〈最終更新情報〉
7月8日午後4時10分

 中小企業庁の補助金受け皿団体として官民14団体が結集して「根室まちづくり検討委員会」が発足したと7日付の北海道新聞が報じている。

 「中心市街地と商店街の再生につなげる」そうだが、緑町商店街の再生は必要なし、傷を深くするだけという意見もありうる。その根拠を四項目箇条書きにまとめると次のようになる。

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1.緑町商店街はとっくに終わっている⇒a
2.24年後には9000人も人口が減って1.8万人になるから、商店街再生のニーズがない⇒b
3.中心街は水害地である⇒c
4.まちづくりは地元企業の経営改革と一般市民の参加から⇒d 
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(この「四項目箇条書き法」小寺次夫さんが開発した方法である、投稿欄で何度もご説明いただいた)

  その根拠を16項目リストするのでごらんいただきたい。
(連番号は書いた順番を表している)

 a◎-1 緑町商店街はニーズがないからシャッター通りと化している。
 a◎-2 スズキ時計店も緑町に見切りをつけて、ずいぶん前に大正町のショッピングセンター街へ移転した。
 a◎-3 日用雑貨類の繁盛店「やすやす屋」や食料品の「川原商店」が店じまいした時点で、すでに緑町商店街は終わっていた。「やすやす屋」と「川原商店」いう核を中心にネットワーク構造で業種の異なる商店が集まっており、車のない時代は集客力があった。「やすやす屋」がファミリーデパート(現・イーオン)へ共同経営で移転してつぶれた。その時点で緑町には有力な核がなくなり、商店街の網目が破れてしまった。時代の流れは市街地の拡大へと動き、マイカーの普及とともに駐車場を整備した大型店へ客が移っていった。
 a◎-4 いまさら、駐車スペースのない中心街を再開発しようというのは時代錯誤だしニーズに合わない。当分は空き地が広がるに任せたらよい。
 b◎-5 数年前に西浜ショッピングセンターができたのだから、中心部が寂れるのは当然である。
 b◎-6 人口減少で市内の消費総額は年々減少を続けているから、仕入れ価格ひとつ考えても、「商店街の活性化」は幻想である。スーパで売っている値段のほうが、地元商店の仕入れ価格よりも安いということがよくある。全国チェーンのコンビニも増えた、こういう品揃えを地元商店がやるのは不可能である。
 根室の地元資本は3度スーパ経営に失敗しているが、仕入先の開拓不首尾が原因だとebisuは推測している。歴史的な順序に従えば、ファミリーデパート、シーサイド、マルシェが経営に失敗した。マルシェはJR傘下になって仕入先開拓の重荷から解放された。中標津の東武サウスヒルズは自力で仕入先の開拓に成功したから生き残ったのだろう、なかなかいい根性をしている。根室の商人はイージな仕入れしかできなかった。スーパの経営力とは仕入先の開拓力が半分以上を占める。仕入先の開拓のできない者にスーパの経営はできない。
 b◎-8 人口が最盛期の4.9万人から2.7万人に減少して、店舗数も激減、後を継ぐものも少ないし、継がせるつもりの商店主も少ない。土地がどんどん余っていくのだから、あえて再開発する必要があるだろうか?
 b◎-9 事業後継者がいるか中心街の商店全部にアンケートをとってみたらいい。データに基づいた議論をちゃんとすべきなのだ。
 b◎-10 問題は商店街だけではない、飲食店街が寂れてしまった。廃業が相次ぎ、空き店舗も借り手が決まらない。年齢別人口構成が変わってしまったから、スナックは客が激減して、廃業が相次いでいる。この流れはとめられない。
 b◎-12 曙町にサッポロコープ、常磐町にイーオンイオン、大正町にマルシェとサッポロドラッグ、西浜ショッピングセンター街とこれだけあれば十分だろう。十分すぎて、どこかひとつは十年以内に供給過剰で消えてゆく。

