7月6日午前8時半
広報「根室vol.915,7月号」が届いた。裏表紙に根室の人口データが載っているので、いつも一番先にこのデータに目が行きます。3期目の長谷川市政は人口減対策として移住促進を叫んでいるのですが、それが効果があるのかないのかはデータで検証できます。
教育問題でも市教委は普段の学力テストデータすら見ていない。病院建て替え問題でも、損益計画と実績が毎年6億円も違っていますが、合理的な説明がなされないままです。こうして毎年効果のない政策が170億円もの予算を投じて繰り返されています。藤原市政時代には145億円まで縮小した市の予算が、人口が5000人以上減少しているのに25億円も増えています。
それぞれの政策は客観的なデータでチェックすべきです。
6月1日現在で、根室の人口は前年同月比543人減です。こんな数字は6月だけのことだと思いたい。根室市は移住対策(移住交流促進委員2名を任命、先月からヴォストークラボというカフェを開業しています)を柱とする人口減少食い止めに旗を振っているし、少子化対策推進室も設置したようで一生懸命に見えます。
しかし、やっていることにまったく効果がないことはデータが示す通りで、根室の人口減は加速しています。
若い人たちが減っていくことに目を向けずに、出会いの場をつくれば何とかなると考えること自体がピントを外しています。高校を卒業して都会へ進学し、就職で戻ってこないことに目をつぶっていることもヘンな話です。地元企業に勤務する親たちのほとんどが、自分が働いている会社へは子供を勤めさせたくないようでは、人口減少を止められるはずがありません。
ストレートに問題に目を向けなければ、有効な人口減少対策が出てくるはずがありません。
オール根室と市政の癒着構造がまずいのは、持ちつ持たれつの関係を維持し、お互いに是正すべきことを言わないところにあります。そうやってお互いに自分の問題から目を背け、問題の先送りをし続け、町の衰退を招いているのです。この悪弊は人を変えて戦後ずっと続いています。根室の癌といってよいでしょう。
藤原前市長の時代はおおむね年間400人弱の減少でしたが、長谷川市長が3期続いて、人口減少は年間400人を超えました。年間400-500人の減少を続けていますが、前年同月比で500人減を超えるのは異例のことです。
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人口 27,272人 (-543)
男 13,015人 (-264)
女 14,257人 (-279)
世帯数 12,909世帯 (-114)
(カッコ内は前年同月からの増減を表す)
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世帯数の減少が3桁になるのも21世紀になってから初めてではないでしょうか。老人人口が8000人前後だから、子供たちを進学や就職で都会へ出した独居老人の死亡事例が多いのかもしれません。医療療養型病床が1ベッドもない根室の地域医療の現状を考えると、気になる数字の変化です。老人医療がこれほど貧困な市は全国にそうはありません。
これは市政の判断ミスでした。市立根室病院の建て替えのときに、療養型病床を100ベッド持つべきでした。要望が大きかったのにやらなかったのは、老健施設や特別養護老人施設への影響を考慮して遠慮したからでしょう。その後の市からの手厚い補助金交付(特養に5.5億円、老健施設に9億円)をみれば何を考えていたのかよくわかります。ここでも市政が捻じ曲げられてしまっています。こういうところが根室のいけないところです。一部の者たちだけの閉鎖的なサークル内で話が決まってしまい、「私」があって「公」がないがしろにされてしまう。市議会はビジョンがないから、総合的な見地からものが言えない、ようするに市政をチェックできないのです。
