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#3356 英国の検証:イラク戦争大量破壊兵器は偽情報だった July 8, 2016 [9. 相対的なものの見方]

 主旨 《五項目箇条書き》
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1.米国発の情報は検証が必要
2.260万語の英国「イラク戦争検証報告書」にみるブッシュとブレアの嘘
3.日本はユダヤ教・キリスト教とイスラム教の戦争に関わってはいけない
4.健全な保守主義の台頭を望む
5.欧米の価値観に基づく経済学からの脱却
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(言い訳(笑):KJ法のように、思いつくままランダムに書き連ねてから、グルーピングをしてみたら、kodera方式の四項目に収めることができません。しかし、このテーマは五項目がふさわしい。
 デカルトは『方法序説』の「科学の方法、四つの規則」の2番目で次のように書いています。
「第二は、わたしが検討する難問の一つ一つを、できるだけ多くの、しかも問題をよりよく解くために必要なだけの小部分に分割すること」
 分析の規則は「必要なだけの小部分に分割すること」であり、この問題は五分割がふさわしい。強引ですが、「守破離」の「破」のステージだと思っていただくしかない。システム開発ではこういうときには3-5項目への分割がオーソドックスな方法なのです。オーバーフローすれば、さらに下の階層へと階層構造に分岐するだけ、「経験論」からのアプローチ=アレンジです。こういうことは1980年ころ「視覚的」にはCOBOLという事務用言語のstructured Codingから学びました。そこが皮切りになっただけで、いくつかのシステム関係専門書が紹介されていた一般的な技術でした。それ以来、3-5項目の階層構造の柔軟なところが気に入ってます。要するに使いやすいのです。)
(起承転結という観点から眺めると、起1、承2、転3、結4&5ということになります。最後の部分の変調がアクセントになったかどうかは心もとない、我田引水の気味があるからです。しかし、「4」を支える経済学「5」が必要なことは自明です。経済学の支えのない保守主義は経済社会の現実に根を下ろせません。そう考えると「4」の次に「5」が来るのは必然でしょう。)


1. 米国発の情報は半分が真実半分が捏造というのが歴史の教えるところである。真珠湾攻撃は事前に暗号解読され、米大統領ルーズベルトは事前に知っていたが、国民を効果的に煽るために、太平洋艦隊司令官には知らせなかった。
 ベトナム戦争では北ベトナムが南ベトナム軍の艦船と誤認して攻撃した翌日に、自分で艦船を爆破して北ベトナム側が攻撃したと宣伝して開戦。
 9.11については議会の調査報告書の最後の28ページがいまだに封印されたまま、ペンタゴンへの攻撃はミサイル?、3棟の自然落下崩壊は構造からありえないこと、ニューヨーク市長が事前に知っており、瓦礫撤去の準備をしていた事実、証拠物件である膨大な量の瓦礫が行方不明であることなど、さまざまな疑惑が列挙されている。
 米国は常に国益を最優先に政策選択をする国で、情報操作が上手な国であり、過去に情報操作をして戦争してきたことを忘れてはならない。詳しくは弊ブログ#3346を参照。
 こうした米国発の胡散臭い情報を検証するためには、日本に強力な情報機関が必要、1万人規模の組織を整備して情報収集・分析・報告体制を整備すべきだ。

2. 2003年3月のイラク戦争勃発のきっかけとなった「米国発の情報=大量破壊兵器の存在」が虚偽であったと英国「イラク調査委員会」が260万語の膨大な報告書で検証した。ブッシュに引きずられた当時のブレア首相の責任追及が叫ばれはじめた。英国諜報機関はブッシュの「イラクに大量破壊兵器の存在」情報が虚偽であることをブレア首相に報告すべきであったことも記されているようだ。英国兵士の死者は179人、おそらくその10倍ものイラク兵士や市民が殺されている。日本は4年前にわずか4ページの調査報告で済ませた。日本には英国の諜報機関のような強力な組織もないから、米国情報をただ鵜呑みするだけ、自公政府に反省の色はない。
*「英国で260万語のイラク戦争検証報告書、発表へ」
http://webronza.asahi.com/business/articles/2016060900001.html


3. ユダヤ教とキリスト教とイスラム教は千年の戦いを繰り広げている。日本はイラク開戦時に「イラク国内の大量破壊兵器の存在」という米国発の情報を検証するすべもなく、90~135億ドルといわれるお金を拠出し、ユダヤ教とキリスト教側についた。

(モーゼがシナイ山で神ヤハウェイから述懐を授けられたときをもってユダヤ教の成立とするなら、紀元前1280年ころにさかのぼる。
キリスト教のキリストはヘブライ語ではメシア(救世主)という意味である。キリスト教はキリストがゴルゴだの丘で処刑されたあとに、弟子たちの運動として成立したから、その成立年代は1世紀中頃とされる。
イスラム教の成立を最後の預言者ムハンマドが神の啓示を受けたときとすると、西暦610年である。第一回十字軍は1096-1099年である、最初のころはカトリック教徒はイスラム教徒だけでなくケルン(ドイツ)のユダヤ教徒の共同体も襲い略奪と殺害の限りを尽くした。ドイツ人の反ユダヤ主義とユダヤ教徒の虐殺はナチスに始まったわけではなく、十字軍の成立とともにあった現象であり、根が深い。ドイツのカトリック教徒がユダヤ教徒を襲ったのは、改宗とユダヤ教徒のもつ豊富な金銭収奪が目的であった。カトリックにとってはユダヤ教徒もイスラム教徒もともに異教徒であった。それ以来、ユダヤ教徒とキリスト教徒とイスラム教徒の戦争は千年間も繰り返しなされている)

4. 2013年12月6日に国会で成立した特定秘密保護法と2015年9月19日成立の安保法制はすでにその効力を発している。
 もう一度類似のことが起きれば、日本政府は自衛隊派兵を断る術がない。「神の国日本」はユダヤ教とキリスト教側について参戦することになる。これでいいのだろうか?

