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#4596 日米株価格差拡大:四年前と今 Aug. 1, 2021 [91.経済]

 7月末の日米株価は次のようになっています。
              日経平均    NYダウ      日経-ダウ
 2017年 19,925.18円 21,891.12$ -1,965.94
 2021年 27,283.59円 34,935.47$ -7,651.88
  差   7,358.41円  13,044.35$   -5,685.94           


       為替レート    
 2017年 (¥110.31/$) 
 2021年 (¥109.66/$) 
                     

 この四年間で日本の株価は7358円値上がりし、米国のそれは13044$アップています。為替レートは動いていませんから、為替レートの変動による見かけ上の格差拡大ではありません。
 日米の株価は正味で5685ポイントも日経平均とNYダウのポイント差が拡大したということです。
 米国の株価を押し上げた主力はGAFAですが、日本には日経平均を牽引するそうした大型の新興勢力が見当たりません。日本の上場企業は新陳代謝が著しく遅くなり老いたということ。日本の上場企業の地盤沈下が日米株価の格差拡大に現れているとみるべきでしょう。
 さらに10年がたったら、日本経済はもっと老いますが、この格差拡大はどうなるのでしょう?

 ところで、日本の株式市場で株価は、年金基金の株式保有と日銀の買い入れに支えられています。年金基金は年金支払いのために株式の売却をし続けなければなりませんが、株価下落を抑えるためには日銀が買い支えるしかありません。その日銀も法律によって保有株式の売却期限が定められていますので、その時が来れば株価は現在の水準を維持するのは困難です。つまり現在の株価水準は政府の低金利政策と年金基金と日銀の株式買い入れによる自作自演が映し出す幻影です。それらが外されたときに本当の姿が現れます。低金利政策と株価の時価評価で日本の大手銀行は統廃合を繰り返し、そして収益源を失って青息吐息です。平成元年統計では、時価総額で世界のトップ10に日本の銀行が5社(日本興業銀行、住友銀行、富士銀行、第一勧業銀行、三菱銀行)もランクインしていますが、平成31年には50位以内に日本の銀行は1社も入っていません。

 株価と並んで、重要な指標は一人当たり国民所得ですが、4/7に更新された「世界の一人当たりの名目GDP(USドル)ランキング」を見ると日本は$40,146で23番目です。英国22位、フランス24位、韓国27位、イタリア$31288で28位となっています。
 日本人の一人当たり国民所得は10年後にどうなっているでしょう?

  1990-2017年の間の「一人当たり国民所得の推移グラフ」をご覧になると、あなたには長期的な変化の方向が見えるかもしれませんね。

 一人当たり国民所得の格差拡大を止める方法があります。
 この格差拡大はグローバリズムに乗っていますから、グローバリズムを終焉させることで、格差拡大システム全体を破壊できます。あいにくと、日本経済もグローバリズムにどっぷりつかっているので、その部分はクラッシュするでしょうね。
 国際的な分業体制を縮小していけばいいのです。地産地消、自国の生産システムで生産できないものだけ輸入します。先進国の生産システムの縮小版を創り、開発途上国へそういうシステムを移植していきます。こうした観点から眺めると、日本にはさまざまな分野の産業、生産システムが揃っていますから、新しい生産モデルそして経済モデルを作成するには、非常に有利な位置にいることがわかります。 
 各国が自国民が消費するもののほとんどを自律的に生産できるシステムがあれば、貿易が減少すると同時にグローバル企業はその存立基盤を失います。
 経済システムを根こそぎ変えるのですから、時間もかかるし、人類の叡智をそこに向かって結集しなかればならならないので、ロシア革命や中国の革命よりも、ずっとスケールの大きい経済社会実験になります。企業経営の理念とかマネジメント力が問題になりますから、そういう経験のなかったレーニンや毛沢東には無理な仕事でした。
 新しい経済モデル建設にチャレンジする、さて、人類はそういう方向へ進むことができるかな?

 新しい経済社会の公理としてわたしは「職人仕事」を提案しています。それを公理とすればまったく新しい経済社会を建設できます。経済学の体系構成すなわち経済モデルについてその根源にかかわる議論が一度もなされていません。世界の経済学はそういうことにいつ気がつくのでしょう?経済学の勉強だけやっていたのでは見えてきません。数学の公理的体系モデルに関する勉強もしなくっちゃね。(笑)
 日本では職人仕事は神聖なもの、神に物をささげることから技術の粋を尽くしたものをつくる、そしてそれは自己実現であり喜びでもあります。ドイツにはマイスター制度があります、ところがマイスターの仕事は経済学に視野には入ってきません。西欧の経済学は労働が苦役であるということがベースになっています。古代の奴隷労働が労働概念の淵源にあります。
 そこが納得できなかったので、業種を変えて5回転職を繰り返して、何が真実なのかそしてマルクスの間違いとはなんだったのか、経済学の公理に何を措定すればよいかがようやく確認できました。業種を5度変えて働きましたが、仕事が苦役だなんて感じたことは一度もありません。