子供を都会に出してしまって独居老人が増えているのに、医療療養型病床のないことはたいへんな問題を引き起こします。たとえば、歩くことのできる認知症の親を自宅で介護できるのはせいぜい数ヶ月のことです。昼夜逆転し、夜中の2時ころ起きてきて大きな鍋に味噌汁を吹きこぼれそうなくらいつくることがあります。2階で寝ていて階下で物音がするなと確認に降りていくと、台所の照明がついています。朝だと勘違いしているのです。鍋いっぱいの味噌汁はほうっておけば吹きこぼれて火が消えます。ガスは出っ放しですから、そのうちに冷蔵庫のサーモスタットが働けば、ドカンと爆発炎上します。プロパンガスは都市ガスの8倍ほどの熱量があります、天然ガスに比べても熱量が大きいから、爆発も大きいのです。認知症の親を介護するというのはそういう風に「命がけ」のことなのです。
認知症が進むと自分で排泄の処理ができなくなります、そして徘徊が始まるので、介護する側は満足に睡眠が取れなくなり、しだいに追い詰められていきます。排泄の介助がいるようになると、たいへんです。目を離すと自分でやります。感覚が麻痺しているので、手にすこしウンチがついていても気がつかずに、食器棚を開けて食器に触ったかもしれません。疑わしいと全部洗わなければなりません。
外に出ると、家の前なのに方角も自分の家もわからなくなり、すたすた歩いてどこかへいってしまいます。そういう時は案外早く歩くのです。根室の冬は寒いから死んでしまいます。夏だって夜は13度付近まで下がるので、つねに目を離さずに見守っていなければならないのです。
寝たきりになると排泄と褥創の処置が大きな課題になります。
在宅介護は介護するほうも命がけです。自分の体力がもう持たないと思ったときに、人間の精神はおかしくなっています。
(わたしは、食べることを拒否して死にたいと思います。絶食は苦しくありませんから、水だけいただいて体の衰弱を待てばいい。おおよそ2週間で精神が透明になり、3週間くらいで意識が朦朧としてくるのではないかと思います。チューブにつながれての一時的延命は勘弁願います。その旨をしたためた遺書を残しておかないと、希望通りにはなりません。死に方のついての遺言書は自書して用意しておきましょう、日付を入れることを忘れないように。雛形をネットでみて参考にすれば要件を満たした遺言書を作成できます。)
隣の中標津町では殺人が起きました、介護中の子供が精神的に追い詰められて親を殺しました。ほんとうにお気の毒なことでした。類似の事件は全国あちこちで起きています。中標津町には石田病院という老人介護のための療養型病院がありますが、それでも事件は起きました。根室にはそれすらないのです。
近隣のいくつかの療養型病院に根室のお年寄りが入院されていますが、地元の人を優先するので、患者が増えるにしたがって、受け入れが困難になってきている事実を知っている市民がどれだけいますか?
危篤になってもすぐに家族が駆けつけてこれる距離でなければ、家族や友人に看取られることなく死ぬしかありません。だれしも最後は家族や友人に看取られながら静かに逝きたいのではありませんか?
これから徐々に老人介護と終末医療の問題がクローズアップされるでしょう。市政は私たちの未来に直結しています。何も言わなければ、それなりの未来がまっています。
人口減対策は何度も書いているので、過去ログのURLを並べておくのでそちらを参照してください。
簡潔に書くと、若い人たちにとって魅力的な地元企業がすくないということ。閉鎖的で自分の家族だけを重視するような同属経営が多すぎることや、閉鎖的な市政運営が根室の町から活気を奪い続けていることは、市民の多くが感じていることです。
それは市民意識調査*にも現れています。根室に住み続けたくないという人が40.1%もいます。根室青年会議所が以前実施した意識調査の結果の数値です。この数値は町の閉鎖性を打ち破ることで変えられます。あれから何年もたちますが、青年会議所はぜひ根室の閉鎖性を打ち破る活動へと舵を切っていただきたい。商工会議所や中小企業家同友会、ライオンズクラブ、ロータリークラブも自分の企業の決算情報を従業員にオープンにすると同時に根室の閉鎖性を打ち破る活動を地道にやったらいかがですか?