 c◎-7 緑町は大雨が降れば昔から水害に見舞われる地域であるが、2年前から爆弾低気圧による海側からの高潮被害の影響も受けるようになった。根室半島が地盤沈下しているので今後百年間でさらに数十センチ沈下することになるから、水害被害があることがわかっているのに、そこを再開発しようというのはいかがなものか。
 #2912 爆弾低気圧が根室へ:小中高全部休校(釧路および根室管内) Dec. 17, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-12-17
 #2913 緑町の一部が冠水 :爆弾低気圧の影響?  Dec. 17, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-12-17-1
 #2914 予測の範囲だった爆弾低気圧と高潮被害:地球温暖化と関連ありやなしや Dec. 18, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-12-18
 #2915 高潮被害(根室・緑町)  Dec. 19, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-12-19

 c◎-11 水害を起こす1辺150mくらいの正方形の部分を空き地にしてしまえば、中心部の水害被害はなくなる。根室の町は縮小に向かっているのだ。2040年には人口は1.8万人以下になるのだから、中心街には空き地が広がればいい。既存のショッピング街を維持するのだって無理がある。中心街に空き地が広がれば、いつか利用のニーズがでてくるから、そのときに具体的な利用を考えたらよい。

 d◎-13 そういう大きな展望で考えたら、中心部の再開発や商店街の再生は意味がない。空き地でよいという意見があえりうる。「根室まちづくり検討委員会」は利害関係者主体に構成することで人選を間違えたのである。
 d◎-14 補助金の受け皿に、利害関係人を主体にして委員を選ぶから、おかしなスタートになるのだ。14団体集まってもひとつと一緒、ダメなものはダメ、一般市民抜きではお話にならぬ。中標津町は町のビジョンづくりに一般市民のフリー参加で作業部会をいくつも構成し、何ヶ月も協議を重ねて合意を形成した。根室はいつも一部の団体が参加するだけで物事を決める、一般市民を排除する強い排他性は悪弊としか言いようがない。そんなことを繰り返すから、町から活気が失せ、若者は戻ってこない。

 d◎-15 「まちづくり」といえば、地域医療の未来(=市立根室病院の年間17億円の赤字問題)の議論は避けて通れないはずだが、どうしてそれがエントリーされないのか理解に苦しむ。「オール根室」でやると、相互批判を避けるから、都合の悪いことはすべて棚上げということになる。北海道新聞から引用しよう。
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「調査と事業化に向けて3~5年の中長期で取り組んでいきたい。各団体の知恵を借り、『オール根室』で中心市街地の活性化に取り組んでいきたい」
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 d◎-16 長期的な視点からデータを集めて、冷静に議論をすべきである。データに基づかない主観的な議論に終始してはならぬ。「b◎-9」で書いたが、緑町商店街の残存商店へ後継者がいるかどうかアンケート調査してみるべきだ。商店街の再興が幻想であることがデータからはっきりする。次の世代の担い手がいない。

 昭和50年代からの根室の町の衰退は、意思決定機関から一般市民を排除することで、市政と「オール根室」が演出してきた。もうこういう悪弊は終わりにすべきではないのかね。こんなことを繰り返しているから、若者たちがあきれて根室から出て行く。大学を卒業してから本当は生まれ育った古里に戻ってきたい若者は少なくない。親のいるところで子育てするほうが良いに決まっているが、そういう選択肢を棄てなければならない根室っ子の気持ちを考えたことはあるのかね?
 自分たちの町は自分たちで改革しなければいけない、地元企業の自己改革が基本だ。それができないから補助金目当ての受け皿団体を立ち上げる、自己改革の覚悟も持たずに何ができるのと普通の市民は思っているよ。


 #3351の投稿欄へハンドルネーム「相川」さんが一般市民の意見をコメントしてくれています。ぜひお読みください。
*#3351 根室市の人口減少の現状と対策: 前年同月比543人減 July 5, 2016 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2016-07-05



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