生徒一人当たり年間教育コストに近い数字です。小中学校は規模の小さい郡部校が圧倒的に多いから、平均すると一人当たり教育コストが百万円を超えるのだろうと思います。市街化地域はずっと少ない。ではどれくらいの差があるのか、根室高校と根室西高校のデータが参考になります。
 生徒数が5:1ですが、生徒一人当たり教育コストはおおよそ1:2です。
 ここから推定すると、根室市の市街化地域の3中学校と郡部(歯舞、海星、落石、厚床中学校)の生徒一人教育コストは1:3程度の開きがありそうです。郡部校は生徒一人当たり年額200-300万円の教育コストがかっているはず。
 やってみましょう。

*北海道学校一覧(公立中学校) 生徒数および教職員数 (教育庁学校施策課)
http://www.dokyoi.pref.hokkaido.lg.jp/hk/ksk/grp/09/27chuugakkkou.xls

 <光洋中学校>
 生徒数225人 教職員数26人 事務職員1人
 
  26(人)×600(万円/人)=1.56億円 ・・・人件費
  1.56億円×0.5=0.78億円 ・・・物件費
  合計 2.34億円
  2.34億円÷225人=104.0(万円/人) ・・・生徒一人当たり

 <厚床中学校>
 生徒数13人 教職員数8人 事務職員0人
 
  8(人)×600(万円/人)=4800万円 ・・・人件費
  4800万円×0.7=3360万円 ・・・ 物件費
  合計 8160万円
  8160万円÷13人=627.7(万円/人) ・・・生徒一人当たり

  4.9億円を掛けて改築してばかりなので、物件費係数を0.7にしました。

 <落石中学校>
 生徒数22人 教職員数10人 事務職員1人
 
  11(人)×600(万円/人)=6600万円 ・・・人件費
  6600万円×0.5=3360万円 ・・・ 物件費
  合計 9960万円
  9960万円÷22人=452.7(万円/人) ・・・生徒一人当たり

 中学校は教科担当制だから、生徒数が少なくても、全教科の教員をそろえなければならないので、学年1クラスの小規模校は2クラスの学校に比べてコストパフォーマンスが極端に落ちる。たった22人の生徒に10人もの教職員がいるのは科目が9教科あるからだ。最低9人の教員と管理職1名が必要だから、10人の教員は最小値である。
 ついでに小学校のデータをチェックしてみたら、厚床は併設校だが落石は併設校ではない。どちらも教職員が8名、事務職が1名である。生徒数はそれぞれ34人と30人となっている。

 すごいですね、光洋中学校が生徒一人当たり教育コストは104万円ですが厚床中学校は6倍の627万円かかっています

 道教委へ相談して、市街化地域へ集約化を図る代わりに、スクールバスの運行費用を負担してもらったらいかがですか?
 厚床小学校は4.9億円かけて改築したばかりですから、オープンな場で市民の意見を聞いて公共施設に利用すればいいでしょう。市役所の出張所を中にセットしてもいい。建物の管理も同時にやれます。

 根室市教委は郡部校と市街化地域それぞれの学校毎の生徒一人当たりコストを公表して、各地域の住民と話し合って、市街化地域への集約化を図るべきでしょう。

*全部やり終わってから、公務さんの人件費を入れ忘れていることに気がつきました。試算よりは少し上に出ると考えてください。大勢に影響なしです。
 なお教職員には正規職員しか入っておりません。「加配」措置がなされており、常勤の非正規教諭がいますが、資料には載っていないので計算から除外されています。

      70%       20%