根室の人口減を緩和できるのは、市役所ではありません、地元企業の経営に関係しているあなたたちです。
ようするに、店頭公開企業並みのオープン性を獲得すればいいだけです。
○決算情報を従業員に開示する
○予算制度を導入する
○予算・決算・賞与の関係を明快にする
「予算達成のときは賞与は○ヶ月」と約束する
○経理規程をつくり、厳格に運用する
○退職金規程をつくり、毎年度末に従業員に現在時点での退職金額を通知する
業務規程や給与規程はどの会社でも整備しているでしょうから、オープン経営上重要な5項目だけを例示しました。
夢と希望を従業員に語れる経営者が増えるといいですね。
企業規模が大きいほどたくさんの人を雇用しているでしょうから、閉鎖性を打破しないと人材を集められなくなって倒産します。
最近4年間で生産年齢人口が445万人も減少しています。失業率が最低水準にあるのは、アベノミクスの成果ではなくて、団塊世代が65歳以上になることで生産年齢人口の急激な縮小が起きているからです。
過去に根室最大の企業であった日本合同缶詰株式会社の倒産例をみると、倒産の十数年前から、女工さんを集められなくなっていたという重要な事実があります。ベテランの男工さんたちも次々に見切りをつけて根室を去った、昭和36-37年ころの話です。あのころはタラバガニが膨大に取れていた。主力の蟹の缶詰は加工技術の粋を集めたものです。技術改良に励む男工さんたちがいなくなり、女工さんが集まらなくなれば、品質改善ができない。技術的進歩が止まってしまうと仕事の魅力は半減します。乱獲で資源が激減したことも追い討ちをかけました。
人が集まらないというのは、その企業が閉鎖的で自力改善の余地がなく、したがって将来性に魅力がないからです。根室で育った若者たちが戻ってこないというのはそれなりの理由があるから。閉鎖性を打ち破り、自ら改革をしなければ倒産が相次ぐだけのことですよ。
根室市の水産業界はこの三十年間、改革に次ぐ改革を続けている浜中農協石橋組合長に学んでもらいたい。
謙虚に学ばなければ自滅するだけのことです、1979年に倒産した日本合同缶詰と同じ轍を踏んではいけません。
*#1395 根室市23年度予算案:「根室再興」??? Feb. 25, 2011
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2011-02-25
<抜粋引用>
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市民アンケートは2009年6月に根室青年会議所が実施した数値があるが、なぜ古い2003年度の統計を使ったのだろう?
2009年6月の市民意識調査によれば、あなたにとって根室は住みやすい街ですか」という問に対して、
「とても住みやすい」⇒ 3.6%
「住みやすい」 ⇒26.7%
「普通」 ⇒46.9%
「住みにくい」 ⇒17.7%
「とても住みにくい」 ⇒ 5.6%
「第3問 今後も根室に住み続けたいと思いますか」
「ずっと住み続けたい」 ⇒13.8%
「できれば住み続けたい」⇒46.1%
「できれば住みたくない」 ⇒30.8%
「住みたくない」 ⇒ 9.3%
ラムサール条約の春国岱があり、これだけ自然が豊かな街であるのに「とても住みやすい」と思う人はたったの3.6%しかいない。住みたくないという人は40.1%もいるのである。中標津の同種の調査をみた記憶があるが、比べものにならない。日本で最高クラスの自然環境を有していながら住みにくい街というのは、その原因が人為的なものであることを示唆しているのだろう。
住みにくい街にしているのは何か本気で考えたことがあるのだろうか?人口3万人の町でありながら、療養病床が1ベッドもない老人が住みにくい街を固定化しつつあるのはH市政だ。人口減少は数年前まで年間400人を切っていたが、最近の市の広報を見ると前年同月比で450~460人も減っているのではなかったか?H市長とわずか三百数十人の「オール根室」が根室の市政を壟断している。ごく小数の者たちが恣意的に街を運営していることに異を唱えない大多数の一般市民も不甲斐ないと言っては言いすぎだろうか。
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#1945 根室移住PRに本腰(北海道新聞より) May 22, 2012
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-05-22
#2332 19~29歳対象 根室市アンケート 異常に低い回収率13.2% Jun. 16, 2013
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-06-16
#2542 根室の人口:『広報ねむろ1月号』より Dec. 26, 2013
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-12-25
#2610 二十年間で半減している根室の中学生人口 Mar. 4, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-03-04
#2665-2 次の根室市長選挙の争点:市立根室病院赤字は20億円を超えた? May 3, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-05-03-1
#2970 根室市の人口減少対策 Feb.11, 2015
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-02-11-1
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