中国の取引所が指数の変動を抑える「サーキットブレーカ」方式を提案、中国政府が長期投資に有利な配当課税への優遇策を打ち出し、株価の下落がとまった。
 ところが、売買量が激減し、株式市場が窒息しそうな状況を呈し始めている。

 東京市場は昨日日経平均が1343.43円も上がったが、その後を受けたNYダウは239.11ドル下げている。
 中国市場で売買量が激減し、国際投資ファンドが中国株式市場の異変を理解したからだろう。国際金融資本や市場原理主義たちから眺めたら、中国株式市場の窒息は株価下落よりもずっと大きな問題なのである。

  48年前に読んだ『誰がために鐘はなる』の序に掲げられたジョン・ダンの詩を思い出した。「何人」を中国、「汝」を市場原理主義者たちと国際金融資本と読み替えてみたら、昨日と今日の事情がよくわかる。
--------------------------------------
何人(なんぴと)も一島嶼(いちとうしょ)にては非(あら)ず
何人も自らにして全(すべ)きは無し
人は皆大陸(くが)の一塊(ひとくれ)
本土の一片(ひとひら)
その一片の土塊(つちくれ)を波の来たりて洗いゆけば
洗われしだけ欧州の土の失せるは
さながらに岬の失せる也(なり)
汝(な)が友や汝(なれ)自らの荘園(その)の失せる也(なり)
何人の身罷(みまか)り逝(ゆ)くも是(これ)に似て自らを殺(そ)ぐに等し
其(そ)は我も又人類の一部なれば
故に問う勿(なか)れ、
誰(た)が為に鐘は鳴る也(や)と、
其(そ)は汝(な)が為に鳴るなれば
(ジョン・ダン/大久保泰雄訳)
--------------------------------------

 経済学は経験科学であるから、まったく新しい政策を導入したら何が起こるか予測することができない。ましてや新手の二つドラスティックな株価下落対策を打ち出したのだから、その副作用を注視せざるをえない。
 理論は新しい現実を見て組み立てられる。

 今朝の東京市場の反応に注目したい。

  (追記: 9/10日経平均終値 18,299.02円  ▲470.89 )


*#3121 既成経済理論での経済政策論議の限界 Sep. 1, 2015 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-09-01-1

**#3097 資本論と21世紀の経済学(改訂第2版) <目次>  Aug. 2, 2015
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-08-15



      70%       20%       10%