 イラク戦争でも大量破壊兵器の存在についてろくな検証をしなかった自公政権は、日本は福島第一原発事故で3基の原発がメルトダウンしたにもかかわらず、同じように検証がすまないうちに再稼動の決定を出している。2011年3月11日の東北大震災とそれに続く15日の福島第一原発での3基のメルトダウンでも検証をしない国になってしまった。次の原子力発電災害へ備えて、事故の検証をするのは当たり前のことだが、その当たり前のことすらちゃんとやれない三流国に成り下がった。
 英国の「イラク戦争検証報告」と比べてみると、日本の出鱈目さ加減に驚かざるを得ない。
 枡添元東京都知事のスキャンダルや甘利大臣の収賄事件や小渕優子議員の政治資金問題、清原和博の覚せい剤事件などは全部のチャンネルが執拗に報ずるのに、原発事故の検証やイラク戦争のきっかけとなった大量破壊兵器の存在の検証というような肝心なことは報道規制をしているかのように小さな扱いしかしない、そういうマスコミの姿勢も大いに問題である。
 自公政権がダメだから、民進党が政権を取ればいいかというと、そうではない。政権をとったときのあの体たらくは思い出したくもない。国民の望みは健全な保守主義の台頭にあるのではないか

 わたしは、どんなに経済的不利益があろうとも、宗教の違う日本はユダヤ教国とキリスト教国の連合とイスラム教国の戦いに関与してはならぬと思う。世界に向かって、ユダヤ教国とキリスト教国とイスラム教国の戦いには関与しないと宣言すべきだと強く思う

 経済的利益よりも優先すべき価値があるというのが健全な保守主義というものである。
 バングラディッシュの7人の犠牲はテロの犠牲ではなく、そういう宗教戦争の一方への加担を宣言した政策の犠牲である。イスラエル訪問時にダビデの星をバックにして、安倍首相は「ISILと闘う周辺各国に支援を約束する」と演説してしまった。
 それまで宗教戦争に無関係だった日本が、ユダヤ教のイスラエルと、米国を中心とするキリスト教諸国の側につくとISへ宣戦布告したようなもの安倍首相と現政権は危険な急進主義思想で凝り固まっており、健全な保守主義の対極にある
*週刊朝日2015年1月28日「首相のうっかり発言」
http://dot.asahi.com/wa/2015012700080.html?page=2
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「どこか『闘い』のニュアンスがある。演説には『ISIL(イスラム国)がもたらす脅威を少しでも食い止めるため』や『ISILと闘う周辺各国に』支援を約束する、などの文言がありました」
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5. 少子高齢化による縄文時代以来1.2万年の歴史で初めての長期人口減少時代に突入した日本に経済成長はない。非正規雇用の拡大で一人当たり国民所得が減少し、生産年齢人口は最近4年間で445万人も縮小しているから、国民所得は増えず、消費も拡大しない。そういう事実を受け入れたらいい
 強い管理貿易で、海外へ出て行った生産拠点を国内に取り戻し、国内で生産できるものは国内で生産して消費すればよい。さまざまな職人仕事の雇用機会が国内に生まれる。国内で生産できないものだけ貿易で手に入れよう。 
 欧米の「労働観」をベースにした経済学から脱却して、日本の伝統的な「職人仕事観」に基づく経済学で未来を築こう
 西欧の経済学がベースにしている「奴隷労働」を公理系から外して「日本的職人仕事観」に置き換えることで、まったく別の経済学と経済社会が産み出せる。弊ブログカテゴリー「資本論と21世紀の経済学第2版」をご覧いただきたい。

 第3版を2年ぐらいをめどに書くつもりでいるが、全体の構成を改めるので、分量は半分以下のすっきりしたものになるだろう。小寺さんとの投稿欄を通じての議論でやるべきこととやり方の両方が見えた、方法論では平行線だったが生産的な議論だった。#3331の投稿欄にあります。


*#3346 情報リテラシー:相対的なものの見方を育む June 27, 2016 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2016-06-26

*#3331 「空気」に「水を差す」  June 17, 2016
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2016-06-17

 #3340 実りある対話(2): 経済学の大きな問題に整理がついた June 22, 2016
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2016-06-21-1

 #3339 実りある対話(1): 経済学の大きな問題に整理がついた June 21, 2016
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2016-06-21


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 これは二十歳のときに出版されたが、買えなかった本である。30冊ほどあったはず。

岩波講座世界歴史〈第1〉古代 1 (1969年)

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  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1969
  • メディア: -


1998年に別のシリーズがでているようだ。全部で何巻になっているのかわからないが、26冊はあるようだ。

岩波講座 世界歴史〈1〉世界史へのアプローチ

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  • 作者: 樺山 紘一
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1998/04/22
  • メディア: 単行本

岩波講座 世界歴史〈2〉オリエント世界―7世紀

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  • 作者: 樺山 紘一
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1998/12/18
  • メディア: 単行本


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