<余談:前のところの続きですがここから雑談です>
 前任者から仕事を引き継いだ途端にそれはクリエイティブなものに変わりました。引き継いだ仕事はその都度全部やり方を変えました。システム化することで消滅した仕事も多い。ルーチンに費やす時間は数分の一になるので、複数の分野に関わるプロジェクト仕事に関わることになります。一番多い時は5つのプロジェクトを抱えていたことがあります。産業用エレクトロニクスの輸入商社へ中途採用されたときのことですが、入社1週間後に社長が6つのプロジェクトの発足を宣言し、その内の5つを任されました。どれも会社の未来を左右する重大なテーマが設定されていました。臨床検査最大手のSRLでも創業社長の藤田さんとその後の社長近藤さんのお二人から直接の指示でプロジェクト仕事を担当しています。どんなプロジェクトでも失敗したことがないのです。だから失敗から学んだことがありません。コンピュータの性能が急速にアップして、それを利用することで複数の専門分野に関わる複雑な問題が解決できたという、いい時代の中で仕事していたからです。10年早かったら不可能でした。
 必要なお金は、経営改善することで調達してましたから、いくらでも使えます。輸入商社時代は社員200名規模の小さな会社でしたが、経営改善で粗利益が5億円ほどアップしたので、システム投資に必要な資金は簡単に調達できました。SRLでは経理担当役員と管理部門担当副社長が1年目から経営改善成果を認めて提案には何でもOKを出してくれていたので、やりやすかった。入社して2か月で経営統合システム開発を任され、半年後には全社予算編成の責任者でした。その間に経理部長から東証2部上場審査をクリアするために問題になっていた案件を片っ端から解決したので、たいがいの要求は通ったのです。検査試薬コストカットを提案して、じゃあプロジェクトを作るからお前がやれと、言われて16億円のカットを2年目にやっています。2か月間のプロジェクトだったのに、それが終わるとそのまま購買課へ異動、卸問屋ではなくメーカーと直接交渉でコストカットをしたから20%ほど下げられたのです。それまでは卸問屋と交渉してました。下がるわけがありません。問屋のマージンは十数パーセントですから。仕事を見ていた親会社の元経理部長だった監査役が「購買なら部長だろう」「いいえ、平です」と伝えると、苦笑してました。経営統合システムの担当部分を8か月で本稼働させた仕事を見ていたからです。普通は購買部門なんかでは使いません。一人で機器と設備を担当したので八王子ラボの隅から隅まで知ることができました。元々機械は大好きでした。エレクトロニクスの輸入商社で、6年間勉強させてもらったので。世界の最先端のさまざまな計測器類や時間周波数標準機の構造や機能を知っていました。検査機器はインターフェイスが遅れていました。マイクロ波計測器ではGPIB、双方向のインターフェイスバスが標準装備でしたが、臨床検査に使う機器にはそれがありませんでしたね。マイクロ波計測器はディテクターとデータ処理部とインタフェイスバスでできているのです。要するに同じ、だから理解が速かった。やれるときには何でも学んでおくものです。予想できないところで役に立ちます。学んで役にたたなかったものはありません。



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tsuguo-kodera

 頭が働かずよく理解できませんが、職人経済主義か論が良い解だと感じます。流石だと思いました。
 今の小中高の子供の顔は期待できるように感じますが、国会審議の顔、地方役人の顔、医師会の顔、痴呆のような顔。良い顔の人は亀のように頭も手足もひっこめたままなのか。
 3方良しの経営こそ日本企業が生きる道。間違いないが難しい。バカと阿呆の絡み合いだから。結局義務教育に課題が戻ってしまうのが阿保でボケた私です。
by tsuguo-kodera (2021-08-04 13:19) 

ebisu

koderaさん
こんばんはわ。
極東の町根室ではいまアジサイの青がきれいです。
東京の高幡不動尊のアジサイ祭りは6/1から末日までですから、根室はおよそ2か月遅れですね。アジサイの水色が雨を呼ぶのかこのところ雨がよく降っています。朝晩は濃霧に包まれています。
経済学の公理がみえても、それをもとにした経済学をどのように描いたらいいのかわかりませんでした。現実の経済社会のデザインとそこへもっていく長期戦略は霧のかなたでしたが、ようやく姿が見え始めてきました。
レーニンや毛沢東がなぜ新しい経済社会の建設に失敗したのかがいまはよくわかります。
経済の単位は個々の企業です。
仕事に関する考え方、仕事は尊いもので神聖だという考え方、そしてビジネスに関する理念とマネジメント力があれば、漸次的な経済社会改革が可能になります。穏やかなやり方でいい、すこしずつでいい。赤字の企業を次々に黒字にしていくようなものです。
政治経済体制の変更がどこかで必要になりますが、職人仕事にベースを置いた経営内容のしっかりした企業が増えていけば、人々の意識も政治体制も自然に変わります。
幸運なことに、日本には必要なものがまだ揃っていますから、若い人たちにその気があれば大きな仕事がまっています。
by ebisu (2021-08-04 20:51) 

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