〈 今朝の北海道新聞から 〉
 JR北海道が10路線13線区の営業赤字を公表した。路線の数は全部で14路線で、全路線が赤字である。今年度の赤字は最大440億円の見込み。国から1800億円の支援を受けるが、5年ですっからかんになる。
 根室にとって問題なのは花咲線の廃止だけではない。帯広-釧路間の廃線も大問題だ。釧路が大打撃を受けるだろう。

 経営合理化の通常の手順では、赤字が大きい順に廃線にしていく。公表された営業赤字額を大きい順に並べると、

 石北線(新旭川⇔網走)      35.68億円
 根室線(帯広⇔釧路)        32.88
 宗谷線(名寄⇔稚内)         25.41
 釧網線(釧路⇔網走)         16.17
 根室線(滝川⇔富良野)      11.83
 室蘭線(沼の端⇔岩見沢)   11.17
 根室線(花咲線)(釧路⇔根室) 10.76

  「帯広⇔釧路」と花咲線が廃線になった状態を想像してみよう。バス路線で代替するしかないから、沿線自治体は「帯広⇔釧路⇔根室」間の路線が廃線になったときのことを想定して具体策を練るべきだろう。
 14路線すべてが赤字なら、民営方式でやる限り北海道から鉄道が消えることになる。

 前にも書いたが、JR北海道は沿線自治体や沿線住民と話し合うために、この路線別営業赤字の計算根拠である原価計算資料をEXCELフォーマットで公表すべきだ。公表してくれたら、ebisuが沿線住民の皆さんに分析結果をアップできます。話し合いのベースになるでしょう。
 興味の中心は、固定費と本社費、橋梁やトンネルを含めた線路の維持・修繕費、そして種類別の資産です。固定費や本社費はいくつか区間を廃止したら、残りの区間の負担が大きくなり、区間ごとの赤字を増大させます。それがいくらかかっており、路線別にいくら配賦されているのか。保有資産凹地、橋梁は洪水などで流されたら、再建しなければ路線区間を維持できませんから、建設費が必要なのです。
 そういうわけで、NPO方式およびボランティアによる運営や自治体の負担を話し合うベースとして、原価計算資料と路線別の資産資料が必要になります。道庁はJR北海道に働きかけてください。こういう分析ができる専門家は北大にはいないでしょう、道産子のebisuが協力します。

 上下分離方式で一番問題となるのは、線路の維持費用である。これを国が負担するなら北海道の鉄道網の維持は沿線自治体の協力と住民の工夫次第でなんとかできそうです。

*「JR北海道、全路線の半分「維持困難」」日経新聞
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ18HX1_Y6A111C1TJC000/

*「JR北海道、路線の半分「維持困難」 13区間千キロ超」
http://www.asahi.com/articles/ASJCL5VPZJCLUTIL05X.html


*#3069 根室-釧路 鉄路廃線が俎上に載っている:弱り目に祟り目  July 2, 2015
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-07-02

 #3070 釧路-根室 廃線 コメント欄よりアップ  July 3, 2015
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-07-03

 #3071 釧路=根室 鉄道運営企業NPO方式は可能か?(1) Jul. 5, 2015
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-07-04

 #3079 釧路-根室 廃線問題: コメント欄よりアップ(2)  July 13, 2015
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-07-13

 #3080 釧路-根室 廃線問題: コメント欄よりアップ(3)  July 14, 2015
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-07-13-1



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